笛の音響けば

汽車の音色は旅へと誘う道標

青空の森で

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石北本線 上越信号場~奥白滝信号場


里に秋が下りると山頂付近は冬がやって来る…内陸部の山間部で車を走らせていると、もうそんな景色が見られるようになっていた。
風にカサカサと音を立て、木々の枝から葉が舞い落ちる様子は寒々しくすらあった。


今年は寒いね…。

釧路では平年より24日も早く雪が降り、東京でも10月にして冬のような寒さになったと流れるニュースに
今年の冬は早いかもね…などと周りからも声が聞かれた。

夏らしさがなかった今季、紅葉は今いちかなと思っていた秋。
その割りには順調に色付いていた山の景色も、ここ数日の一気の冷え込みにより
色付く前に黒ずみが目立つようになってきたと感じる。
例年だと今頃まっ黄色になる庭先の木の葉も風に落とされ、早くも丸坊主になってしまった。

里よりむしろ峠付近の方がきれいかなと訪ねると一足遅く、既に晩秋に向かう様相になっていた。

タイミング悪かったなぁ…

森の中で少し残念に思いながらも清々しい気分で峠を駆け下りる列車を見送れたのは、
白い雲がプカリと浮かんでは流れ往く澄んだ青い空のおかげだった。




  1. 2017/10/18(水) 20:52:40|
  2. 石北本線
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北海道の里の秋

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石北本線 端野~緋牛内


秋の陽は日に日に短くなり、それと共に木々の彩りも日一日と進んでいく。
標高の高い山は雪化粧をはじめ、紅葉はいよいよ里に下りて来た。

久しぶりの地元路線。
地元…などとよそ者の僕が言うのはおこがましいが、少しばかり道北へ足が向いてからの石北本線は
やっぱりホッとする地元の路線なのだ。
これといって目を見張る紅葉ではないかもしれないけれど、人の営みが漂う里の秋らしさが心地いい。

里、田舎…というと内地育ちの僕には、こじんまりした村の周りに雑木林があって古い社や塚があり、
蔵があってお地蔵さんが道端にポツンといて、小川や田畑がある。
秋にははざ掛けが並び、柿の木には残り柿、軒先には吊るし柿がぶら下がってて…なんてイメージで
北海道のそれとは少し趣きが違う。
けれども、この界隈は北海道っぽいけどどこか内地的な匂いがするのは、
林や丘に対して点在する家や畑、D型倉庫などのバランスがいいからなんだろう。

薄曇りのボヤンとした景色を眠たそうにやって来た石北の汽車。
こちらもまたボヤンとのんびり落ち着いて汽車を見る。
北海道の里の秋、ここは僕にとって居心地のいい里なのである。




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  1. 2017/10/16(月) 23:07:36|
  2. 石北本線
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鉄道と製材所

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石北本線 美幌~緋牛内


北海道の森林面積は全道面積の70%、全国の森林面積でも約20%を占めるのだという。
かつては林業も盛んで、北見近郊でも留辺蘂、津別、置戸など貯木場に山のように原木が積まれた様子を古い写真から見ることが出来る。
しかし、林業衰退と共に製材所もその数を減らし町は寂れ、そればかりか津別や置戸は鉄道そのものが無くなってしまった。

鉄道が物流の主役だった頃は大抵の駅に荷物扱いがあったように思う。
工場へ引き込み線が延びていたり、貨物ホームがあって数輌の貨車が止まっていたり…なんて懐かしい光景だ。
製材所もその内のひとつで、丸太やチップを積まれた貨車などを見ているのも楽しいものだった。
林業も安い輸入材に押されて貨物輸送は鉄道からトラックに代わり、製材所と鉄道のある風景は昔と比べて大幅に見る機会が減ってしまった。
そこへいくと秩父鉄道の武州中川は駅の横に製材所があり、蒸気機関車と同時に見れる貴重な箇所だと思う。


北見から網走方面に向かって美幌の町に入る手前に小さな製材所がある。
武州中川のように駅構内に隣接するようなものではないにしろ、製材所から線路が見える風景はやはりどこか懐かしい。

道の法面にしゃがみ込み、いつしか雨も止んで青空が顔を出す。
丸太越しに軽やかに駆ける列車を眺むれば、北海道を支えた鉄道と林業の栄華を今に見ているよう…
そう見えたのは、山から切り出された木から香る優しい匂いのせいだったのかもしれない。




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  1. 2017/09/15(金) 14:38:02|
  2. 石北本線
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初秋に香る



石北本線 美幌~緋牛内


オホーツク地方に限らず、僕は北海道では紅葉真っ盛りのシーズンよりも初秋の雰囲気が好きである。
日中はまだ暖かく秋の虫の声が聞こえ、青空の下にトンボが舞う。
勢いよく茂っていた草は枯れはじめ緑は霞む。
彩りを添えた花々も次第に数を減らし、余生幾許もないだろう蝶たちが羽を広げ陽を浴びる。
寂しげ色の匂いが辺りを包んだ風景をほとんど人通りのない道端でしゃがみ込み、いつまでも眺めているのが好きなのだ。

お盆を過ぎれば秋…、もう何回その言葉を聞いただろう。
今年はそんな秋が早く来たようだ。なんとなく、感覚的に…である。

9月に入ってから早朝の気温もぐっと下がることが多くなり、木々たちの中には色付きはじめて来たものがいる。
昨年の秋にも少し触れたと思うが

秋の森は甘い匂いがする…。

亡き友人がよく口にして、その匂いを教えてくれた。
その匂いは例年だと9月の終わり頃からと思ったのに、秋本番を迎える前からもう既にほのかに香り始めている。
そんなこともあって今年の秋は早い…と思うのだろう。

甘い香りは秋の匂い。森の匂い。
その匂いに包まれて小さな峠を列車が走り去る。
夏がなかった今年の夏。
だから紅葉は期待できないだろうと思っているのだが、さて果たしてどうだろうか。




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  1. 2017/09/11(月) 01:13:25|
  2. 石北本線
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お見送り

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石北本線 端野~緋牛内


色付き出した田んぼの横を通ると畔にかわいらしい頭が見えた。
?と見ればカルガモで、こんな所でカルガモ農法をやってたのかと近づくとすぐに田んぼの中に逃げてしまった。
ちょうど隣の玉ねぎ畑の脇に組み立て前のコンテナが積まれており、
そこにしばらく身を隠しそっと覗くと農道の草むらに一家が続々と出てきた。
ピヨピヨと小さな声が微かに聞こえ、親鳥と思しき一羽が雛たちの近くで見張っている。
雛を見ようと覗く僕の姿は完全に不審者だが、以前の苦い記憶からあまり無理なことは出来なかった。



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端野町端野

 
信州は中信、茅野市の外れ、八ヶ岳が目前にそびえる棚田の間を通る農道をバイクで走っていたところ、カルガモ親子が急ぎ足で道を横断していた。
あっと思って止まったのはいいのだが、一番後ろの雛がビックリして反転、親子と離れ離れになってしまった。
雛一羽がヨチヨチと懸命に逃げ、すると流れの急な農道脇の用水路に落ちてしまった。
あーっ!と慌ててバイクを降り用水路に駆け寄ると雛がすごい勢いで下流に流れていく。
なんとかしなきゃと走って追いかけ、しばらくすると草やごみを止める目的だろうか金格子に引っ掛かった。
手を伸ばしても届きそうになく、仕方なく用水路に入り半身ズブ濡れになって雛を手に包み込むようにして救った。
その雛を離れ離れになった場所に連れてくと我が子を呼ぶ親鳥の声だろうか姿は見えぬが鳴いていて、ちゃんと親元に帰れることを祈って田んぼに放した。
上空にはカラスやトンビが旋回し、親から離れた雛がはたして無事に巡り会うことが出来たのだろうか…
と、なんだか申し訳ないことをしたような気分になった。

そのことが脳裏に浮かび大っぴらな行動は出来ずに辛抱強く粘っていると、一度だけ何とか近くまで親子が来てくれた。
といっても雛は草むらに隠れてしまっていたが、愛くるしい眼を拝むことは出来た。

列車がそんな田んぼの横を眺めながら通り過ぎて往く。
列車を目で追う者、全く無視する者、首を伸ばして不思議そうに見つめる者…。
カルガモの世界にもそれぞれの表情があるものだとほのぼのした気持ちにさせられた。




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  1. 2017/08/25(金) 23:06:40|
  2. 石北本線
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Author:u403tsugaru
下手な鉄道写真を撮っておりますが、沿線風景や旅先での一コマなども載せていこうと思います。
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