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笛の音響けば

汽車の音色は旅へと誘う道標

いつものように

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小海線 八千穂    2019年9月撮影    


ガ~とディーゼルエンジンが唸りを上げて列車が動き出す。
少しするとエンジン音は消え、代わって轍がカタン…カタン…と鉄の音を奏でる。
車体を左右に揺らし、鋭く脚を軋ませ、再びエンジンが唸る。
次第に速く、そして遠ざかる轍の音。
夜ともなればそこに車内の灯りが零れ、赤いテールランプがスーーッと消えていく。
そんな光景に堪らなく郷愁を感じ、駅を発つ列車の背中を見送るのが好きなのだ。


小さなローカル線の駅のホームに、どこかで買い物をして来たのかおばちゃんが
一旦荷繕いを整え、えっこらせとやって来た。
街のようにドヤドヤと急ぐ訳でもなく、傾き朱くなりだした陽の光に調和した歩調だった。

おばちゃんを降ろした列車は車体を揺らし、脚を軋ませエンジンを唸らせる。
轍の音が次第に速くなり、遠ざかる。

きっと他の駅でも同じようなことが繰り返されていくのだろう。
在り来たりが見せる駅の風景がまたひとつ胸に刻まれた。




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  1. 2019/11/14(木) 22:57:25|
  2. 小海線
  3. | コメント:2

秋の声

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小海線 八千穂~海瀬    2019年9月撮影


立秋が過ぎ、辺りは夏のそれでも一体いつの頃から秋の気配がしだすのだろうとふと気になった。
あくまでも実家という狭い範囲では、今年は8月16日からカネタタキ、18日にはツクツクボウシと
ツヅレサセコオロギの声が聞こえ出した。

花でいえばコスモスも秋を連想させる花としてよく目にすることが出来るが
華奢で透き通るような色は可憐で、「秋桜」とはよく言ったものだと思う。
都会や暑い地方よりも高地、涼しい地に咲いている方が色は澄んでいるように見えるのはその字のせいだろうか。


コロコロリー、コロコロリーと草っ原から聞こえてくる声…
くすみ出した山の緑、穂が煌めき出したススキ…
ローカル線を巡る秋の序章に耳を傾ける。

あの一帯に見える家はね、昔からここらの豪族だったんですよ。

暗黙の了解の踏切から散歩の途中だと地元の方が声を掛けてくれた村を列車が出て行く。
澄んだ色の秋桜が手を振るよう大きく揺れる。

繰り返されてきた季節の移ろい、生活の営み。
素朴な日本の美しさみたいなものを感じられる秋の始まり。
また信州へおいで下さいと言ってくれた声がありがたく、優しく胸に届いた。




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  1. 2019/11/11(月) 14:23:35|
  2. 小海線
  3. | コメント:0

放浪癖

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小海線 龍野城~太田部    2019年9月撮影


おもむろに無人駅で降りる…列車で旅をしていた頃、よくそんなことをしていた。
知らない村を行き、川の畔でぼんやり景色を眺める、風渡る田んぼの中の道を歩く。
ある時、道の法面に寝転がっていると軽トラが停まり声を掛けられた。

兄ちゃん、どっから来た?
ここに知り合いでもいるんか?
これからどこ行くんだ?
なに決まってねえ?

具合でも悪いのかと心配して声を掛けてくれた農家さんから矢継ぎ早に質問を受け
ただフラリとやって来ただけだと知ると寅さんみてえだなと笑われた。
昔、知り合いの姉さんが複数の占い師に聞いたところによると
いずれもあんたは放浪癖があるんだってよ…らしいから、まんざらハズレでもなかったのだろう。



佐久平の広い田んぼ道を歩く。
稲がさわさわと音を立てて風に揺れている。
そんないつだか見た光景にいると、さてどこへ行こうかねぇといった気が頭をもたげる。
運行形態の変化により、し難くなった列車の旅から脚はバイクや車となったが
歳をとった割に自分の行動は三十数年前とそんなに変わってないのかもしれない。




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  1. 2019/11/05(火) 04:31:04|
  2. 小海線
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被災地に祈る

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小海線 太田部~龍岡城


明日はいずこか浮き雲に 煙たなびく浅間山…
五木ひろしが歌う山口洋子作詞の「千曲川」の一節である。

秋の風立つすすきの径よ、
寄せるさざ波 暮れ往く岸に 里の灯ともる信濃の旅よ…

幼い頃に見ていたそのままの光景が唄われ、この曲を聞くたびに胸に込み上げて来るものがある。


浮き雲に頂を隠した浅間山が稲穂揺れる里を見下ろす。
心なしか蝉の声も元気をなくした初秋の景色に、ハイブリッド車輌といわれる列車が気持ち良さげに駆けて来た。

台風15号の影響か、借り入れ前の多くの稲が倒れ、それが冷めやらぬ内に今度は台風19号だ。
上流の佐久穂町の被害状況からして、この地区も相当な被害が出たのではないだろうか。
夏には被害がなかったとはいえ浅間山も噴火し、地元の方々の心労はいかばかりか。

寄せるさざ波、暮れ往く岸…
秋の風立つすすきの径に、平穏な里の灯が一日も早く燈ることを祈りたい。




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  1. 2019/10/25(金) 21:59:05|
  2. 小海線
  3. | コメント:0

境界線

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小海線 小淵沢~甲斐小泉


前回同じ場所で雲に隠れてしまった南アルプスの甲斐駒ケ岳と鳳凰山。
小海線の代表的風景のひとつが故、どうしてもしっかり見ておきたかった風景だ。
既に多くの好作品が出回っているが、そこは自身の目に焼き付けておきたいと再び小海線を訪れた。

9月半ば、快晴。
稲穂が頭を垂れた金色の野を列車はぐるりと周回しながら高原へと駆け上がる。
背後から流れる八ヶ岳の風が胸に染み入る。

かつて茅野の町から高度を上げ、八ヶ岳の裾野にいた頃の幾度となく嗅いだ山麓の匂い…
感覚としてそれは韮崎を過ぎ、長坂辺りから強くなって来るようだ。
小淵沢では更に強くなり、その頃に感じていた充実した日々と幸福感は懐かしくもあり、切なくもあり。

甲斐から信濃へ、信濃から甲斐へ。
行く楽しみと帰る寂しさ…小海線はその境界線に当たり、
従って帰る時にはなかなか越えることを躊躇わされる路線である。




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  1. 2019/10/16(水) 00:35:15|
  2. 小海線
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