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笛の音響けば

汽車の音色は旅へと誘う道標

ふるさと色の紫

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大井川鐡道 田野口~駿河徳山


大井川を挟んで対岸を眺めていた杉の森に薄紫の色が目に留まった。
あれは桐の花だろうか…

桐といえばパッと頭に思う浮かぶのが桐下駄や桐箪笥などの工芸品で有名な会津地方。
娘が生まれた家では桐の木を植え、それで作った箪笥を嫁入り道具にして嫁がせるエピソードも
桐は会津にとって深い関わりを持つ。
また、寅さんがさくらに下駄を買ってやろうと立ち寄った会津柳津で、
あまりの高さに手が出せずしょんぼり売に向かう姿も桐繋がりで忘れられないシーンだ。

幼き頃に半分は過ごした信州北信地方も桐の木をよく見かけた。
雪深い地方ゆえ、冬の収入の足しにと桐細工を売っていたのか
それとも会津と同じく嫁ぐ娘に桐箪笥を持たせたのか分からないが
いずれも只見川、千曲川と広い川を挟んで見る緑豊かな森と
山村に映える桐の紫は目に染みるふるさとの光景だ。

そんなとこから足が止まり汽車を待つ。
次位に繋がる客車はかつての特急はつかり色という細かいことを抜きにして、
今や旧客、或いはそれをイメージするものはすっかり茶色一辺倒となってしまった中での
貴重な青客というのも、より懐かしい思いが込み上げた。




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  1. 2019/05/16(木) 16:42:09|
  2. 大井川鐵道
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雨に煙る大井川

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大井川鐡道 抜里~川根温泉笹間渡


とかく茶畑と山の緑が美しい川根地方。
冬の柔らかい陽射しが届く山間の里も捨てがたいものがあるが、やはりこの季節が一番輝く季節であるように思う。

眩しいほどの新緑と雨に煙る大井川の景色を見たい…

そう思ったのは、初めて川根路を訪ねた日が雨だったせいだろう。
昭和55年の5月辺り、千頭へ一泊の家族旅行だったから汽車の撮影はついでだったし
そもそもポイントなんて分からず、親父と適当に景色の良さで線路端に立ったのが抜里の築堤だった。
久しぶりに聞く蒸気機関車の汽笛が幾重にも木霊して、
随分響くものだなぁと背筋にビリビリと、足がガクガクと来る好きな者にしか味わえない電気が走る。
重たい曇り空の下、やって来たのは当然と思っていたC11227の面構えではなく
前年にタイから復員し日本型に戻されたばかりのC5644を先頭にした重連だった。

どうりでやたら汽笛が響くわけだ…
僕にとって蒸気機関車の重連は篠ノ井線のD51が最後で、それから10年以上経つ。
大井川鐡道はC11と決め付けていたこともあっていささか拍子抜けしたが
現役蒸機廃止後、再会を果たした蒸気機関車は飯山線であれほど見ていたC56だったというのも何かの縁だったのだろう。

信州生まれで信州育ちのお袋は父親が教師ということもあり県内で転校を重ねた。
塩尻、辰野、岡谷、上諏訪、茅野…
中央東線のD51やD50、入換のC50やC12の煙を散々浴びたのだろう、大粒の雨が屋根を叩く宿で
茶そばが美味しいと喜びながら蒸気機関車の煙を懐かしがっていた。
雨は翌日も続き、深く垂れ込んだ雲に霞んだ第三橋梁を二条の白煙が渡っていくのを家族で見送った…
それが僕の初大井川の思い出である。



冬に訪れた俯瞰場所は中段と言われる位置からだった。
当日、雨は結構な降りで、一人オフロードバイクでなら林道が崩れようが落石があろうがお構いなしだが、
さすがに普通四輪では対応し切れないことと、肝心な列車が霞み過ぎて何も見えないことから今回は下段位置に陣取る。
それでも時折下からガスが駆け上がり、対岸の山の稜線も見えては隠れ、やがて汽車の息吹が迫って来た。
これは降り過ぎだ、加減ってモンがあんだろうによと一人ブツクサ文句を言ってると
仕方ねぇなと僅かながら乳白色の霞んだ景色に稜線が見えだした。

棚引く煙が客車に被る。
ああ、それがたまらない…
それこそ生きてる証、蒸気機関車の煙だ。
初めて来た時のように、雨に煙り、白煙が流れる…


そう、これが見たかったんだ。




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  1. 2019/05/12(日) 16:30:39|
  2. 大井川鐵道
  3. | コメント:0

桜雨

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石北本線 美幌~緋牛内


例年より早く咲いた桜も終わりを迎えた。
そぼ降る雨が惜しむように散り際の桜をしっとりと濡らす。
晴れの日の桜もいいけれど、雨の桜は日本人が好む風情というか儚さというか
そのようなものがあると思う。

薄暗くなった緋牛内の集落にオホーツク4号が進入する。
のんびりと、やっとやって来た春本番…
通過する特急列車の如く、内地の季節に追い付けとばかりに
これから初夏へと向けて一気に加速していく。




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  1. 2019/05/11(土) 14:30:20|
  2. 石北本線
  3. | コメント:0

春うらら

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石北本線 緋牛内    2017年5月撮影


雪の下からフキノトウが出て福寿草が咲き
水仙が咲き、タンポポが咲き
桜より一足早く咲くツツジの赤が目に眩しい。

待ち遠しかった春うらら。
ローカル線の鈍行列車のようにゆっくりと駅に着く。
野辺が華やぐ…
日本のはずれのオホーツクにもそれがようやく届き始めた。




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  1. 2019/05/06(月) 14:56:15|
  2. 石北本線
  3. | コメント:0

令和元年 いつの時代も

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大井川鐡道 千頭    2018年12月撮影


汽車の煙が漂うホームにて楽しげな声が聞こえて来た。
お父さんと手を繋ぎスキップする男の子。
きっと嬉しくて、楽しくて、仕方ない様子が伺えた。

さ、ここだよと息子に優しく促すお父さん。
これから巡る汽車の旅は、父と子それぞれにどのような時を刻むのか。

やがて年月が経ち、時代が移り変わろうとも
どうか、この日のことが深く尊いものになりますよう。




テーマ:写真日記 - ジャンル:日記

  1. 2019/05/01(水) 00:01:00|
  2. 駅・設備
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プロフィール

u403tsugaru

Author:u403tsugaru
下手な鉄道写真を撮っておりますが、沿線風景や旅先での一コマなども載せていこうと思います。
見て下さった方の一人でも郷愁感や旅への思いをお持ち下されば嬉しく思います。

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