笛の音響けば

汽車の音色は旅へと誘う道標

ありがとう

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真岡鐡道 七井~益子


七井発車の煙が吹き上がり、ドレンが彼を包み込む。
加速してくるドラフト音。
ロッドを奏で、続く客車の轍が心に染みる。

会いたかった真岡の汽車が駆けて往く。
雪野の芳賀路に長く白煙を棚引かせ…

会いたかった真岡の景色に汽車が去る。
姿が見えなくなるまで見送った。
涙色の空に、漂う残り香が消えるまで…

万感の想いで見つめる先に五色の笛が轟いた。

ありがとう、友たち。
ありがとう、SLもおか。
ありがとう…。




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  1. 2018/02/04(日) 01:23:12|
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苦手



真岡鐡道 北真岡~西田井


レイアウトに欲張りは禁物である…
自分じゃ絶対に作れないが妄想だけを膨らませてよく読んでいた機芸出版社のTMS誌。
その創業者である故山崎喜陽氏の言葉だったと思う。
限られたスペースに駅だ機関区だとあれもこれも詰め込みすぎるのは実感が損なわれるという警鐘だろう。
写真も引き算だと言われるが、その引き算がどうにも苦手だ。

あまり天気がよろしくないにもかかわらず、せっかく男体山が見えたのになぁ…

考えたつもりでも実際に撮ってから改めて見れば、なんでこんな風にしちゃったかなぁ…とガッカリし
欲張り過ぎは良くないと毎回反省させられてもここぞという時に同じ失敗を繰り返す自分が情けない。
ルパンの五右衛門の言葉を借りれば「また、つまらぬものを撮ってしまった…」、であろう。
機会があれば今度こそ!の一枚がまた増えてしまった。




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  1. 2018/02/03(土) 13:55:30|
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夕日の汽車は

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真岡鐡道 寺内


夕暮れの、駅のホームに汽車がやって来た。
時折シューッ、シューッと排気を吹き上げて。

砂利のホーム、枕木の柵、素朴な木造駅舎…。
冬枯れの景色が赤く染まり、どこかで見たような懐かしさが込み上げる。

そうだ、あの時も冷たい風が吹いていた。
あの日、母に手を引かれて汽車を待つ間、冷えた手に息を吹きかけ、
頬に添えてくれた母の温もり…、母の優しさ…。

遠くでポーっと笛が鳴る。
母の想いも知らずに手を振りほどき、汽車が来たと跳び跳ねる。
振りほどかれた母の心境はどのようなものだったのだろう…。

乗った汽車のことはよく覚えていない。
でも、汽車が来るまで母がしてくれたことは覚えている。
夕日を浴びた汽車は、そんな遠いあの日の母の温もりを僕に思い出させてくれた。




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  1. 2018/02/02(金) 17:28:15|
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「おとちゃん」ですら…

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真岡鐡道 市塙~笹原田


1月23日に関東地方にもたらした大雪は未だに融けず、刈田や線路端には予想外に残っていた。

「どこで撮りましょうかねぇ…」

当初、真岡駅前では多田羅に行こうかと話していたが、既に多くの三脚が並ぶ光景にお互いに「どうもなぁ…」と気持ちが乗らず、
汽車をのんびり待てそうな…と友人と初めて会った思い出の場所へと移動する。
靴の中に容赦なく入って来る雪に構わず段取りをしていると、友人が地元のお婆さんと盛んに話をしていた。
あの山が見えない時は風が吹く、と教えられたらしい。
それから一時間もしない内に強い風が吹き始めた。
古くからその土地にいる方の言葉は的確だ。
そんな教えを授かるとまたひとつその土地のことを知り愛着が生まれ、それがなんとも嬉しく思えてくる。

それにしても関東の冬は寒い。
冬の関東を知らない北海道の方は「氷点下になっても僅かだし、そんな寒くないべ」と決まって言われるがとんでもない。
数字に表わすと確かにそうだが寒さの質が違う。
関東平野を取り巻く山脈から吹き降ろす空っ風の冷たいことと言ったらなく、
こと北関東ともなれば日光連山から寒気がそのまま雪崩れ込んでくるような感じだ。
この日の容赦なく吹き付ける寒風は頭を突き抜けていくようで、この冬初の使い捨てカイロを使うほどだった。

それでも外で汽車を待つ。
なんの変哲もない素朴な芳賀路の風景を車の中にこもって見ているなんて勿体ない。
友人とくだらぬ話をして汽車を待つ時間もまた僕には大切な時間なのだ。

市塙発車の汽笛が聞こえてくる。
いよいよだと一気に張り詰める緊張感…。
山の裾野をきれいな白煙を描いて待ちに待ったC12がやってくる。
蒸機を見ると相も変わらず全身が震えるのは生涯治らないことだろう。
山影から飛び出してきた面構えにかわいげな「おとちゃん」ヘッドマークはいささか拍子抜けしたが
それも何となく許せてしまうのは地域に溶け込んでいる真岡の汽車ならでは、と僕には思えてならない。




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  1. 2018/01/31(水) 17:41:22|
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再会

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真岡鐡道 真岡機関区


今日から釧網本線で「SL冬の湿原号」の運行が始まるという日、僕は帰省を兼ねて真岡鐡道を訪ねていた。
湿原の蒸気運行は首を長くして待っていたが、その前にどうしても真岡の汽車に会いたくて仕方がなかった。
冬枯れた北関東の田舎を走る小さな機関車C12…。
地域に溶け込み、ごく自然に走っているような感覚を僕は彼に感じている。
ここも復活蒸気なのは間違いないのだが、機関車というよりは蒸気列車の保存、
もっといえば汽車の走る懐かしい風景を地域丸ごと保存しているかのような大井川鐡道とは違い
もし、現役蒸気が廃止にならずにいたら今のような姿ではなかったか…と思わせる真岡の匂いが心地いい。

一昨年の山口以来となる友人との待ち合わせに選んだ真岡駅に着いたのは集合時間の一時間前だった。
お互い申し合わせたかのように同着し、しばし再会の喜びのあと機関区脇の見学通路に向かえば出区準備が進められていた頃だった。
凛とした朝の空気に煙を上げる久しぶりのC12。
石炭の匂い、油の匂い、コンプレッサーの排気音…、それら蒸気機関車だけが持つ体臭が五感を擽る。
小さな機関車だけどカッコいい、けれどもムギュっとしたくなるほど愛らしい。
連れて帰るか、庫に自分の寝床を移したいものだと眺めていた。
先に行って待ってるよ…

さて、どこで迎えましょうかねと相談する。
追っかけはしない。のんびりと汽車を待つ。
思えばそれまで動画サイトにてコメントのやり取りだったものから挨拶も兼ねてと初めて会ったのが1月後半の真岡だった。
積もる話もあることだし、そんな時間を楽しみながら待つことにしよう。




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  1. 2018/01/31(水) 03:01:38|
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プロフィール

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Author:u403tsugaru
下手な鉄道写真を撮っておりますが、沿線風景や旅先での一コマなども載せていこうと思います。
見て下さった方の一人でも郷愁感や旅への思いをお持ち下されば嬉しく思います。

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