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笛の音響けば

汽車の音色は旅へと誘う道標

秋の宗谷本線 音威子府にて

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宗谷本線 音威子府


僕はご当地グルメなど全く興味なく、そこらのアンパンで十分なのだが
道北に来たら音威子府の駅蕎麦だけは楽しみのひとつにしている。

高速旅客機の中で断トツに好きなC55が牽く宗谷本線の列車に揺られ、
自分もその内の一人になりたかったと写真を眺めていた少年時代のこともあり
僕は勝手にこのそばを「シゴゴそば」と呼んでいる。

もう、こんな時間じゃ絶対にやってないと思いつつやって来た音威子府駅。
案の定、店は閉まっていたが、駅弁やキヨスクなどが次々廃止され、つまらぬ表情になってしまった地方の駅にあって
蒸機時代から今も残る立ち食いそば屋は末長く残って欲しい存在だ。


駅の外に出ると気動車のエンジン音が聞こえていた。
古い跨線橋の脇から覗くと静かなホームにガラガラとエンジンをアイドルさせるキハの姿があった。
名寄14時55分のところの4327Dとしてやって来た彼は、
列車番号を4337Dと変えて終着稚内へと下るまで、ここで約一時間の停車をする。
過ぎ行く秋の宗谷路に脚を踏み出す頃、既に日は暮れ、寒々とした叙情の旅路を迎えるはずだ。

生憎、蕎麦にはありつけなかったが、遠く果てを見つめるキハの後ろ姿は
「シゴゴそば」を食した後のように心を熱く満たしてくれた。




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  1. 2018/11/05(月) 16:14:04|
  2. 宗谷本線
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秋の宗谷本線 150年後の北加伊道

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宗谷本線 筬島~音威子府


音威子府という地名を聞いた時、面白い読み方だなぁと思ったものだ。
安足間(あんたろま)、興部(おこっぺ)、丸瀬布(まるせっぷ)、計根別(けねべつ)…
鉄道が好きだったことから比較的読める地名はあったにせよ、それでも初めて北海道を旅した時は結構苦労して
道中で知り合った者同士で教えあったりしていた。
中には弟子屈を「てしじり」と読んでる者がいて、「屈」はどうみても「しり」とは読まんだろうと
言ってやるのもバカ臭く思っていたが、要は読めない地名が多過ぎ、
後からアイヌ語を漢字に充てたと聞いてなるほどと思ったものである。

以前、親の都合で幌延に住んでいたという友人から男能富という地名があると教えられた。
これは「だんのっぷ」と読むのだが、バイク乗りの性からか「だんろっぷ」に聞こえ
大真面目にタイヤメーカーのスタッドレスタイヤか何かの試験場がある所かと思ったものだ。
「てしじり」と大して変わらないオツムである。

そんな北海道も平成最後のこの年、北海道と命名されて150周年を迎える。
安政4年、松浦式四朗が天塩川流域をアイヌの人らと探査した際、宿泊したとされる音威子府の長老から
アイヌの通称である「カイナ」の「カイ」はこの国に生まれた者…と聞いたことから
「北加伊道(ほくかいどう)」という名が付いたらしい。


道内で一番好きな天塩川、その流れに秋を落として列車が往く。
まさか150年後、流域を探査の旅をした松浦式四朗も、こんな美しい鉄道風景が見れることになっているなど
当時は思いもしなかったことだろう。




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  1. 2018/11/03(土) 18:57:13|
  2. 宗谷本線
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秋の宗谷本線 紋穂内俯瞰

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宗谷本線 紋穂内~恩根内


当初、今回はパスしようかなと思っていた。
それでもどうせ通り道だし覗くだけ、と車を降りてみるとやはりいい。

適度に蛇行しながらゆったりと流れる天塩川…
それに沿いながら、秋を装う森を掻き分け走る鉄路…

有名な撮影地であるかもしれない。
それ故、誰が撮っても似たか寄ったかになってしまうかもしれない。
でも、いいものはいいものなんだ。




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  1. 2018/11/02(金) 04:55:54|
  2. 宗谷本線
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秋の宗谷本線 響きと共に

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宗谷本線 紋穂内~恩根内


国道40号線から天塩川を渡った所に紋穂内の駅がある。
駅近くの集落は両手で数えきれるほど僅かなものだ。
限界集落なんて言葉が出てきて久しいが、多分ここもそのひとつなんだろう。


若い頃、夕張線川端駅近くに実家を持つ職場の先輩宅に泊めさせてもらったことがある。
当時は先輩も故郷を離れ、東京の同じ職場にいたからご家族とは面識がない。
それでも、せっかく北海道に行くんだから俺ん家に泊まってけよと言う。

「職場のこういう奴が行くからって親に伝えたら、おお、よし来いよし来いと言ってるしよ」

しかしそれはあまりにも厚かまし過ぎやしないかと不安がる僕に、親待ってるからよ、行って来いよと念を押されるようにしてお邪魔した。

周りには一軒も家がないからすぐ分かると言われた先輩の実家は本当にすぐに分かった。
「北の国から」とか古い映画に出てくるような古い家だった。
とはいえ、バイクで林道を走りまくった泥だらけの旅姿に、さぞ嫌な顔をさせるだろうと覚悟して訪ねると
これまた活発そうな、それでいて優しそうなご両親が現れた。

初見の挨拶もそこそこに、
「おお、よく来たよく来た。年寄り二人暮らしだからロクなもん食わせてやれんが、ほんとよく来た」
と暖かく迎えてくれた。
水道は裏山から引いた水が常時流れ、薪ストーブで湯を沸かし、古い暮らしだろと笑う。
部屋に飾ってあった夕張線のデゴイチの写真を見ていると、下手な機関士だと坂を登れんでよ…と当時の話もしてくれた。

心尽くしの夕飯を頂いて風呂場から見た夜空には、満天の星と遠く札幌の街明かりがぼんやり映り、
もの悲しげに夕張川を渡る列車の音が聞こえていた。

周りに人がいなくて寂しくないですかと聞く僕に、ずっとこういう所に住んでるから思ったこともないと言う。

翌日、古い発電所跡のある公園や近くを車で案内してくれ、帰る時には見えなくなるまで見送ってくれた。
振り返り振り返り手を振る先の視界には、古くて小さな家と二人の姿がどんどん、どんどん小さくなる。
別れの言いようのない感情に締め付けられながら、やがて山と広い田畑の景色に飲み込まれていった。

今はご両親も他界され、実家には早期退職した先輩も戻り夫婦で農業を営んでいるが、恐らく先輩の代で終わりだろう。

先人が苦労の上に開拓したあの大地の行く末はどうなってしまうのだろう。

北海道の、こんな地域の景色を見ていると、あの時広い景色に消えていった二人の姿が甦ってくるのだ。
あの暖かさとあの笑顔が、去り往く列車の響きと共に…。




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  1. 2018/10/31(水) 01:01:44|
  2. 宗谷本線
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秋の宗谷本線 年月経っても

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宗谷本線 初野~紋穂内


初めてこの景色に出会ったのは2002年の秋だった。
今も乗り続ける600ccのオフロードバイクを、関東在住時にお世話になっていたバイク屋さんから購入し
あまりの難しさから早く慣れようと道内を乗り回していた頃に出会ったものだった。
ラフに扱えばフロントは浮きまくり、発進時には後ろから蹴っ飛ばされたような加速をする。
不用意にスロットルを開ければリヤは流れ、半べそになりながらこの景色がポッと現れた。

どこまでも広がる大地…
民家など忘れた頃にポツンとある…
などといった北海道をイメージする景色とは少し趣きが違う。
森と畑、点在する民家とのバランスが程よい生活感を漂わせ、暮らしの中に線路がある。
そこに偶然やって来た列車。
雄大な自然を往くのもいいけれど、秋色進む人里の、鉄道のある風景が何とも心地よくホッとさせられた。

あれから16年。
当時と比較したら樹木も線路脇の雑草も随分伸びたことだろう。
それでも、あの時覚えた気持ちは変わらない。

列車の足元が隠れることを承知しながらもそんなことはどうでもいい。
なぜなら僕にとっての大切な、鉄道風景が今もポッとそこにあったのだから。




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  1. 2018/10/30(火) 14:31:56|
  2. 宗谷本線
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