笛の音響けば

汽車の音色は旅へと誘う道標

違和感



石北本線 美幌~緋牛内


もう6月も半ば、そろそろ夏至を迎え季節的には初夏だというのにこの日の朝は2℃。東京ならば真冬の気温だ。
ひんやりとした空気が一日を通して流れていても日差しが出ると蝉が一斉に鳴き出した。
狂い咲きなんて季節外れに咲く花があるように、その逆でせっかく生え揃った緑は枯れやしないかと思えば、
今朝どころか連日の寒さに蝉もよく死なないものだと自然界に生きる命の逞しさに妙に感心したりする。

深緑になりつつある森の趣きは紛れもなく初夏のそれだが、こちらは車に積み置きしてある冬用の現場作業着を着て、ボアの襟を立てて包まるようにしていたという間違った出で立ちで、
目に映る光景に違和感を感じながら斜陽となった森の路を駆け上がるキハを迎えた。




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  1. 2018/06/17(日) 05:28:08|
  2. 石北本線
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雨の叙情

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石北本線 緋牛内


関東、東北と梅雨入りの報せが届くと北海道も不安定な天気が続く。
北海道は梅雨がないといわれるが、それでもシブシブと空がクズつく日は多いように思う。
この日は台風5号から変わった温帯低気圧により全道的に雨に見舞われた。
とはいえ内地の高温多湿とは程遠く、ここ一週間ほどはストーブのお世話になるほどの気温が続いている。

あまりに冷たい雨はごめんだが意外と雨自体は嫌いではなく、緑が揃った夏や寂しげな秋の雨は特にいい。
山には雲が垂れ込め、草木の色は潤い、しっとりした風情を見せてくれる雨はなんとも日本の山村や線路のある風景によく似合うものだと思う。


日没時刻を過ぎ、灯った明かりが反射して一際光沢を帯びる雨の駅。
次第に強くなるコントラストにキラキラと、線路や水溜まりに落ちる雫や波紋が見えるようだ。
ジーっと、ただジーっといつまでも眺めていたい光景がそこにあり、雨音に混じってゆっくりと列車が進入する。
闇に沈む直前の、輪郭が辛うじて判別出来る仄暗い蒼さと深く艶やかな緑に、赤く光るテールランプがやけに目に染みた。




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  1. 2018/06/15(金) 20:03:42|
  2. 石北本線
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緑の大地

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石北本線 端野~緋牛内


先月初旬、ようやく桜が開花した北国の春は、内地に後れを取るなと言わんばかりにもう既に新緑が盛りだ。

そよ風にさわさわと揺れる白樺の葉。
その隙を縫って落ちる木漏れ日。
カッコウやエゾハルゼミの鳴く声が心地よい響きとなって耳に届く一日…。
それは信州や那須の高原にいるかのような爽やかさだ。

山も丘の畑も緑一色となった大地。
様々なグラデーションを見せるその色は、純白の雪景色と二分する北海道に相応しい色のように思う。
やがて朱い光が届き始めた緑の大地に、規則正しくリズムを刻む車窓が流れて行った。




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  1. 2018/06/03(日) 21:53:56|
  2. 石北本線
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サクラサク

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石北本線 女満別


東京で桜を迎えたのは3月下旬。
それから遅れること約一月半、北の外れにもようやく桜が開花した。
他の地域と同じように今年はこれでも早く桜前線が上陸し、例年だとゴールデンウィークが終わる頃に開花するところ
街中では今月初めには満開となっていた所もあったようだ。

ただ、ソメイヨシノは美唄が北限のようでこちらはエゾヤマザクラが主流となる。
ソメイヨシノの限りなく白に近い淡いピンクの可憐な風情と比べれば
エゾヤマザクラの濃い目の色は桃の鮮やかさとも違いどこか自己主張が強いようで、
花と共に芽吹く赤い幼葉が更にそう思わせる。
また寒冷地故のこともあってか桜並木、というより桜そのものが少ないと感じる。
鉄道沿線も所々に一本桜はあるものの咲き具合は好ましくなく、
数少ない場所を求めて右往左往しながら女満別駅に落ち着いた。

北辺の列車が桜越しにやって来る。
駅舎横やホームの大きな桜に見送られ、ある者は新しい学舎に胸を踊らせ、ある者は故郷を離れる…
そんな琴線に触れるような詩情感を連想するローカル線に咲く桜は、旅立ちの季節とズレもあり待ちわびたといった感が強い。

そしてこれを境にして季節は遅れを取り戻そうと一気に加速する。
まだまだストーブの世話になる日も多い5月であるが、恐らく今月末にはセミが鳴き出すだろう。
北国の桜はそろそろ初夏へと移ろい行く時の流れを知らせる花なのかもしれない。




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  1. 2018/05/08(火) 18:44:15|
  2. 石北本線
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霧に発つ



石北本線 緋牛内


4月後半から11日連続勤務となったゴールデンウィーク。
地元路線の、ご近所すら出掛けられない。
休みなど関係なしに、夜勤前、夜勤明けと眠気も忘れて湿原の蒸機を追いかけた情熱はどこへやら…。
これが無煙車輛と蒸機の差である。

連勤最後の夜勤明け、自分自身が思っていた以上にくたばっていたようで日中から一日中寝ていた。
夜中に一度目覚めると月夜で景色がよく見える。
これは放射冷却で霧が発生するかもしれない…
駅に行くとホームと木々が微かに浮かんでいた。
何のどこがという訳ではないのだが、周囲が霧に覆われたせいか大陸的に見え、北海道っぽい風景だなぁと思わせた。

ホームの列車接近音が鳴る。
ピーッというホイッスルとカタカタと姿なき列車の音だけが響く。
ヘッドライトがぼんやり光ると駅進入でくねる編成の影…。
ホームを通過する辺りからヌーッという感じで列車の顔が見えて来た。
幻想的な光景に久しぶりにドキドキする。
石北本線の一日の始まり、始発列車のオホーツク2号は構内を出る頃にはエンジンを吹かして加速をし
深い朝霧の中に再びホイッスルと列車の音だけを響かせ消えていった。




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  1. 2018/05/07(月) 19:12:08|
  2. 石北本線
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下手な鉄道写真を撮っておりますが、沿線風景や旅先での一コマなども載せていこうと思います。
見て下さった方の一人でも郷愁感や旅への思いをお持ち下されば嬉しく思います。

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