笛の音響けば

汽車の音色は旅へと誘う道標

また来年ね…

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丸瀬布いこいの森


いこいの森に着いたのは、もう陽が山に沈む直前だった。
稜線がほんの一時朱く染まり、それが過ぎると途端に空気が冷えてくる。

ポォー・・・

寒々しい色となった武利の山に、寂しげに笛の音が木霊した。
今年の運行もあと僅か。
関係者の必死の努力で昨年の台風被害から見事に全線復活を果たし、
喜びを胸に走った森の汽車はまだまだ走りたいのだろう。
今年も様々なお客さんを乗せ、小さな汽車はみんなを笑顔にしてくれた。


また来年会いに来るから…

客車と丸太を積んだ貨車と手を繋ぎ、在りし日の姿で迎えてくれた森の汽車は
ここが公園内ということを忘れさせ、最後に美しい光景を僕に見せてくれた。





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  1. 2017/10/21(土) 00:13:01|
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春の林鉄

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丸瀬布いこいの森


雨宮21号としていこいの森を走る元武利森林鉄道の18号形蒸気機関車。
軽便鉄道の車輛はどれも個性的でユーモラスな形が多い。
この雨宮も寸詰まりな身体に小さな3つの動輪を持つかわいらしい機関車だ。
一丁前に

「シポポポ、シポポポ・・・」

と、これまたかわいいドラフトを奏でて煙中毒者の気持ちを和ませてくれる。
それでも時には国鉄型蒸気顔負けの迫力を見せるところは、痩せても枯れても蒸気機関車なのだと思わされる。


駅を中心としてその前後にリバース区間を設け、約2キロほどの線路を走る雨宮。
昨年は台風被害で片側のリバースだけでピストン運行となっていたが、
関係者の必死な努力で今年は全区間運行されるに至った。

当日は曇りで風も強く寒い一日だった。
来園者は疎らであったものの、毎回運行される時間間際になると数人集まり、それは最終運行まで続いた。
お客さんを乗せた雨宮はシポポポ‥シポポポと走る。
林間区間は一番の見せ所。
煙を吐いて往く雨宮は、かつての自身が活躍した森林鉄道を思わせてくれた。

沢に咲くリュウキンカに見送られ、煙を吐いてシポポポ、シポポポ・・・
武利の機関車は本当に愛らしい機関車である。




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  1. 2017/05/18(木) 14:43:42|
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名残り桜

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丸瀬布いこいの森


今年の桜は咲き始めたかなと思ったらパッと満開になって、パッと散ってしまった感がある。
勤務の巡り合わせが悪かったこともあって余計にそう感じたのかもしれないが、結局通勤路と職場以外で桜を見ることはできなかった。

丸瀬布いこいの森。
遠軽から内陸に入った山に囲まれた丸瀬布の町からさらに奥に入る。
ひょっとしたらまだ桜は残っているのではないか…、その期待は見事に外れた。

それでも公園内になんとか花をつけていた木が一本だけあった。
ほぼ終わりかけの散り桜であったものの、桜のいいところはなにも八分咲きや満開だけではない。
エゾヤマザクラはソメイヨシノや垂れ桜のような風流さはないにせよ、それなりの風情があるのはやはり桜ならではのように思う。

山は若葉が芽吹き始めそろそろ新緑も出揃ってくる頃。
春のリレーは着実にバトンを渡されているのだろう。

もう少し咲いていたいな…と花開く姿が健気に思えた。
名残惜しそうに咲く桜を、公園の人気者である雨宮は武利の山に汽笛響かせ、優しくそっと見守っていた。




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  1. 2017/05/14(日) 12:34:26|
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彩る森の煙

秋本番の北海道。
今年は残暑もなく台風にも見舞われて、はたして紅葉はどれほどのものだろうと心配していたが
10月に入り一気に冷え込んだこともあってか意外といい色付きのようだ。

四方を山に囲まれたいこいの森。
白い綿毛を纏った雪虫が、もう冬はそこまで来ているよと辺りを舞っていた。
台風被害に遭いながらも汽笛を響かせ続けた雨宮は来週末をもって今年の運行を終える。
(12月には特別運行が予定されているとのこと)
様々な想いを込め、彩られた武利の森に煙が漂い笛の音が吸い込まれていく。
僅か一輌の客車には、紅葉を楽しみに来られた人たちの笑顔が溢れていた。

来年は公園内の線路は全線復旧となるのか気掛かりであるが
それでも小さな機関車はたくさんの人を笑顔にしてくれるであろう。
そんな武利の煙見たさに、僕もまたここに来ることを楽しみにいこいの森を後にした。



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丸瀬布いこいの森




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  1. 2016/10/17(月) 22:55:45|
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揺らぐ煙に

先日、久しぶりに「男はつらいよ 柴又慕情」を観ていた。
例によって夢から覚めた寅さんがいた所は尾小屋鉄道金平駅。
古びた木造駅舎、短い島式ホームに止まる一輌の気動車、そのデッキには牛乳が積み込まれ
すまねぇすまねぇと急ぎ早に乗り込む寅さん。
ディーゼルの排気を残し、蛙の鳴く寂れた里の風景にタイフォンを残して消えていく列車。
その切ないほどの旅情感は何度見てもなんとも言えない気持ちにさせられる。

あの頃の鉄道風景というのはなぜあれほど美しかったのだろう。
絶景とはいえなくても、単なる田舎の風景に一本の鉄路が存在しているだけで
人々の暮らしやその土地の匂いまで運んでくれ、同時に旅先から故郷を思う気持ちにさせられた。
それは夕べに家族が待つ家路に向かう、あのホッとするような感覚にも似ていたように思う。
軽便鉄道が各地に存在していた現役時代とは、そんな人々の暮らしにもっと密接していたものだったのだろう。
車庫から視線を送るコッペル越しに揺らぐ雨宮の煙に、当時の人々の暮らしぶりが見えてくるようだった。



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丸瀬布いこいの森




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  1. 2016/10/05(水) 01:23:40|
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プロフィール

u403tsugaru

Author:u403tsugaru
下手な鉄道写真を撮っておりますが、沿線風景や旅先での一コマなども載せていこうと思います。
見て下さった方の一人でも郷愁感や旅への思いをお持ち下されば嬉しく思います。

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