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笛の音響けば

汽車の音色は旅へと誘う道標

桐の花散る頃

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飯山線 西大滝~桑名川    2019年6月撮影


この道を行けばどこに行くんだろう、どんな景色があるんだろう…
時刻表の路線図を見て、沿線の景色に胸を膨らませた少年期のような思いで突っ込んだ道の先にあった紫。
終わりかけということもあり、見ている間にも花がハラリハラリと散っていく。
風が吹けば一気に落ちそうな勢いに、やって来た列車も花を落とさないようにと気を遣い、忍び足で鉄橋を渡っていく。
緑は深みを増し、これから夏へと向かうというのに
蔓が巻き付き荒れ気味の桐の木には、かつて活気のあった頃の村の匂いはなく
残った僅かな人の気配がする少し寂しげ色をした桐の花だった。




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  1. 2019/07/16(火) 03:21:17|
  2. 飯山線
  3. | コメント:0

素朴

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飯山線 替佐~蓮


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替佐~蓮


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上境~上桑名川


アップダウンと急曲線を繰り返す飯山線。
新参者の北陸新幹線を余所に、なにもスピードだけが全てじゃないと言いたげに
田舎の汽車はのんびり走る。

せっかく旅に出たのにスマホばかり弄って
ただ美味い物を食って
ただ撮影することだけに夢中になって
目の前に広がる風景に目もくれず、移動中も必死にモニターを見て
今、それをここですべきこと?
もっといい所を見逃してない?
肌で土地の匂いを感じてる?
一体、君はここへ何しに来たの?

川を見て、里を見て、緑を見て…
流れる景色は観光地の目を見張るような絶景ではないけれど
なんでも揃う街のような便利さはないけれど
そこに暮らす人の営みに豊かさってなんだろう、なんて思わさる。

もっと純粋に、もっとシンプルに…
旅に出たなら余計なものは背負わずに、田舎の列車を見送りつつ土地の匂いを感じていたい。




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  1. 2019/07/14(日) 03:00:35|
  2. 飯山線
  3. | コメント:0

幻走



飯山線 戸狩野沢温泉~信濃平


ハスクバーナというバイクのメーカーがある。
ドイツのBMW、オーストリアのKTM(決してカツミ模型ではない)と並ぶスウェーデンのバイクメーカーのひとつで
チェーンソーや草刈り機などの造園機器メーカーといえば分かる方もいらっしゃるかもしれない。
現在、バイク部門は先のKTM傘下となってしまったが、古くからのオフロードバイク老舗メーカーである。
以前、そこのプロモーションビデオのひとつに道無き山岳地帯を走るものがあった。
その中に、森を抜けたライダーが新たなルートを探しながら走るというシーンで
湖畔に影を落として水鏡となった姿だけを追う幻想的な映像があった。

先日成す術もなく終わった薄明時の水鏡。
そうだ、あのビデオのパクリをしてみようと再び水際に立った。
畔の至る所でゲコゲコと鳴く蛙の声を掻き分けて、影を落とした列車が走り去る。
ファインダーに映し出された水鏡だけの世界で見送った光景は幻を見ているようだった。
鏡に映る現象を鏡映反転というらしいが、ならば撮った画像を更に反転してしまおう。
本当の世界ならば左右逆なのだけど、
そうした風景をオタマジャクシは水中からこんな風に外の世界が見えているのかしら…。




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  1. 2019/07/07(日) 06:37:34|
  2. 飯山線
  3. | コメント:0

夢のあと

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飯山線 桑名川~上桑名川


神社の境内は子供の頃の遊び場のひとつで、お寺さんより身近に感じていた。
当時は地元の小さな神社でも、お祭りになると屋台がズラリと並び、
いかにも、といったヤクザのテキヤも来ていて活気があったものだ。
寅さんならぬ洒落と語呂を合わせた口調でまやかし物の売をする…
子供には啖呵売の意味が分からなくても調子のいい口上はお囃子に合っていたと思うし
楽しい雰囲気に乗って客はそれを承知で買うのも祭りのリズムであったように思う。
一夜明けると祭りの後とはよく言ったもので、あのガランとした寂しさは夢から覚めたようで何とも言えない感情が込み上げたが
それもまたすぐに忘れ、子供たちの遊び場となる日常に戻って行った。

古い神社がある路地を曲がると道の真ん中で村の子たちが遊んでいた。
若いお母さんが申し訳なさそうに会釈して子供たちを避けさせる。
余所者が村をお邪魔するのだからとこちらが申し訳ない思いで会釈を返す。

台輪と控え柱のある木造の鳥居は神額に諏訪大明神とあった。
拝殿も古いながら立派なもので、後で調べてみると無形民族文化財に指定されている祭りがあるという。
だからという訳ではないが、どことなく宿る空気はより厳かで身が引き締まる思いだった。
そんな伝統ある神事が残る神社と、地元のしょっぱい神社と比較するのはおこがましいけれど…
昭和の頃なら参道にテキヤの屋台が並んだのではないだろうか。
道で遊ぶ村の子たちを見ていたら、なんとなくそんな風に思ったのだ。

信州信濃の新ソバよりも、あたしゃあんたのソバがいい。
あんた百までわしゃ九十九まで、共にシラミの集るまでってやつ!!
頭に浮かんだ売をする威勢のいい声を列車の音がかき消して、いつの間にか子供たちの姿も消えていた。
西に傾く陽の光…
静かに沈みゆく境内は祭りの後のような寂しさが押し寄せていた。




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  1. 2019/07/01(月) 08:05:14|
  2. 飯山線
  3. | コメント:0

千曲川スケッチの車窓

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飯山線 替佐~蓮


奥秩父山塊を源とする千曲川は、県歌信濃の国に唄われる佐久平、善光寺平と北上し関田山脈に沿って東に向きを変える。
名だたる豪雪地帯の谷を削り、越後へと流れ出た川名は信濃川と変え、米の一大産地を潤したのち日本海へと注がれ長い旅を終える。
その川に案内されるように敷設された飯山線。
蓼科、真田、姨捨、志賀…様々な山地から支流を集め、滔々と流れる大河を車窓に
列車はうさぎ追いしかの山を見て、小鮒釣りしかの川を渡る。

赤い屋根の家は、あるブログをされてる方によれば明治時代には既にあったらしい。
古い写真を見てみると当時から築年数は経っているようにも見え、ひょっとしたら江戸時代からのお宅かもと時代のロマンを掻き立てる。
飯山線の前身飯山鉄道が信越本線豊野から飯山まで開通したのは大正10年だから
島崎藤村が詠んだ千曲川のスケッチの風景を知る今では数少なくなった家のひとつであろう。
飯山線はそんな景色をコトコト走るのだ。


上信越道、北陸新幹線開通から急速に姿を変えつつある信州。
経済効果も上がり便利になったと言うけれど、それに比例するように地方らしさは薄れ、
昔の風景が失われ都会化していくことに心を痛めている人も多く、変わり往くふるさとの風景は見たくないと帰らない出身者もいるという。
北信らしい風景を行く飯山線の車窓…
いつまでも残って欲しい、残して欲しいと願う風景だ。




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  1. 2019/06/26(水) 12:29:23|
  2. 飯山線
  3. | コメント:2
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当ブログは写真ブログではなく、あくまでも日記の立ち位置のつもりでいます。写真は落書き代わりのいい加減なものですので、予めご了承下さい(´▽`;)ゞ

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