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笛の音響けば

汽車の音色は旅へと誘う道標

境界線

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小海線 小淵沢~甲斐小泉


前回同じ場所で雲に隠れてしまった南アルプスの甲斐駒ケ岳と鳳凰山。
小海線の代表的風景のひとつが故、どうしてもしっかり見ておきたかった風景だ。
既に多くの好作品が出回っているが、そこは自身の目に焼き付けておきたいと再び小海線を訪れた。

9月半ば、快晴。
稲穂が頭を垂れた金色の野を列車はぐるりと周回しながら高原へと駆け上がる。
背後から流れる八ヶ岳の風が胸に染み入る。

かつて茅野の町から高度を上げ、八ヶ岳の裾野にいた頃の幾度となく嗅いだ山麓の匂い…
感覚としてそれは韮崎を過ぎ、長坂辺りから強くなって来るようだ。
小淵沢では更に強くなり、その頃に感じていた充実した日々と幸福感は懐かしくもあり、切なくもあり。

甲斐から信濃へ、信濃から甲斐へ。
行く楽しみと帰る寂しさ…小海線はその境界線に当たり、
従って帰る時にはなかなか越えることを躊躇わされる路線である。




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  1. 2019/10/16(水) 00:35:15|
  2. 小海線
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もうひとつの古里

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小海線 甲斐小泉~小淵沢


高原列車が八ヶ岳山麓の大築堤を駆け降りる。
爽やかな気候と高く澄んだ空…、ここの景色はとにかく清々しい。


「ちょいとその辺まで行ってくる」
前日にそう伝えて早朝に家を飛び出した。

生まれも育ちも信州の母は教員だった父親の転勤で
戦前から戦時中にかけて諏訪地方の岡谷、茅野に住んでいたという。
特に小学校から高等科にかけての三年間は、16歳で母親を亡くす(享年33歳)までの多感な年頃だったために
思い出は強く、八ヶ岳のある風景には懐かしさが一入募るようだ。

思い出話から
「昔はおやきなんてあんこしかなかったよ。
お袋さんが作ってくれたおやきが懐かしいねぇ。五平餅も久しぶりに食べたいねぇ」
という母…。
僕にとっても家族にとっても諏訪地方は北信地方と並び格別な思いがある土地だ。
鉄道写真なんぞほどほどに、そんなものより大事なことがある。

以前よく行っていた店まで足を伸ばし土産に買っていけば
小倉あんのおやきを頬張る母の目は、遠くなった古里と
母親と過ごしていた幸せの時間が甦っているようだった。
八ヶ岳のある風景は、母にとってもうひとつの古里の風景なのである。




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  1. 2019/10/03(木) 10:40:02|
  2. 小海線
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アナログ

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小海線 佐久広瀬~佐久海ノ口


古い人間な故、基本的にデジタル物よりアナログ物の方が好みである。
東日本震災の時に途絶えた通信網で実家で活きたのが、保管していた黒電話である。
デジタルなんてモロいもんよ。困った時はアナログよ、と高笑いする親父の声を聞いて無事の様子にホッとしたものだ。

バイクはバッテリーすら積んでいないキック始動の空冷エンジンのもの。
勿論最近のような電子装置類などあるはずもなく、あるとすればETCくらいか。
そのETCも二輪取扱店からバッテリーがないなら付けられないと言われ、そんなバカなことがあるかと
9V電池とスイッチを配線してETCを繋ぎ腰袋に入れて、いい加減にハンドルからぶら下げた、
専門店に頼めば3万も4万もするような代物を8千円で済ませた物で料金所を通過している。

車も一度は仕方なくAT車に乗ったが、運転していてつまらなく鬱陶しいのでMT車である。
よく、いちいちクラッチを踏むのが疲れない?面倒じゃない?と聞かれるがそんなことを思ったことはなく、
以前、実家から浦和までの片道約50キロを渋滞に巻き込まれながら通勤していた時もMT車だったが、そお?といった感じだ。
むしろ自分の意図したパワーレンジで走れるから断然気持ちいい。

まぁそうは言っても、カメラなんぞはデジタル物になってくれたおかげで
写真や機材のイロハも知らない適当にパシャパシャやってるだけの自分でもそれなりに撮れてしまうことはありがたい。
だが、フィルムの頃の方が楽しかったし、撮ることに対して下手は下手なりに真剣だったように思う。

で、腕時計もデジタル表示はダメである。
高級時計の価値を分からないので、どこ製だかも分からない20年前に千円で買ったアナログ時計だ。
これがたまに役に立つ。
まだ先に続いているはずの作業道を見落とし、間違えたとの勘違いから廃道を進んで道から外れ
本来なら15~20分ほどの山登りで済むところを一時間以上彷徨ってしまったが
見通しの利かない森の中でも時計の指針からおおよその方角の見当がつけられたのでお目当ての地点へ辿り着けた。
沢を渡りひと山越え、元気のある内は払っていた蜘蛛の巣と枝葉を頭や顔に絡めたまま
山の向こうに聳える大好きな八ヶ岳と、これから佐久平へと流れ出ようとする千曲川を
爽やかな風に吹かれながら、しばらくの間眺めていた。




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  1. 2019/09/16(月) 21:29:20|
  2. 小海線
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天空へ向かう

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小海線 小淵沢~甲斐小泉    


JR線の中で最も標高の高い所を走る小海線。
沿線を通ったのは何度あるだろう。
信州の行き帰りは必ずどこかの区間と並走しているので相当数に及んでいるが、完乗したのは祖父の葬儀の帰り道に
長野から小諸で乗り換えた一度だけのお粗末振りだ。

まだ大型自動二輪の免許が現在のように自動車学校で取れなかった時代、免許試験場での取得は大変厳しく
全国的にも合格率は低くて神奈川県でも7%とか8%とか言われていた。
上手い人で5~6回、普通でも10回前後、下手をすると20回とか30回、それ以上かかっている人もいると聞いていたので
合格率が12%前後と少し良かった信州で取ることにし、沿線に住所変更したこともあって小海線は身近に感じる。
友人のナナハンを借りては夜の公園で練習し、モトクロスやトライアルの真似事など一通り接していたこともあって
人よりはバイクに慣れていたのだろう。
運もあって一発で受かり小海線通いは呆気なく終わってしまい、合格した喜びと、もっと通っていたかったと複雑な心境であった。
地元じゃないけど地元路線のように感じ過ぎて今まで一枚の写真すら残すことはなく、今思えば随分勿体ないことをしたものだ。

たまたま茅野に用事があったので、せっかくだからと超有名な地点へ立ち寄った。
古くC56が悪戦苦闘するシーンから現在まで、自分などより遥かに上手な写真を目にすることが出来るので珍しくも何ともないが
国内二番目の標高を持つ北岳を筆頭に、甲斐駒ケ岳、鳳凰三山など連なる南アルプスの雄大な眺めは
何度見ても素敵だなぁと心底思う。
心地良いエンジン音を響かせ、列車は天空に向けて坂を登る。
生憎山に雲がかかってしまったのは残念だけれどまた来よう。





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  1. 2019/09/12(木) 14:21:59|
  2. 小海線
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