笛の音響けば

汽車の音色は旅へと誘う道標

凍てつく夜

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石北本線 留辺蘂駅


気温-16℃、最終網走行オホーツク7号を駅外れの跨線橋で待つこと十数分。
機材は凍りつき、指先は痛いを通り越して感覚が無い。
温かい飲み物を飲みながら待ってようと買ってきた缶コーヒーをカイロ代わりに手を温める。
次第にジンジンと痛い感覚が戻り始めると踏切が鳴り列車がやって来た。
お目当ての編成ではなかったが、凍てつく夜にしか見れない光景に寒さと指先の痛みも忘れていた。


いよいよ今年も残すところあと僅か数時間になりました。
地元の石北本線緋牛内を中心に撮影してきましたが、悲しいかなまだまだ腕が伴っておらず
載せる写真は恥ずかしいものばかりでした。
それでも拍手やご訪問下さった方々がいらしたことが、どれほど励みになったことかしれません。
おかげさまで今年も何とか一年、ブログを続けることができました。

この、当拙ブログにお越し下さった皆さま。
今年一年、本当にありがとうございました。
来年も変わり映えしないかもしれませんが(汗)よろしくお願い致します。
それでは、どうぞ良いお年をお迎え下さい。




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  1. 2016/12/31(土) 21:00:49|
  2. ご挨拶
  3. | コメント:0

去りゆく姿

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山口線 篠目~仁保


もう十年ほど前、信州に住む母方の祖母が他界した。
享年94歳、胃癌だった。
僕が行くといつも見えなくなるまで手を振って見送ってくれる、そんな祖母だった。
最後の年、弱った身体を起こし外に出て、これがおれとおめぇの今生の別れだと力の限り僕の手を握った。
その時もいつものようにずっと手を振り、千曲川の支流を渡って姿が見えなくなるまで見送ってくれた。
祖母は姿が見えなくなってから必ず最後に一礼をしていた、とのことを葬儀の時に初めて知った。
去りゆく僕の姿を見送る祖母の想いとはどんなものだったのだろう。


汽車が駅を発つ。
激しいドレンに身を包み、濡れた鉄路を満身の力をもって険しい峠に立ち向かう。
その姿は逞しくもどこか悲壮的でもあり、それは蒸気機関車が牽く列車ならではの光景。

蒸気機関車に心を奪われたのは、なにも機械的なカッコよさだけでもなければ猛然と煙を吹き上げる勇ましさだけでもない。
今の時代に流行らないかもしれないが、なにも語らず、ただ黙って去り往く者の背中を見るような
切なげで旅情的で、見送る者が涙してしまうような姿もそのひとつだと思う。
カマの様子が写ってなくたっていい。
彼が発する音と残り香があれば僕には十分だ。

次第に早くなる息遣い、それを追うように赤い尾灯が去っていく。
旅立つ汽車に人が想いを寄せて涙するのは、見送る者の胸に往来する亡き祖母の想いときっと似ているのだろう。




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  1. 2016/12/29(木) 21:43:38|
  2. 山口線
  3. | コメント:0

汽・婦人

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山口線 篠目駅


篠目駅に着くと、既にSLやまぐち号は峠に向けて出発準備をしていた。
雨は止んでいたが濡れた峠越えはさぞや厳しいに違いない。
缶圧を上げ、静かなる闘志を燃やす1号機。
その姿を改札口でじっと見つめるご婦人がいた。





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  1. 2016/12/25(日) 01:56:33|
  2. 山口線
  3. | コメント:0

友と蒸気機関車と

先の只見線の記事で紹介させて頂いた「蒸映」を撮影・制作している友人とその相方であるもう一人の友人。
旅の当日、その二人も山口入りをすることはかねてから知っていたが、それぞれの予定が異なることから現地で会えたらいいね・・・程度の感じであった。
ただ、夜はどこかで一杯やろうということにはなっていた。
返しはどこで撮る?と電話で話すも、撮影区間は同じでも僕は僕でどうしても立ちたい場所があったので再会は夜の楽しみにとっておいた。

山口線に蒸気機関車が復活した昭和54年。
秋には早速乗り鉄で訪れ、撮影はその翌年に山口入りしている。
その時立ったのが鷲原だった。
津和野を発車したSLやまぐち号は津和野盆地の山腹を縫うようにしながら勾配を駆け登って来る。
煙が、汽笛が、ドラフトが、力闘する蒸気機関車の物語が長く望め、あの時の感動を36年振りに味わいたかった。

線路端で当時のことを思い出しながら懐かしい鷲原に立っていると僕の名前を呼ぶ友人たちの声が聞こえた。
津和野でスナップをしていたという友人たちは当初本門前かなと言っていたが、鷲原も捨てがたいと来てくれたようだった。
動画を撮る友人と写真を撮る友人三人で撮影するのは二年前の真岡鐵道以来で、特に写真を撮る友人とはその時以来の再会となり本当に嬉しいものだった。
撮影準備に取り掛かる二人それぞれの仕草を見ながら、数年前に彼らと出会えた「縁」を蒸気機関車好きにちなんで「煙」として
こうして宮城と北海道からはるばる津和野路で再会できた喜びは感慨一入であった。
彼らはプロでも食っていけるとその筋の方たちから声が掛かっているが、羨ましく思える話を二人とも拒む。
そんなハイレベルな撮影技術を持っている彼らが、素人丸出しの恥ずかしい写真しか撮れない僕のような者と行動を共にしてくれることに、いつも深い感謝の気持ちが込み上げる。

津和野発車の汽笛が鳴る。
三人一様に子供のような顔になる。
36年前のあの時のようにシゴナナの1号機が奮闘する様子が見え、背中に電流が走った。
いかん涙が出そうだ、しっかり見なければ、しっかり聞かなければ、しっかり感じなければと彼の姿に集中する。
その奮闘ぶりに、きっとそれぞれの撮影地で皆満足しているだろう順番が刻一刻とやって来る。
高鳴る心臓、震える指先、沸騰する血液。
山岳路線を苦手とする急客機を見事な技術で運転をこなす機関士さんたちの腕前か、1号機は早いピッチで目前を通過した。
頭上に煙が流れ列車の後部が飛んでいく。
彼は足を滑らせながらトンネルに突入していった。
残る1号機の残り香と、列車の残影。
僕たち三人はしばらくその感動を体一杯に感じながら余韻を楽しんだ。



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山口線 津和野~船平山




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  1. 2016/12/22(木) 00:26:27|
  2. 山口線
  3. | コメント:0

どうしても

お茶をご馳走になりながら楽しい談笑が続いたあと
奥さんの体調も今一つとのこともあって、列車の時間までは結構あったがお暇することにした。
もう行くのかい?の声に甘えそうになりながら、せっかく来たからちょっと散歩しながら駅に向かいますとお宅を出た。
玄関からお二人に見送られ、また来たら寄りなさいの言葉がこの上なくありがたかった。
旅の別れとはどうしてこれほどまでに切ないものなのだろう。
お元気になられるよう祈りながら駅に着くと、ちょうど単色のキハが駅を発っていった。



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国鉄時代の面影が今なお残る木造の跨線橋を渡る。
なにもなければまず乗り降りすることはないであろう駅を、一人こうして歩く行為は僕にとって旅をより深いものへと変えてくれるようだ。
ホームの先から列車が去っていった方角を見ると、素朴で優しい風景が見送ってくれた。



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山口線 徳佐駅にて



翌朝、旅のもうひとつの目的である再会の相手のシゴナナの1号機。
どこで彼を迎えようかとレンタカーを走らせる。
有名な大山路も視野に入れ直前まで悩んだ末、逆篠と呼ばれる撮影地に向かった。
車では初めての土地であったが、ナビを使うことは古いバイク乗りのつまらない拘りから勘に頼っての走行をするものの
要は線路沿いに出ればいいだけなので、さして苦労なく辿り着くことができた。

深く細い山道と平行に走る線路。
山口線に蒸気機関車が復活してから様々な物語が多くのファンによって撮られてきた。
長らくそれらの秀逸な写真や映像を見てきた僕も、下手ながらもやっとのことでその一員に加われると思うと
高鳴る胸の鼓動を抑えることができなかった。
生憎常連と思しき先客がいて迎えたいポジションは確保できなかったが、
初参者の自分を快く迎え入れてくれ、和気あいあいとした和やかなムードの中で過ごさせて頂いた。

そろそろという頃、皆が耳を澄ましだす。
サミットの向こうに立ち上がるであろう煙を凝視する。
蒸気機関車ならではのこの緊張感がたまらない。
前夜から降っていた雨により、晩秋の峠路をしっとりと風情ある景色に変えてくれていた天気は
シゴナナが来る直前になって光が差し始め、目まぐるしく色が変わる。

露出に頭を悩まされながら、間もなく真っ直ぐに立ち上がる白煙が見えた。
巨大な動輪を持つ急客機ならではのゆっくりしたドラフトを響かせ急坂を登ってきたC57の1号機。
その勇姿はただただひたすらにかっこよく、全身ありとあらゆる関節の音がするほど震えっぱなしだった。


どうしてもね、君に会いたかったんだよ。



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山口線 仁保~篠目




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  1. 2016/12/21(水) 22:12:05|
  2. 山口線
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徳佐へ

ある人に、どうしても会いたくて
ある彼に、どうしても会いたくて

僕は萩・石見空港に降り立った。


あの日、道で挨拶を交わした縁からお世話になったご夫婦。
玄関先でにこやかに仲良く手を繋いだお二人と蒸気機関車の写真を手渡したくて
いい旅しなさいよと見送ってくれたホームを逆に歩き駅を出た。




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2016年11月18日 山口線 徳佐駅


はたして覚えているだろうか、ご自宅にいるのだろうか…。
そんな不安を募らせながら歩く先に、近所の人と話しながら庭の手入れをされているご主人の姿が目に入った。

こんにちは。
そう挨拶した僕の顔をじっと見ながら
あれ、どこかで見た顔がまた来たね、と笑顔で迎えてくれた。

覚えていてくれたんだ、と笑って持ってきた写真を差し出す。
これをわざわざ?との問いに、僕は少し照れ臭くなりながらそうだと答えた。
もちろん蒸気機関車の撮影も目的のひとつであったが、主目的はむしろこっちというのは本音だった。

あの日と同じようにお茶を飲んでけと誘われた。
ただ、奥さんが昨年ご病気で入院され、退院した現在も体調が今一つ優れないとの話に迷惑ではと遠慮したが
懐かしい顔の人が来たと優しく迎え入れてくれ、机に広げた僕の下手な写真を見ながら
徳佐の町の様子を話してくれたこと、下駄を借りて界隈を散歩に連れ出してくれたことなどあの日のことをつぶてに話すお二人に
ああ、来てよかったと思わずにはいられなかった。



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2014年10月 徳佐界隈散歩途中にて




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  1. 2016/12/15(木) 02:02:04|
  2. 山口線
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旅に

ある人に、どうしても会いたくて

ある彼(機関車)に、どうしても会いたくて・・・


胸に湧き上がるものを抑えきれず
高鳴る鼓動を抑えきれず



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2016年11月18日・・・

僕は、旅に出た。




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  1. 2016/12/12(月) 00:26:27|
  2. 未分類
  3. | コメント:0

晩愁の煙

只見線の魅力は会津平の田園地帯と奥会津の渓谷美…と、少し前の記事でも触れたが
僕にとってはもうひとつ、それらを越える最大の魅力がある。
それは山深い奥会津に点在する集落である。
北海道では考えられない山奥の細くて頼りない道を行けば、こんな所に?と驚くような場所に家がある。
国道沿いの集落も鉄道沿線の集落も、そして山深くの集落も閉鎖感はなく
どこも生活感のある、人々の暮らしの匂いが山里の風景に滲み出るように広がっている。
僕はこの匂いがとても心地よく思えてならない。
初めて雑誌で見た只見線も、旅で初めて訪れた時も、なんていい匂いのする里なんだろうと心底思ったものである。
そんな風景が色濃く見られるのが、現在不通区間となっている会津川口~只見間なのだが
それでも柳津、桧原、宮下と、感じのよい里の風景を只見線は往く。
中でも大好きな里は中川である。
只見川の縁に沿うように広がる会津造りの集落の間を線路が走り、キハも春夏秋冬たまらない魅力を見せてくれている。



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只見線 会津中川~会津水沼   2014年11月9日撮影


試運転時にロケハンも兼ねて来たが煙はスカの惰性区間だった。
本番運転時には宮城の友人が旅に加わり、彼の知り合いの機関士さんがうちらがいると知り、わざわざ減速までして力行してくれた。
言ってみれば演出の煙かもしれないが、僕にとっての会津はこれに尽きると言っても過言ではない会津の里を往く汽車の風景。
雨がそぼ降る晩秋の奥会津に郷愁を漂わせ、会津の主だったC11の牽く列車は涙が出るほど心を揺さぶられた。
機関士さんたちのご厚意に深く深く感謝すると共に、この時の様々な出会いと汽車が見せてくれた旅を僕は一生忘れない。



追記
僕の下手な写真と記事よりも、友人が撮影した作品の方が会津の魅力が伝わると思います。
ご興味のある方は是非ともご覧下さい。









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  1. 2016/12/09(金) 22:40:31|
  2. 只見線
  3. | コメント:0

手を繋ぎ

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只見線 会津川口行列車内にて   2014年11月8日撮影



旧型客車が現役の頃は、機関車が蒸気機関車だろうと電気機関車だろうと
よくこんな光景を飽きずに見ていたものだ。
ガッチャンガッチャンと音を立てて、随分と連結器には隙間があるものだなぁと思ったものである。
減速時にブレーキの下手な機関士だとその隙間が広がったり縮まったり、その分客車にもショックが伝わった。

長大編成の貨物列車が発車する時、連結器がひとつずつカン・カン・カン・カン…と音を立てて
ゆっくりと動き出すこともあれば、遠方から荒々しくけたたましい音を立てて列車を押し出す光景も見られた。
そんな様子を見ながら自分の両手を弓の字に曲げて連結時の様子を真似てみたり
集団登校時に友だちと連結ごっこをしたりと遊んだことが懐かしい。

客車列車が絶滅した現在、イベント列車の時くらいにしか見られなくなってしまったが
久しぶりに蒸気機関車の背中を見ながらその音と光景を堪能した。




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  1. 2016/12/09(金) 21:18:55|
  2. 只見線
  3. | コメント:0

プロフィール

u403tsugaru

Author:u403tsugaru
下手な鉄道写真を撮っておりますが、沿線風景や旅先での一コマなども載せていこうと思います。
見て下さった方の一人でも郷愁感や旅への思いをお持ち下されば嬉しく思います。

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