笛の音響けば

汽車の音色は旅へと誘う道標

夕暮れのスラントノーズ

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石北本線 端野~緋牛内


朝まで曇っていた空は時間の経過と共に晴れ渡り、
スラントノーズが冬の大地を走る姿を目に焼き付けておこうと線炉端に足を向けた。

露払いの普通列車も駆け抜けて、もうすぐ北の大地に日が沈む。
昼から夜に移る群青色の空が天を覆い、雪原が紅く、蒼く、静かに燃える。
厳しい自然環境に負けることなく、ひたすら走り続けてきた彼を労うように大空と大地は色付いた。

舞台の袖からカーブを切って三つ目のライトが見えて来る。
長年通い慣れた路にどれほどの人生を乗せて来ただろう。
黄昏時の花道を見送ることが出来るのも後僅か、今日も北海道らしく澄んだ美しい鉄道情景を見せてくれた。
せめて最後まで、いつものように去って往く君を見届けたいものである。




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  1. 2018/01/17(水) 01:56:11|
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-23℃の緋牛内

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石北本線 緋牛内


強烈な寒さだった。
翌日の予想最低気温は既に夜の内に越え、星撮りをされる方にはもってこいの夜空となっていた。
これはもう気合いを入れて早朝出掛けるしかない…と睡眠もそこそこに家を出た。

石北本線の朝は網走5時56分発の特急オホーツク2号から始まる。
普通列車はオホーツクの後に上りが網走6時22分発、下りが北見6時46分発
とそれぞれが始発列車となり、その列車同士の交換が緋牛内で行われる。
この時期、厳しく冷え込んだ朝ともなると列車の排気が昇り始めた陽に染まる。
寒さに滅法弱い上に、これまた苦手な朝とのダブルパンチに交換劇を知りつつも、
だからといって行かず仕舞いなのはなんとも勿体ない。
しかも緋牛内は自宅から車でたった数分の所である。

気温-23℃…。
意を決して外に飛び出したものの逃げ出したくなる寒さが全身を襲う。
温めておいた手袋も緋牛内に着いた頃には保冷剤のように冷たくなり、指先がジンジンと痛み出していた。


上り列車の到着後、間髪入れずに下り列車が到着する。
一瞬の静けさの後、一足早く上り列車が発車した。
凄まじいほどの排気が朱く染まった空に立ち上り、見事なまでの美しさと列車の逞しさがファインダーに描かれる。
極寒の舞台に拡がったドラマに、いつの間にか指先の感覚がなくなっていたことすら忘れていた緋牛内の朝だった。




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  1. 2018/01/14(日) 01:50:39|
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まさかの地元ネタ

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石北本線 緋牛内~端野


列車を待っていると滅多に車が通らない道に一台の車がやって来た。
道路は除雪されているものの路肩分は狭く、軽く会釈をして気持ち避けると僕より少し年上らしきドライバーが降りて来た。

「こんにちは。地元の方ですか?」
見るとニコンD750を引っさげて、どうやら同業者のようだった。

「このあと女満別から帰るんですよ」
毎年一度の遠征を楽しみに一年を過ごし、その度に石北本線を訪れているのだという氏は二日前に北海道に来たらしい。

「随分急ぎですね。東京からですか?」
「いや、長野からなんですよ」

長野と一言でいっても広い。
物心つく前から馴染みのある土地故に少し突っ込んでみると長野市からだという。

「それじゃ信州中野や信濃川田はご存知ですよね?」
「あんな所、よく知ってますね」

知るも知らないもそこには親戚がいて、信州中野の家はある意味第二の実家と言っていい。
聞くと氏は飯山の出身だという。そこから話が弾みに弾んだ。
飯山線のC56の話、ドアが手動の吊り掛けオンボロ電車が走っていた頃の長野電鉄の話、
国鉄から急行志賀が乗り入れてた頃の話…。
何よりも驚かれてたのが金沢行きの白山が客車急行時代の話だった。
ほとんど記憶にないほどだが、座席に座っている僕を親父がホームから写している写真がある。
まだ実家に行けば古いアルバムのどこかに貼ってあるはずだ。

「えっ?それは凄い!格上げされて電車特急になってからの写真はあるけど、
PCのは仲間内でも持ってるのはいないだろうなぁ」

半ば興奮気味に話す氏に思わず笑ってしまったが、この先、急行列車はおろか在来線特急すら乗ったことがないという人が出て来るかもしれない。
時代は常に移り変わり、今ある鉄道風景も将来見られなくなる日がやって来る。
仕方のないこととはいえ、幼き日々からあった長電や飯山線の風景も今では変わり、
そう思うと少しでも機会があれば訪れておきたい。
同時に普段から信州の路線を廻れる氏の環境に羨ましく思ったが、それはお互いさまなんだろう。
石北だろうが長電だろうがそれぞれの魅力があり、なかなか行けない所だからこそ地元路線の良さが少しばかり霞んで
他がよく見えたりする…。

まさかこんな所で信州の地元ネタが話せるなんて…とお互いに笑い、共に撮影した時間はとてつもなく短いものだった。
長電も古い駅舎を改装する話もないし、また信州に来て下さいねと満面の笑みで氏は女満別空港に向かわれた。




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  1. 2018/01/13(土) 18:34:52|
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冬の華

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石北本線 端野~緋牛内


冬、常呂川流域にある端野町は深夜から朝にかけて川霧に覆われる日が多くなる。
-18℃となった早朝、職場から端野方面を向くとまさに沈むといった方がいいほど深い霧の中だった。

引継ぎを終え、端野9時37分発の列車が北見に到着するころ帰宅途中に寄り道してみると辺りは一面霧氷となっていた。
青空となっていれば申し分ないのだが、それでも薄日に照らされた霧氷は神々しいまでのきれいさで、
寒さと除雪にウンザリする冬でもこの時ばかりは晴れやかな気持ちにさせてくれる。
快晴ならば恐らく消えていたであろう霧氷もこの日は10時を過ぎても真っ白だった。

厳しい寒さが咲かせた冬の華…。
時折枝からハラリと音もなく、最期まで輝きながら舞い落ちる霧氷の命は花のような儚さだ。
少しの風や気温の変化でもすぐに壊れてしまう繊細な冬景色を見ながら、鮮やかなマフラーと手袋をはめたような白い列車が駆け抜けた。

寒さもこれからが本番となり、約二月の間北海道は厳しくも一番美しい季節を迎えることになる。
平成最後の年、この冬は一体どのような鉄道風景を僕に見せてくれるのであろう…。




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  1. 2018/01/09(火) 18:28:13|
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蒼白き河

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石北本線 緋牛内~美幌


もうすぐ冬至。
年末に向け、なにかと忙しくしていると
もう一日が終わるのか…というほど日が短い。
朝、ようやく太陽が昇ったかと思うと申し訳なさげに日は低く
雪に閉ざされていく山の景色はどこまでも静かだ。

日没前後の光が真っ白な雪に蛍光色のように色付けば、次第に深い群青色の空が主役となる。
鋭利な冷たさが足元に突き刺さり、
成層圏を思わせる神秘的な空にうっとりする暇もない。
冬至が過ぎると寒さも本番というが十分寒い。

暮れる山峡に微かに届いた列車の気配…。
冴ゆる峠は蒼白き河となり、列車も足を冷たげにフランジを鳴らして駆け下りていった。




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  1. 2017/12/16(土) 17:21:54|
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プロフィール

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Author:u403tsugaru
下手な鉄道写真を撮っておりますが、沿線風景や旅先での一コマなども載せていこうと思います。
見て下さった方の一人でも郷愁感や旅への思いをお持ち下されば嬉しく思います。

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