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笛の音響けば

汽車の音色は旅へと誘う道標

薄らぐ先にあるものは

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大井川鐵道 千頭~崎平    2019年5月撮影


雨が止んだ頃にはすっかり日も暮れて、静けさの中に河鹿蛙の澄んだ声が聞こえて来る。
時々刻々と薄らぐ川根の谷を古参電車はのんびり下り、
回送同然の車内は徳山辺りで何人かの学生を拾って家路へと送るのだろう。
家では家族の帰りを待ち、今頃台所は忙しいはずだ。
灯りの下は新茶の香りに彩られた食卓が並び、そこには人が人として暮らしていく顔がある・・・。
決して華やかな路線じゃないけれど、そんな暮らしを支える鉄路の響きが愛おしい。




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  1. 2020/05/29(金) 06:07:57|
  2. 大井川鐵道
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白熱球の灯る駅

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大井川鐵道 田野口    2019年4月撮影


仄暗さが訪れた小駅にぽうっと白熱球の明かりが灯った。
ひとしきり雨が降った後の山の空気は潤いなんとも心地よい。

木立の向こうからやって来る、列車の線路を叩く音・・・
その方向に目を向けて、さて行くかと腰を上げる。

田舎の駅に漂う旅愁感・・・
それは単に車輌だけにあらず。




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  1. 2020/05/27(水) 05:15:36|
  2. 大井川鐵道
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誇り滲ませ



大井川鐵道 千頭    2018年12月撮影


終着駅に着き、お客さんを降ろす。
機関車の前で記念撮影する人たち、それに応える機関士さん。
思い思いのポーズをとり、その表情は皆笑顔だ。

一息付いたのも束の間、これから機回し作業が始まる。
転轍機を切り替え進路オーライ。
複数の目が行く手を凝視し操車係の誘導に従う。
単純な作業だが、一連の捌き具合は鉄道業に勤しむ鉄道員(ぽっぽや)の誇りが感じられた。

冬の弱々しい陽光に機関車の吐息が纏わりつく。
復路に向けて先ずは転車だ。




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  1. 2019/12/20(金) 01:25:49|
  2. 大井川鐵道
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初夏の音色に

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大井川鐡道 塩郷~下泉


フィー、フィー、ヒョヒョヒョヒョヒョ…と鳴き声の聞こえる川岸。
古くから大和民族に馴染みのあるというカジカガエルは何とも清らかな声で鳴く。
平安時代、京の都で鳴き声を楽しむ宴があったとどこかで聞いたような読んだような記憶があるが
その声は北海道には生息しておらず、最後に聞いたのは伊那谷から小淵沢に向かう山中の旅路の黒川であった。
何十年振りとなる、久々に聞いた生の鳴き声…
この声も日本人として忘れたくない初夏の音色だ。

その鳴き声を伴奏に、シゴロクが弾けるように唄いながら対岸を駆けて往く。
強い日差しに煙こそなかったが、これはこれで僕にとって古き良き光景となって甦って来た。
昭和40年の中ほど、信州は飯山線。
千曲川に沿うようにC56が短い貨物を牽いて、唱歌ふるさとの地を走るその様を…。

飯山線の蒸気機関車はC56を中心に、冬にはC12が応援に入り臨時旅客を牽いていた。
たまに目にしたC12はこの時のものだったのだろう。
蒸気機関車の知識が付き出した頃、黒煙を吹き上げ重量列車を牽っぱるD51こそが全て、
C56なんて小さなドかっぺ丸出しな機関車なんか…とバカにしていたが
今にしてこれほど懐かしく思う機関車はなく、彼でよかったなぁと思えてならない。

滔々と流れる千曲川、カジカガエルがヒョヒョヒョと鳴く。
夢中で川遊びをする向こうを、気を付けて遊べよポー、ポーッと汽笛を鳴らす。
藁葺き屋根を持つ山村に見えた煙…
のどかで美しい信濃路を、シゴロクはこんな風に川に沿って走っていたのだ。




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  1. 2019/05/30(木) 23:05:45|
  2. 大井川鐵道
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恩師の水彩画

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大井川鐡道 駿河徳山~田野口


小学5~6年の担任の先生は面白くて生徒想いの、時々女言葉を使う少しキモい先生だった。
四国高松出身で、たまにバイオリンを弾いてくれ、
その風貌からどことなく作曲家であり指揮者の故山本直純氏に似ていた。

(山本直純氏は「男はつらいよ」の主題歌や、国鉄最後の日の蒸気機関車の汽笛による蛍の光演奏の指揮をされ、
同年代の方なら「オーケストラがやって来た」という番組をご存知の方もいらっしゃると思う)

悪さか過ぎれば時にビンタを食らい、一度教壇から教室の端までブッ飛ばされたことがある。
自分がいけないと知ってての悪さのため恨むもクソもなく、怒るというより叱るといった感があり、
現在のような保護者からの苦情は時代背景もあるが聞いたことはない。
ある日、勉強嫌いの上に分数が大の苦手だったことを見かねて、先生は息子を借りると親に告げ
自身の住むボロアパートに呼んで24時近くまで大特訓をさせられた。
おかげで翌日から嘘のように分数が解けるようになったのだが、泣き、笑い、遊び、叱り、
生徒一人一人に対して熱くていい先生だった。

そんな先生の描く水彩画は、未完成と思える鉛筆線を上手く残す技法の風景画で
淡く繊細で、水彩画というより鉛筆画に色の盛り付けをしたようなといえばいいだろうか
今まで見てきたものと全く違う画だった。
それからというもの蒸気機関車と零戦、大和型戦艦や妙高型重巡、空母飛龍の鉛筆画!
と決まっていた僕の絵は、校庭の花壇をモチーフにした水彩画を描くようになっていった。


天から如雨露で撒かれたような小粒の雨が降り続く。
時に災害をもたらす雨も、この日は撫でるみたいに森が奏でるサーッという雨音がきれいで優しかった。
白く霞んだ景色は区々に、微かな濃淡を付けながら不規則に流される。
豊かな緑と水の国が見せる表情はなんて詩的なんだろう…
日本の風景っていいよなぁと沁み沁み思う瞬間だ。
飽きることなく眺めてはため息をつく。
派手さはないが、淡く繊細な景色に汽車の汽笛が恩師の画を乗せてやって来た…。




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  1. 2019/05/29(水) 22:56:39|
  2. 大井川鐵道
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