笛の音響けば

汽車の音色は旅へと誘う道標

忍び寄る冬

PB203950-1-10fc.jpg

石北本線 美幌~緋牛内


一昨日辺りから北日本の日本海側を中心に雪となり、北見地方も銀世界となった。
オホーツク海側は大雪の山々が遮蔽となり雪は比較的少ない。
それでももうこの時期の雪は不思議ではないが、今朝の冷え込みはさすがに堪えた。
-16℃…。
真冬ならともかく、まだ11月半ばでこの気温というのは僕が北海道に来てからちょっと記憶にない。

同じ気温でも雪の有る無しによって感じる寒さも随分と違う。
なぜか雪のある方が寒さを感じないのは、恐らく雪があれば寒いのは当たり前という思いからくるものなのかな…なんて思っている。
とはいえ、いきなり-16℃は体も慣れてなく寒さがとことん嫌いな僕には
ひたすら歯を食い縛って寒いと言葉にすることも出来なかった。

森に行けば葉が落ちて寒々としていた風景が一変していた。
キーンと透き通った空気が細かく震えて列車の接近を報せると、
すっかり寒さに縮んだ線路の上をステンレスの車体も冷たげに姿を現した。
凍てついた前面は昨夜の雪の行路を偲ばせる。
突き刺すような風雪に耐えながら、町を繋ぎ人々を運んだのだろう。

好きで列車を待ってるとはいえ、指先は痛く耳は千切れるばかりの冷たさだ。
列車にとっても、この地で暮らす者にとっても、厳しい季節がもうすぐそこまでやって来ている。




テーマ:写真日記 - ジャンル:日記

  1. 2017/11/20(月) 23:05:40|
  2. 石北本線
  3. | コメント:0

優しい午後

P1185809-11fc.jpg

真岡鐡道 北山~益子    2015年1月撮影


真岡鐵道は、一帯が木綿の産地だったこと、列車がコットンと走る様子からコットンウェイという愛称を持つ。
運行される少し派手目な気動車は一般公募から採用されたカラーリングだという。
路線の愛称といい、車輌のカラーリングといい、田舎の小さな鉄道は地元に愛されてるなぁ…といった印象が伝わってくる。

沿線は総じて目を見張る景色もある訳じゃなく、普段着のままの生活臭が漂う素朴さがいい。
この間まで放送されていた朝ドラの「ひよっこ」に出てきそうな風景を線路は走る。
四季を通じてそれぞれの良さがある中で、特に僕が好きなのは冬である。
遮る山もない北関東の空は広く、それはどこまでものどかで平和だ。

柔らかな日差しに包まれて小貝川のほとりで寝転がる。
のんびりしたムードに撮影なんか止めちまって、夢うつつのまま列車でも見送るか…そんな気分にさせられる冬の午後。
小さな鉄道の小さな列車が路線の愛称そのままに、かわいげな音を立てて鉄橋に差し掛かる。

冬の真岡はいつ来ても優しい気持ちにさせてくれる…僕はそんな真岡鐵道が大好きである。




テーマ:写真日記 - ジャンル:日記

  1. 2017/11/18(土) 06:50:48|
  2. 真岡鐡道
  3. | コメント:0

石北の雄

PB073569-11fc.jpg

石北本線 北見


石北本線の名物列車といえば、夏の終わりから春にかけて走る臨貨、通称タマネギ列車だろう。
日本一の生産量を誇る北見地方のタマネギをはじめとした農産物を貨物列車で一気に運ぶ。
臨時とはいえ、本線筋を地響きを立てながら大地を疾駆する姿は圧巻以外の何物でもない。

列車の組成を終え、夜の帳が降りる構内に長編成の貨物列車がどうだ!とばかりに佇む光景は、
普段短いローカル列車しか発着しない駅を一際華やかなものへと変えていた。
北見国から石狩国に至るまで、二つの険しい峠に備えて後部補機の機関車が唸るようにエンジンをアイドルさせている。
DF200という機関車は正直言って好きな車輛ではないが、それでも機関車ならではの存在感は抜群だ。
重い貨物をグイと押し上げ、低い姿勢で行く手を睨むその様は北の頂点に君臨するヒグマの如し、まさに石北の雄である。

かつては往復3本あった貨物スジも現在は1往復が残るのみ。
片道は空荷で機関車も2輌要することからJRとしては廃止したいらしい。
鉄道が本来持つ大量輸送のシーンがオホーツク管内で見られるのは果たしていつまでなのだろう。
この逞しき機関車と重厚な貨物列車が、今後も末永く運行されることを願って止まないでいる。




テーマ:写真日記 - ジャンル:日記

  1. 2017/11/14(火) 19:37:48|
  2. 石北本線
  3. | コメント:0

初冬の境内にて



石北本線 緋牛内~美幌    


雲の切れ目から差し込む陽が、ストーブの温かさにすっかり頼り切っていた部屋を弱々しく照らす。
どうという訳ではないけれど、なぜか自然と神社に足が向いた。

既に何度か雪が降っている北見地方。
降っては融けを繰り返し、やがて本格的な冬がやって来る。
雪が降ると「来ちゃったねぇ」という言葉が挨拶代わりだ。
公園等では雪囲いも済み、農家さんは今年の締めとなるビートの収穫に忙しい。

もうそろそろ年末かぁ…
まだ少し早い気もするが、行った場所のこともあったのだろう。
山も畑も色に乏しく、人も大地も冬備えをしている光景にそんなことを思っていた。

落ち葉を踏みしめる感触が否が応でも秋が終わったことを報せれば、それは同時に冬の訪れを報せる道標のようでもある。
振り向くと前日に降った雪が残る大地を列車が走って行った。
黙々と走る彼らにも冬の厳しい仕業が待っている。

雪景色は嫌いではないし、一面雪に埋もれたら埋もれたで諦めもつくが、とにかく北海道の冬は長い。
それを楽しむこともあるにせよ、
せめてもう少し、土を直に踏める時間を与えて欲しいと願うのは人も列車も同じ思いかもしれない。




テーマ:写真日記 - ジャンル:日記

  1. 2017/11/11(土) 00:43:39|
  2. 石北本線
  3. | コメント:0

ご苦労さま

PB012943-10fc.jpg

石北本線 緋牛内~美幌


数年前に帰省した頃、何気に踏切で電車の通過を待っていた。
カンカンカン…と鳴っていた警報音がしばらくすると小さくなったことに気が付いた。
踏切で待つ人や近隣住民に対する配慮なのだろうが、いつからこんな風になったのだろう。

そういえば開かずの踏切…なんてものがあったが、地方にいるとそんなものにはお目にかかれずすっかり忘れた存在になっている。
地方であっても鉄道華やかりし頃の時代では、大きな駅構内を持つ周辺は貨物や客車の入れ替えで
いつまでも待たされる…なんてこともあったのだろう。
都会でも道路や鉄道路線の整備によって高架線や立体交差になり、昔と比べたら随分減ったと思われるが
将来、開かずの踏切なんて知らない時代がやって来るのかもしれない。

一番近くでそんな踏切があったのは、東急東横線の元住吉駅だった。
当時踏切係が常駐していて、列車が接近するとブザーを鳴らし遮断棒の代わりに水平なワイヤーが降りて来る手動の踏切だった。
ここには東横線の車両基地があり、当駅始発や終着電車の出入りがよく見られた。
普通電車が見上げるような車体を軋ませて目前をゆっくり通って副本線に退避したのち
台車の外側に配したディスクブレーキも誇らしげに素晴らしいスピードで急行電車がぶっ飛んでいく…
なんて時に遭遇すれば当たりだ!と言って大喜びしていたものだった。
その様子を翌日学校の教室で

「昨日、急行がすげースピードで走って来たんだぜ」

と複雑なポイントに響かせるジョイント音を机に叩いて再現し、おれの時はもっと速かったと机をさらに叩きながら張り合い合戦をしていたものだ。
踏切は駅すぐ横にあって商店街を通るものだからいつも混雑しており、大人にとっては迷惑千万だったことだろう。
手動式だっただけに、あまりにも電車が続く時は係の人が通過し終わらない内に踏切を開け、過密ダイヤの僅かな隙を縫って人を渡す…
なんて今では考えられない芸当をしていたが、鉄道少年にはまったく余計なことをしてくれたと思うものだった。


頻繁に警報を鳴らす都会で働く踏切とは対照的に、一日数回程度で済んでしまう地方の踏切。
中には遮断棒を持たないもの、警報機すらない仲間も存在し、こんな所に?とポツンと置き忘れたかのようなものもあり
ここの踏切もそんなひとつである。
渡る車も人の流れもない。
山の畑に向かうトラクターや、林業その他の工事関係の車が忘れた頃に通るくらいの、普段は物静かな山に一人淋しくに立っている。

カンカンカン…と警報が鳴る。
都会の華やかさからは無縁だが使命は何ら変わることはない。
誰も見てない待たない山の踏切は暮れ始めた空に向かって凛と立ち、今日も人知れず列車の運行を陰で支えていた。




テーマ:写真日記 - ジャンル:日記

  1. 2017/11/08(水) 13:26:22|
  2. 石北本線
  3. | コメント:2
次のページ

プロフィール

u403tsugaru

Author:u403tsugaru
下手な鉄道写真を撮っておりますが、沿線風景や旅先での一コマなども載せていこうと思います。
見て下さった方の一人でも郷愁感や旅への思いをお持ち下されば嬉しく思います。

最新記事

最新コメント

月別アーカイブ

カテゴリ

未分類 (3)
ご挨拶 (3)
只見線 (8)
石北本線 (65)
山口線 (7)
真岡鐡道 (5)
秩父鉄道 (9)
釧網本線 (17)
大井川鐵道 (3)
廃線・保存機 (5)
宗谷本線 (7)
保存鉄道 (6)
釜石線 (1)
陸羽東線 (1)
山陰本線 (3)
雑記 (1)
非鉄・番外編 (2)

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる