笛の音響けば

汽車の音色は旅へと誘う道標

秋、駆ける

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釧網本線 緑~川湯温泉



秋も佳境の川湯・摩周路をさぶいさぶいと背中を丸めるように列車は足早に去っていく。
見つめる先は硫黄山。
岩の隙間から水蒸気を上げ、ゴツゴツとした荒々しい火の山にも時折り初冬の顔をした風が吹き抜ける。
お昼というのに日差しは頼りなく、流れる雲に日向と日影が目まぐるしく交錯し、
木々から舞った葉が足元をカサカサ音を立てて渦巻いた。
まるで駆けていく季節を追いかけるが如く列車を追って…。




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  1. 2016/10/31(月) 01:54:46|
  2. 釧網本線
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進む秋

昨日の朝、北の空を見ると「いかにも…」というような雲が出ていた。
こっちに降らなきゃいいんだがなぁと思っていたが、案の定昼過ぎに雪が降り始め
風もあったため吹雪の様相となって、辺りは薄っすらと雪化粧へと変貌した。

昨年は10月25日に初雪が降り、さすがに根雪にはならなかったものの夜は積雪となり
車のタイヤ交換をしていなかったことから冷や汗をかいた。
幸い今回はすぐに止み雪も融けたが、もういつ降ってもおかしくない季節になってきたんだなぁと知る。
いつもなら11月に入ってから行うタイヤ交換も昨年の経験から早々に履き替え近場をウロつくと
落葉松の葉も少しばかり色付き始めていた。
季節は晩秋に向かい、冬の足音が着実に近付いている。


残り少ない秋。
せいぜい楽しまないと…。



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石北本線 緋牛内~美幌




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  1. 2016/10/26(水) 01:50:15|
  2. 石北本線
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亡き友へ

とにかく強く冷たい風だった。
低気圧が急速に発達し強い寒気が入った前日、道内は早くも積雪となった地域もあったようだ。
足早に駆け抜けようとする秋、せめて紅葉が盛りの内にと森に入った。
足元に積み重なった落ち葉は歩を進めるたびに優しい音がして、仄かな匂いに包まれる。

亡き友人が教えてくれた秋の森に漂う甘い匂い。

音楽が好きで、バイクが好きで、森が好きで、自然が好きで…
仲間から「隊長」と呼ばれて親しまれ、僕に北海道の魅力を教えてくれた友。
そんな彼に、今年は特にいい匂いがするよと天を仰いで報せれば木々が透過光に輝いていた。
やがて踏切が鳴り、列車の音が山峡に響く。

どれ隊長、一緒に撮ってやるよ。

スキンヘッドで太った彼がいつも見せてくれていた笑顔を、僕は色付いた森の中で思い出していた。



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石北本線 緋牛内~美幌




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  1. 2016/10/23(日) 00:24:21|
  2. 石北本線
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匂いと風を受けながら

秋になるとどこかに旅に出たくなる。
目的もなく、行先を決めず、それこそ寅さんのように風の逆らわず気ままにふらりと旅に出たい…と思う。

今のご時世なんでもスピードで、とにかく早いことが重要視される風潮に古い僕には戸惑いを感じる。
確かに昔からスピードは求められ、それはそれで頭から否定はしないけれども、うーん…とどうにも釈然としないのだ。
新幹線、高速道路、一般道のバイパス化などの高速移動網のもたらす経済効果を考えれば必要なことなんだろう。
ただその分、僕には「旅」というものを考えた時、遠距離を短時間で行けてしまえばしまうほど無機質なものになっていく。

あっという間に後ろに飛んでいく景色と長々としたトンネルに、せっかく訪ねた風景を楽しむ余裕もなく、見させてももらえず。
車内のスマホやタブレットの操作に忙しく、外を眺める人の少なさを見れば今や時代は車窓なんて求めていないのだろうか。
旅とは何だろう。
ただ目的地に早く行くことだけなんだろうか。
ただ目的地で楽しむことだけなんだろうか。
少なくとも僕には目的地よりもそこへ辿り着くまでの行程も、同様に時にはそれ以上に大切だったりする。

コンクリートの巨大で素っ気ない人工物は風景をも壊す。
かつて小海線のC56が見せてくれた、背後に八ヶ岳がそびえる雄大な高原風景はR141のバイパス化によってぶち壊され
素朴だった真岡鐡道の八木岡地区も、眺めの良かった母方の故郷の北信地方もこれらに引き裂かれてしまった。
いずれも地元に愛された景色だった。
かくいう北見地方も数年前に高規格道路が開通し、利用する身としては便利になったがその代償に美しかった夜景は台無しになった。


国鉄分割民営化で反対する労働組合に、やはり反対する山田洋次監督から応援の手紙が来たという。
「商売っ気たっぷりに車内でオレンジカードを売る車掌に寅さんはどう思うのでしょう」

今であればお金のない寅さんは
「なんだかよ、この世知辛い世の中、旅もしづらくなっちまったよな」
なんてさくらや仲間のポンシュウに愚痴るのではないだろうか。

車窓を見ればこんなに長閑で素敵な景色が待っているのになんて勿体ない。
やはり僕にはいい匂いのする景色をガタゴト揺られながら、そして身に風を受けながら旅をするのが一番である。



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石北本線 端野~緋牛内




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  1. 2016/10/20(木) 23:21:17|
  2. 石北本線
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彩る森の煙

秋本番の北海道。
今年は残暑もなく台風にも見舞われて、はたして紅葉はどれほどのものだろうと心配していたが
10月に入り一気に冷え込んだこともあってか意外といい色付きのようだ。

四方を山に囲まれたいこいの森。
白い綿毛を纏った雪虫が、もう冬はそこまで来ているよと辺りを舞っていた。
台風被害に遭いながらも汽笛を響かせ続けた雨宮は来週末をもって今年の運行を終える。
(12月には特別運行が予定されているとのこと)
様々な想いを込め、彩られた武利の森に煙が漂い笛の音が吸い込まれていく。
僅か一輌の客車には、紅葉を楽しみに来られた人たちの笑顔が溢れていた。

来年は公園内の線路は全線復旧となるのか気掛かりであるが
それでも小さな機関車はたくさんの人を笑顔にしてくれるであろう。
そんな武利の煙見たさに、僕もまたここに来ることを楽しみにいこいの森を後にした。



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丸瀬布いこいの森




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  1. 2016/10/17(月) 22:55:45|
  2. 保存鉄道
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移ろい往く空の下

ここのところ、なかなか忙しくて撮影はおろか、どこにも行けてない。
季節はいつの間にか本格的な秋が里にも降りて来て、日によっては日中もストーブを焚くようになってきた。
空は高く、北海道の空は実に気持の良いものだと住んでいながらにしてそう思う。
日本各地においてそれぞれの良さはどこにでもあり、必ずしも北海道が一番という訳ではないが
この空の気持ち良さと並ぶのは、僕の中では九州の阿蘇地方くらいである。

そんな空も秋の日は釣瓶落とし、見る見るうちに陽は暮れて途端に刺すような冷気が襲ってくる。
寒さは大の苦手だが逆にその瞬間の景色は大好きで

「写真なんかどうでもいいや」
「いやいや、今日は空がきれいだし」

葛藤を繰り広げながら水に飛び込むような心境で暖かい車内から息を止めて飛び出した。
ガタガタ震える中、列車がゆっくりゆっくりと駅に進入する。
はやぐじで…と悶絶しながらも、青から藍、やがて暗闇へと主役交代する瞬間の空のきれいさと
瞬く里と豆粒のような列車から零れる灯りに寒さは一瞬忘れていた。



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石北本線 緋牛内駅






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  1. 2016/10/15(土) 01:36:48|
  2. 石北本線
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難しい…

先日、野暮用があって浜小清水の方まで足を延ばした。
日中の釧網本線は、今春のダイヤ改正で11時58分網走着の快速「しれとこ」を最後に
15時まで一本の上下列車もなくなってしまったのでついでに撮影をという気持ちもなく
ただあわよくばどこかの駅でスナップくらいは、といつも携行するオリンパスE-M1に12-40mmだけは持って向かった。

当日は穏やかな日で、撮影に出かけたらさぞ気持のよい一日だったことだろうと用足しに対して少し恨めしく感じていた。
ここまで来たら止別~浜小清水のお立ち台か、一直線に伸びる知床斜里~止別か行きたくなってしまうのが人情というものだ。
茜色に染まりつつある空を眺めながら用事を済ませ、帰りの最短ルートから外れ線路伝いの国道に出てみれば
浜小清水に向かって下り列車がやって来た。

こういう時に限ってこうだもんなぁ…

はよくあることで、備えあれば憂いなしとはよく言ったもんである。
下りが来たからには浜小清水で上りと交換だろう・・とダイヤを確認すれば案の定であり
普段からどこでどのようなポイントがあるのかと気にもしていないことが仇となる。
写真の上手な人は、たとえそんな時でも咄嗟に機転を利かせられるのだろうが、
臨機応変とは最も苦手とするもののひとつにおいて全く成す術もなく
結局はいつも以上にパッとしない画で終わってしまった。

ほんとに写真って難しい…。



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釧網本線 原生花園~北浜




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  1. 2016/10/06(木) 02:19:54|
  2. 釧網本線
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揺らぐ煙に

先日、久しぶりに「男はつらいよ 柴又慕情」を観ていた。
例によって夢から覚めた寅さんがいた所は尾小屋鉄道金平駅。
古びた木造駅舎、短い島式ホームに止まる一輌の気動車、そのデッキには牛乳が積み込まれ
すまねぇすまねぇと急ぎ早に乗り込む寅さん。
ディーゼルの排気を残し、蛙の鳴く寂れた里の風景にタイフォンを残して消えていく列車。
その切ないほどの旅情感は何度見てもなんとも言えない気持ちにさせられる。

あの頃の鉄道風景というのはなぜあれほど美しかったのだろう。
絶景とはいえなくても、単なる田舎の風景に一本の鉄路が存在しているだけで
人々の暮らしやその土地の匂いまで運んでくれ、同時に旅先から故郷を思う気持ちにさせられた。
それは夕べに家族が待つ家路に向かう、あのホッとするような感覚にも似ていたように思う。
軽便鉄道が各地に存在していた現役時代とは、そんな人々の暮らしにもっと密接していたものだったのだろう。
車庫から視線を送るコッペル越しに揺らぐ雨宮の煙に、当時の人々の暮らしぶりが見えてくるようだった。



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丸瀬布いこいの森




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  1. 2016/10/05(水) 01:23:40|
  2. 保存鉄道
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u403tsugaru

Author:u403tsugaru
下手な鉄道写真を撮っておりますが、沿線風景や旅先での一コマなども載せていこうと思います。
見て下さった方の一人でも郷愁感や旅への思いをお持ち下されば嬉しく思います。

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