笛の音響けば

汽車の音色は旅へと誘う道標

国鉄の残影・後編

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ガラリと扉が開いて、駅長さんがフライキを持って本屋から出てくる。
信号機のテコを倒して腕木がガタンと音を立てて下がった。

下り場内、進行よし!



早春の日差しに微睡んで…


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トラ70000、ハワム80000、ワフ29500…
ローカル貨物が主をまだかまだかと待っている。

キューロクよ、早くやっておいで・・・。


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旧国鉄相生線 北見相生駅


けれども二度と汽車は来ることはない。

まるで路線が生きてるように見えたのは、薪が積まれた生活感のある駅に貨車が停まっていたからか。


ここは阿寒の麓の終端駅。
いつか釧路に繋がる夢破れ、来るはずもないキューロクを今も赤い涙を流して貨物列車が待っていた。




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  1. 2018/04/25(水) 18:01:23|
  2. 廃線・保存機
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国鉄の残影・前編

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長い冬が終わりを告げ、北辺の駅にもようやく春がやって来た。



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腕木が倒れて進行現示になるのをじっと待ち続け、年月だけがいたずらに過ぎて行く…。



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福寿草が咲いて季節は廻っているというのに…



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旧国鉄相生線 北見相生駅


おーい、いつまで待てばいいんだ~?

発車を待つキハ22の、そんな声が聞こえた気がした。




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  1. 2018/04/22(日) 14:51:30|
  2. 廃線・保存機
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春はまだか

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石北本線 呼人~女満別


4月半ばとなって北海道は未だ緑の少ない殺風景な趣きだ。
冬の季語に三寒四温という言葉があるが、まさに関東育ちの身にはまだ晩冬とも呼べるもので
暖かい日が二・三日続いたと思えば雪となり、春らしさが出るまで今しばらくといったところだろう。
3月4月の北海道は何年過ごしても耐え難い苦痛の季節でもある。

北国の春を報せるフキノトウは大地に色が戻る先駆け的な存在だ。
街や日当たりのよい場所ではだいぶ延びてきている一方で少し山沿いに向かえばまだ若い。
本州各地より約一ヶ月遅れてやって来る春。
やっと来たかと思えばいつが春だったかと思うくらいに加速して通り過ぎてしまう春。
そんな春でも長い冬を過ごしてきた人々にとってはとても待ち遠しいのである。




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  1. 2018/04/14(土) 21:22:15|
  2. 石北本線
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喜びの季節



真岡鐡道 多田羅~七井


満開の梅の暖簾を掻き分けてC12がひょいと飛び出して来た。
ちょいと浮かれているように見えたのは、花々が彩る季節が本番を迎えようとしているからだろうか。
鶯は春を唄い、見事な白木蓮が咲く緑の林からは国鳥であるキジの鳴き声も聞こえて来る。
命あるこの世のもの全てにおいて、この季節が嬉しくないはずはない。


4月に入り比較的暖かな日が多かった北海道。
一気に雪解けも進み、ふきのとうや福寿草など、殺風景だった景色に少しだけ色が芽吹きはじめた。
関東の場合、桜の後にツヅジとなるが、こちらでは桜の前にツヅジが咲く。
もっとも桜もツツジも種類が違うから咲く順番がおかしいということではないのだろう。
鮮やかな色が潤い出すまでようやく先が見えてきたという楽しみに水を差すように
今日の北海道は小雪がチラつく寒い日となり、先月末、春の景色にいたことが不思議にすら思う。

今年は桜の訪れは早かっただけに芳賀路ではもう散り始めている頃だろうか。
やがて田には水が張られ、稲が植えられ、若葉は眩しくツツジが彩りを添え
色彩が豊かになった景色に鯉のぼりが泳ぐことだろう。
いずれまた、のどかな農村風景に足音を刻む彼らを求めて芳賀路を訪れてみたいものである。




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  1. 2018/04/07(土) 02:48:56|
  2. 真岡鐡道
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茶の間に流れた汽車の音

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既に何度か記事にしているが、僕の母親の故郷は信州の北信地方だ。
地元では「たかやしろ」と呼ばれている高社山の麓の小さな村の出で、千曲川が目の前に流れる唱歌「故郷」発祥の地もさほど遠くない。
母の実家は戦後間もなくなくなっているが、当時は村で一・二を争う大きな屋敷だったらしく、
河東鉄道が信州中野より延伸するにあたり土地を無償で提供し村に鉄道が開通した。
それが平成14年に廃止となった長野電鉄木島線である。

実家近くの親戚の家が実家代わりで、物心がつく前からこの家に転がり込み、そこは僕の第二の故郷、実家でもある。
志賀の山々を源とする夜間瀬川が千曲川と合流する辺りに架けられていた橋は昭和40年前半まで欄干もない木製の橋で、
たまに車が渡るとガラガラと雷のような音を立てていた。
北陸新幹線の工事がされるまで高社山からの湧き水が庭の池にゴポゴポと流れ、山羊や鶏、兎の匂いがする田舎の家だった。
築140年の雪国の家は堂々としており、今でもトイレは離れで土間の名残りからサンダルを履かねば風呂場にも行けない。
昔は屋根裏に蚕を飼っていたようで天上はやけに高く、一里一尺の言葉がある豪雪地帯らしく二階には玄関跡が残る。
僕の幼少から少年時代はそんな家で半分育ったようなものだ。

池の音や家畜の匂いが漂う田舎の家に遊び疲れて帰って来ると
「ほれ、おめぇ食え」とお茶請けに楊枝が刺さったリンゴや味噌漬けを婆さまが出してくれる。
お茶をズズッと飲む爺くさい子供だったが、柱時計がカチカチと流れる茶の間で過ごすささやかな時間は心地良く
そこへ時々ガタン、ゴトンと響く木島線のオンボロ電車の音もまたジンワリと湧いて来るものを子供ながらに感じていた。



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真岡鐡道 七井~多田羅


立派な木々が民家の背後を守る典型的な田舎の家。
庭先の地べたを這うように、ヘロヘロの小道を汽車がカラコロ走り往く。
時代も地域も全く違うけれど、きっとこの家も、茶の間に何気に汽車の音が流れているんだろうな…と、
あの頃嗅いだ懐かしい景色を思い出していた。




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  1. 2018/04/06(金) 04:11:15|
  2. 真岡鐡道
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Author:u403tsugaru
下手な鉄道写真を撮っておりますが、沿線風景や旅先での一コマなども載せていこうと思います。
見て下さった方の一人でも郷愁感や旅への思いをお持ち下されば嬉しく思います。

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