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笛の音響けば

汽車の音色は旅へと誘う道標

じゃあね

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秩父鉄道 武州中川~武州日野


夏休みが過ぎ、9月に入った秩父地方はまだ暑かった。
桜の木ではミンミンゼミが我が物顔で鳴き、一見するとまだ夏の色も
草むらからはエンマコオロギのきれいな鳴き声が聞こえて秋を報せている。
ジメッと纏わりつく暑さは不快以外の何物でもないが、過ぎ去る夏に一抹の寂しさが込み上げて来るのは
他の季節にはない感覚だ。

夏の間、暑さを逃れて山にいた赤とんぼが里に下り、ススキの穂も出だした細道を汽車は往く。
長く続く上り坂に、さあ、ゆくぞと勇ましく鳴らした汽笛も、どことなく夏への別れの郷愁染みた音色に聞こえた。




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  1. 2019/09/09(月) 16:33:11|
  2. 秩父鉄道
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改札口

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秩父鉄道 波久礼    ジオラマモードにて現像(トリミングあり)


国鉄の旅行開始の定義とは
旅客が旅行を開始する駅において乗車券の改札を受けて入場すること、と旅客営業規則にある。
切符を出し、駅員が入鋏して改札口を通った時からが旅行開始となる訳だ。
なにも大きなバッグを持ち行くのが旅行ではなく、通勤だろうが通学だろうが同じことであり
一般的に旅行の開始は家の玄関を出た瞬間から、という観点からすれば違和感があったものだ。

まだ小学校に上がる前だから4~5才の頃だろう。
当時の国鉄長野駅は、善光寺の門前町らしく仏閣型駅舎であった。
今のように改札口は出入り兼用ではなく、入口と出口それぞれに独立した違う場所にあった。
昔の駅は地方路線の中間駅でも同じような改札口があったように思うが
人の流れを改札付近でスムーズにさせる狙いがあったのか、しかし慣れぬ者には厄介で困惑した。

地方でも鉄道利用者がまだまだ多かった時代のこと。
長野電鉄に乗り換える際は国鉄長野駅を出るのだが、ごった返す人混みで親とはぐれ迷子になってしまった。
不安になって泣き叫ぶ僕を親は見付け、それは改札口が出口専用であったから当てがあったのだそうだ。
入口改札に行って探そうなどという知恵は幼子にはまだないだろうと踏んでのことで、
もし改札口が出入り兼用で複数ヵ所あったら見当もつかなかったと後日談として聞かされた。

古い改札口を見付けると、ついそのことが思い出される。
秩父地方は札所巡りの地としても知られ、結願したら善光寺に参るのが慣例らしいから
そんなところも何か不思議な力で思い出に導かれるものがあるのかもしれない。




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  1. 2019/08/31(土) 00:03:04|
  2. 秩父鉄道
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青いナンバープレート

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秩父鉄道 武州中川~浦山口


機関車の顔となるナンバープレート。
取り付け位置や寸法、字体などによって同じ形式でも表情はガラリと変わり、
形式入りの戦前型プレートと形式なしの戦後型プレートも好みが分かれるところだと思う。
戦前型の重厚なイメージも捨てがたいが、慣れ親しんだものが戦後型のため、僕はこちらの方がしっくりする。

色はノーマルの黒と言いたいところだが、せっかく鉄道会社がファンの目を楽しませようと
してくれてるご厚意はありがたく受け取りたい。
いや、実は本音をいうと今回の青いプレートはちょっと嬉しかったりする。
現役時代の蒸機たちに黒以外のプレートに出会ったこともなければ気にしたこともなく
興味を持ったのは蒸機全廃後、キネマ旬報社の季刊誌「蒸気機関車」の記事を読んでからが大きい。

昭和30年代のことだったろうか。
中央西線の看板列車が準急「しなの」で、名古屋区のD51が塩尻までの往復ロングランをしていた時代。
当時の名古屋区のプレート色は赤、中津川区が青、木曽福島区が黒で、重連となった時は同色の組み合わせが多く
あっても赤+黒で、赤+青の鮮やかなコンビはなかなかお目にかかれなかったとなっていた。
それまでプレートの色は黒・赤・緑の知識しかなく、初めて青の存在を知った。
数年後にたまたま見たビデオが中央西線さよなら列車のもので、そこには青いプレートのD51827が映っており
こいつぁカッコいいと、以来青いプレートのことが気になり胸のどこかに仕舞ってあったのだ。
何年か前、D51498もプレートを青くした時があったがお目にかかることは出来ず、まさに秩父鉄道さまさまである。

個人的なイメージとして青いプレートは中津川…と植え付けられてしまっているから機関車はD51なのだが
C58はD51のC型版のようなスタイルだから違和感もなくなかなか好ましい。
これでようやく念願叶ったというところだろうか。




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  1. 2019/08/29(木) 02:55:01|
  2. 秩父鉄道
  3. | コメント:2

夏の汽車

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秩父鉄道 武州日野~白久


蒸機撮影でなにが嫌かといえば人の多さである。
メジャーな所では同業者の三脚がズラリ…
お手軽な場所だとそこに一般人もズラリ…
首都圏に近い秩父鉄道だと、夏休み期間中の沿線は家族連れなどで大変な賑わいを見せる。
こんな時、蒸気機関車なんて珍しくもなんともなく、ごく当たり前に走っていればいいのにと現役時代を思う。
都会が嫌いで人混みを苦手とする身としては、その状況はサメが泳ぐ海へ入るような心境で
覚悟決めて飛び込むか、人の少なそうな、出来れば誰もいない場所を探すことになる。
上手な人になれば少しだけ人混みを外れ独自のアングルを見付けてモノにされてしまうが、
生憎こちとらそんなセンスは持ち合わせておらず、すごすごと山や森へと逃げていくのがお約束だ。

季節は夏真っ盛り、そんな所は蚊との戦いである。
昔から痒がりで、靴下のゴムで時代劇の島送りとなった刺青のように引っ掻き傷の輪が出来る肌の弱さは蚊は大敵なのだ。
そこで腰から蚊取り線香をぶら下げ、シャツの袖、首元、背中と虫よけパッチをことごとく張る。
これがまたクマのプーさんのかわいい絵柄で、およそ似つかぬいい歳したおっさんがプーさんだらけの出で立ちでいざ参る。
草を掻き分け、いつの間にか胸元に蜘蛛が集り、自然界に生きる虫でありながら人さまを利用して移動するなどけしからん、
大谷翔平の如く喰らえ160キロの剛速球とむんずと捕まえ空に投げる。
100キロにも満たない弱い肩にヒョロロと上がった蜘蛛は何食わぬ顔をして草の上に降りた。

見上げた空は木が覆い、黒い汽車とでは潰れてしまうなぁと思いつつ、かといって暑さで他に移動する気力もない。
夏である上に煙の少なさで定評のある秩父の汽車とはいえ、勾配区間だし、日差しが照れば汽車は浮き上がるんじゃない?
なんていい加減な予想で待つことしばし、豪快な汽笛が谷に轟きゆっくりと近付いて来る。
案の定薄煙とは裏腹に、ガン・ガガガ・ガンと鉄橋に伝わる振動が地面を揺らし力強いドラフトが蝉時雨を掻き消した。
適当な予想の絵面は見事に外したが、中型とはいえ久しぶりのテンダー機は見応えもあり
蚊に刺されることもなく、蚊取り線香とプーさんのダブル効果てき面の夏の汽車だった。




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  1. 2019/08/27(火) 05:51:02|
  2. 秩父鉄道
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未来夢見て

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秩父鉄道 三峰口


整備を終え、転車のために引き上げ線に向かうC58。
構内踏切にトラロープを張り、女性社員が蒸機運行の安全に携わる。
男の職場の代名詞的存在だった鉄道、特に蒸気機関車は典型的な男社会であった。
今でこそ乗務員や駅係員と女性の姿を見ることは珍しくなくなったが
蒸気運行の現場でもこうして女性の姿を見るようになり
ベテランだけでなく若い世代が蒸気機関車を守ってくれるのは大変喜ばしいことだと思う。

一人の中年男が女性社員に近付く。
「向こうへ渡れないの?」
「もうSLが動きますのでしばらくお待ち下さい」

不特定多数相手の商売だから中にはゴネる輩もいることだろう。
若いから、女性だからとナメてかかり屁理屈ご託を並べられ、腹の立つ悔しい思いをすることだってあるに違いない。
クソ暑い日も雨に濡れる日も、C58だって昔からそうして来たように挫けないでもらいたいものだ。
いつの日か車掌になって蒸機列車に乗務することになるかもしれない。
ひょっとしたら女性初の機関士となってハンドルを握る日がやって来るかもしれない。
がんばれ、未来ある女性社員!




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  1. 2019/08/25(日) 22:32:21|
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