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笛の音響けば

汽車の音色は旅へと誘う道標

フェンスの向こう

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横浜に住んでいた友人の嫁さんは、父親がアメリカ人、母親が日本人のハーフだった。
父親はベトナム戦争を生き残り、同じく軍人である彼女の叔父は在日米軍施設に勤務していた。
その施設は現在日本に返還されたようで、はたしてどの辺りにあったのかは覚えてないが
ある時、友人夫婦に誘われて行ったことがある。
家族ならともかく、単なる友人如きで米軍施設に入れるのかと聞いたが全く平気だという。
パスポートないぞ?ゲート潜っていきなり発砲されたんじゃたまったもんじゃねぇぞ?
そんな心配は杞憂に終わり身分証を見せろと言われることもなく、呆気ないほど簡単にバイクでゲートを通してくれた。

フェンスを挟んだだけなのにこうも違うものか…
視界に入るものが日本にあるカタチのものじゃない。
建物といい、全体の造りといい、表記も聞こえてくる会話も当たり前だが全て英語。
叔父だという彼とも彼女を通しての会話だ。
彼もまたバイク乗りだと陽気に笑うその仕草や表情を全面的に出す辺り、うーん、やっぱり日本なのに日本じゃない。

そう広くない施設ではあったが、映画でよく見るパトカーが常に巡回し、その頻度は日本の比ではなく
それこそここでウイリーなんかしたらすぐにパトカーがやって来て、後ろを向かされ銃を突きつけられるよと言っていた。
格納庫のような建屋にある食堂に招待してくれると、これまた映画でよく見かけるシーンのよう。
天井には万国旗が垂れ下がり、ロックが流れ、体のデカい軍人がHAHAHAなんて笑っていやがる。
好きなものを頼んでいいよと言われても、どれが何だか何がどうだかさっぱり分からず、
出て来たランチはゴテゴテの巨大な盛り付けのパスタだった。

横田基地にジェット燃料を運ぶ集うタンク車に不思議な感覚が甦る。
首都高速湾岸線が通り、つばさ橋が奥に見えるというのに、
ここのフェンスの向こうもまた日本の中にあるアメリカなのである。



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横浜市安善町 在日米軍鶴見貯油施設




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  1. 2019/08/09(金) 03:48:00|
  2. 駅・設備
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令和元年 いつの時代も

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大井川鐡道 千頭    2018年12月撮影


汽車の煙が漂うホームにて楽しげな声が聞こえて来た。
お父さんと手を繋ぎスキップする男の子。
きっと嬉しくて、楽しくて、仕方ない様子が伺えた。

さ、ここだよと息子に優しく促すお父さん。
これから巡る汽車の旅は、父と子それぞれにどのような時を刻むのか。

やがて年月が経ち、時代が移り変わろうとも
どうか、この日のことが深く尊いものになりますよう。




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  1. 2019/05/01(水) 00:01:00|
  2. 駅・設備
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刻まれた風景

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大井川鐡道 千頭    2018年12月撮影


ブロワーやコンプレッサーなど機器類の、音のない古い箱。
その先頭にはどんな機関車が付くのだろう…とワクワクしながら待っていた。
規則正しく奏でる箱のリズムを聞きながら、これから自分が見るであろう汽車の旅。
煤けた黒い巨体が現れたなら、胸の鼓動ははち切れんばかりに高鳴った。


野辺に揺らぐ花の匂いを纏った春
開け放った窓から流れ込んだ潮風香る夏
斜陽に傾く寂しげ色の秋
しばれた車窓を流れるスチーム暖房にうたた寝した冬…

石炭の匂いと一緒に刻まれたあの日の風景は、いつもこんなシーンから始まった。




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  1. 2019/02/24(日) 11:26:41|
  2. 駅・設備
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往年の輝き

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大井川鐡道 千頭    2018年12月撮影


時代を走り続けて来たのは何も蒸気機関車だけじゃない。
旧客…彼らもまた蒸機に牽かれ、ディーゼルや電気機関車に牽かれ西に東に、北へ南へ疾駆した。

転車する機関車に注目が集まる片隅で目に付いた急行サボ。
往年の、客車急行ならではのキリリと引き締まった表情には独特な存在感がある。

今の便利さはなかったけれど、まだ日本ががむしゃらだった時代。
それを支え続けた彼らには、なにか誇らしげな匂いが滲み出ているような気がした。




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  1. 2019/02/21(木) 17:59:41|
  2. 駅・設備
  3. | コメント:0

帰りたくない病

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2016年11月 山口線 山口駅    


長いこと旅行に行っとるでしょ。そうすると家が新鮮な場所に思えて一番いいって思うんよ。

三河地方にいる姉のように慕っていた従伯母に言われたことがある。
学生から社会人になっても、とにかく休みになるとほとんど家にいない。
ある時フラッと予告も計画もなしに列車で、バイクで、知らない土地へ、いい景色を求めて出てしまう。
今思うと、その言葉はあまり親に心配かけるなという意味もあってのものだったのかもしれない。


SLやまぐち号の撮影旅行と僅かながら山陰の旅を今、終えようとする朝の山口駅。
家に着くまでが道中であるが

これに乗ったらもう何もかもがおしまいだ!

と切羽詰まったような、言いようのない重い空気がのし掛かる。

帰りたくない…
このままズラかっちまおうか…

多少の程度はあれ、そう思う人はいると思う。
途中で事が進まずつまらない思いをしようが、トラブルに見舞われ半泣き状態になろうが変わらない。
今でこそ出歩く回数は減ったがその欲求は衰えず、そして帰りたくない病は相変わらず発病する。
従って未だに家が一番いいと思ったことがない。


ホームに響くエンジン音。
その音は、これから山陰の、日本的な美しい景色へと響いていくはずだ。
地元の人が見る車窓と帰る者が見る車窓、同じ車窓でも全く違うものだろう。
後者の車窓ではなく、僕は前者の車窓を見たいのだ。
となると、もうそこに住むしかないのだがあまりにも非現実的だ。
どうやら家が一番いいと思うこともなく、帰りたくない病は一生悩まされ続ける病であるようだ。




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  1. 2018/11/15(木) 00:12:14|
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当ブログは写真ブログではなく、あくまでも日記の立ち位置のつもりでいます。写真は落書き代わりのいい加減なものですので、予めご了承下さい(´▽`;)ゞ

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