笛の音響けば

汽車の音色は旅へと誘う道標

緑の中から



石北本線 緋牛内~端野


雨が降った後、天気が回復すると木々の葉も雑草もここぞとばかりに成長する。
まさにぐんぐん…といった感じで、その成長ぶりは目にも見えるほどだ。
こうなると厄介なのが我が家の草刈り作業で、これが冗談じゃないほどやってられない。
大体3週間に一度の間隔で、その都度ガソリンを3ℓほど使うだろうか。
蒸気機関車の機関助士ではないが、全身塩でザラザラのベタベタならまだしも
草刈り機の歯がガンガン回っているところに足が吊れば、刈った後の草集めの頃になると全身が痺れてくる。
毎度毎度うんざりしながらやっているといった感じで、これが楽しいという人もいるのだから人ってそれぞれなのだろう。
それでも、草刈りが終わった時の充実感みたいなものはあっても、こんなことで休みが丸一日潰れ
その日は廃人となって終わることを思うと、雨の降った後の晴れは少し重たい気分になるというのも正直なところだ。

ただ、それだけに雨上がりの緑は生き生きとして、その様はなんとも言えないきれいさだと思う。
色だけでなく、緑のいい香りも辺り一面に漂う。
雪融けにはじまり山や野辺が彩られるまでの期間が長いこともあって、緑一色となった光景はより鮮やかに感じる。
美しいがどこまでも真っ白で凍てつく厳しい冬、そして今まさに動物や虫たちが活発に動く生命溢れる季節となった。
そんな北海道の色をイメージしているのだろう列車が、溢れる緑の中から今日も元気に姿を現した。




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  1. 2017/05/30(火) 22:44:34|
  2. 石北本線
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雨上がりの景色に

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石北本線 端野~緋牛内


セミが鳴き始めたと思ったのに、北海道もしばらく天気の悪い日が続いている。
夜は肌寒くてストーブを焚いているものの、寒暖の差と不摂生がたたってどうも怠くて熱っぽい。


雨というのは嫌いではない。
寒い時期の雨はさすがにキツイものがあるが、夏の雨はいいものだと思う。
晴れた日の爽快な空はそれはそれで気持ちがいい。
それでも緑がしっとり濡れた雨ならではの風景は、とても風情があって堪らない気持ちにさせられる。

バイクで旅をしていると必ず雨には当たるものだが、そこで出会った風景たちはどれも印象に残るものだった。
信州は飯山線と千曲川の間を走る三桁国道。
今は対岸にバイパスが出来たので交通量はめっきり少なくなった。
梅雨の時期、そこで見た光景が未だに忘れられない。

林道から出てきた僕はバイクも全身も泥だらけだ。
常に体重移動をしてバランスや荷重をかける林道走行に鬱陶しい合羽の中は蒸れまくっている。
幸い雨は止み、やっと出てきた里の風景にホッとして、おもむろにクモの巣だらけの自販機でコーヒーを買った。
静かな集落の山里の風景に缶を開ける音でさえ響くほどだった。
古い石橋があり、家屋があり、日没後の蒼い時間に沸き立つ川霧。
迫る山には雲が垂れ込め、所々の水銀灯や木柱にぶら下がる電球がぽうっと点く。
そして蛙の大合唱・・・。

僕はヘルメットを取って、しばらくバイクのシートにもたれかかりながらそんなシーンを見ていた。


夜勤明けの帰り道。
それまで降っていた小雨も止み、若草色の鮮やかな緑がしっとり濡れていた。
足もお尻もビッショリに濡れながら列車を待つ。
場所も時刻が全く違っても、見せる質感や趣きはどこも堪えられないものがあるなぁ…と
改めて思わされた日だった。




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  1. 2017/05/26(金) 01:02:28|
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セミ鳴く季節

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石北本線 緋牛内~端野


エゾハルゼミが鳴き始めた。
エゾといっても内地でも初夏の山に行けば鳴いているが、このセミの鳴き声は季節柄爽やかなイメージが強い。

それにしてもつい一月前までは雪が降っていた。
それなのにもうセミの季節の到来だ。
北国の季節は遅れていた暦を取り戻そうと移り変わるのが早く、僕の思う春らしさを感じる日はそう多くない。
3月に入り陽の光が随分と暖かくなってから桜開花の時期まで色が乏しい埃っぽい期間が長く、おまけに風の強い日がとにかく多い。
冬の透き通るような美しさから一転、この期間は春を迎える喜びはあるものの、僕はどうにも好きになれないでいる。
この辺のことは、北海道で生まれ育った人との感覚の違うところなのかもしれない。

そんな乾いた風景に潤いを与えてくれるような新緑の季節が駆け足でやって来た。
長いこと溜まっていた鬱憤を一気に吐き出すように鮮やかに若葉が燃える。
ウグイスやカッコウが鳴き、春ゼミが鳴き、澄んだ空がなんとも言えないほど気持ちいい。

ちょうどやって来た特急オホーツク。
久しぶりに見る引退間近といわれるスラントノーズの車輌が去って行く。
果たしてあと何回この慣れ親しんだ車輌を見れるのだろう…
そう思いながら西に傾く空の下、眩い光に列車の屋根を光らせて去り行く後ろ姿は、なんだかとても尊いことのように感じた。




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  1. 2017/05/20(土) 18:53:27|
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春の林鉄

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丸瀬布いこいの森


雨宮21号としていこいの森を走る元武利森林鉄道の18号形蒸気機関車。
軽便鉄道の車輛はどれも個性的でユーモラスな形が多い。
この雨宮も寸詰まりな身体に小さな3つの動輪を持つかわいらしい機関車だ。
一丁前に

「シポポポ、シポポポ・・・」

と、これまたかわいいドラフトを奏でて煙中毒者の気持ちを和ませてくれる。
それでも時には国鉄型蒸気顔負けの迫力を見せるところは、痩せても枯れても蒸気機関車なのだと思わされる。


駅を中心としてその前後にリバース区間を設け、約2キロほどの線路を走る雨宮。
昨年は台風被害で片側のリバースだけでピストン運行となっていたが、
関係者の必死な努力で今年は全区間運行されるに至った。

当日は曇りで風も強く寒い一日だった。
来園者は疎らであったものの、毎回運行される時間間際になると数人集まり、それは最終運行まで続いた。
お客さんを乗せた雨宮はシポポポ‥シポポポと走る。
林間区間は一番の見せ所。
煙を吐いて往く雨宮は、かつての自身が活躍した森林鉄道を思わせてくれた。

沢に咲くリュウキンカに見送られ、煙を吐いてシポポポ、シポポポ・・・
武利の機関車は本当に愛らしい機関車である。




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  1. 2017/05/18(木) 14:43:42|
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名残り桜

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丸瀬布いこいの森


今年の桜は咲き始めたかなと思ったらパッと満開になって、パッと散ってしまった感がある。
勤務の巡り合わせが悪かったこともあって余計にそう感じたのかもしれないが、結局通勤路と職場以外で桜を見ることはできなかった。

丸瀬布いこいの森。
遠軽から内陸に入った山に囲まれた丸瀬布の町からさらに奥に入る。
ひょっとしたらまだ桜は残っているのではないか…、その期待は見事に外れた。

それでも公園内になんとか花をつけていた木が一本だけあった。
ほぼ終わりかけの散り桜であったものの、桜のいいところはなにも八分咲きや満開だけではない。
エゾヤマザクラはソメイヨシノや垂れ桜のような風流さはないにせよ、それなりの風情があるのはやはり桜ならではのように思う。

山は若葉が芽吹き始めそろそろ新緑も出揃ってくる頃。
春のリレーは着実にバトンを渡されているのだろう。

もう少し咲いていたいな…と花開く姿が健気に思えた。
名残惜しそうに咲く桜を、公園の人気者である雨宮は武利の山に汽笛響かせ、優しくそっと見守っていた。




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  1. 2017/05/14(日) 12:34:26|
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5月の日本一

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大井川鐡道 抜里~川根温泉笹間渡    2013年5月撮影


毎年5月になると大井川鐡道が恋しくなる。
正確にいうと大井川、川根地方がといった方が正解かもしれない。
北海道に来る前まで、僕は毎年4月は甲州新府の桃、5月は大井川と行動が決まっていて
特に5月の大井川は抜里の河原で一人野宿するというのが恒例だった。
バイクにテント一式を積んで夕方前には現地に着き、暮れゆく日のもと焚火をしながら飯を炊き、
カジカガエルの鳴き声を聞きながら酒飲んで、川の流れと第一橋梁を渡る列車の音に酔っぱらう…。
別に汽車の写真なども撮らず、どこも移動せず、ただそこで一日過ごすということが最高の贅沢であり楽しみだった。


あれから十数年が経ち、2013年、久しぶりに5月の大井川にやって来た。
あちらでもこちらでも新茶摘みが忙しい。
機械摘みのブーンという音は作業されてる農家さんにとってはうるさいだろうが
でも傍で聞いていると、昼下がりのセスナ機の音に眠気を誘われるのと同じように聞こえてくる。
いつも野宿していた河原の対岸には立派な施設が出来てもう野宿は出来そうにない。
けれども新緑の山々、瑞々しい茶畑の緑は相変わらず目に眩しく、加えて大井川の広い河原と素朴な里は
言葉にならないほど平和で美しかった。

そんな景色の中をC10やC11、C56といった小型の蒸気機関車たちが往く。
この日はC11が程よい4輌の客車を牽いてやって来た。
C11は客車3~4輌ほどの編成がよく似合う。
5月とはいえ陽射しも強く煙も薄いが、いかにも普通な着飾らない姿に本来の汽車の良さ、詩がある。
蒸気機関車はなにも煙だけが全てじゃない。
それよりも、この新緑と新茶の季節美しい大井川の景色を往く汽車の姿にこそ胸を打たれる。
そう思う5月の大井川は今でも僕の中では日本一だ。

先日KATOから発売されたC11。
C56やC12ともども小さなエンドレスを走らせただけで、あの日あの時大井川で過ごした一日のことが蘇ってくるこの頃である。




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  1. 2017/05/11(木) 09:07:06|
  2. 大井川鐵道
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恐怖との闘い

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石北本線 美幌~緋牛内


前回の更新から二週間、あれから随分と緑が増えた。
街はツツジや芝桜が咲き、いよいよ桜も開花となった。
我が家の方は街より気温も低く、街ほどではないにしろ大分花たちが蕾を開いてきた。

ゴールデンウィークの後半、我が家付近は桜もまだまだなのにいきなり夏日となった。
桜の前に30℃なんてことはたまにあり、春という季節感が関東出身者の僕には感じられない。
それでもこう暑いほどだとバイクに乗るには都合よく、車だったらまず行けない山の奥へと機材を背負って近場の林道に向かった。

軽い機材というのは負担も少なくありがたい。おかげで軽快に林道を突っ走る。
雪解け水で深く抉られた路面。
手前の少しコブになっているところをめがけてアクセルを開ける。と同時にステップを前に蹴り腰を引く。
フワッと両輪が路面から離れ溝を飛び越す…。
オフロードバイクの機動性、爽快感、ああやっぱり気持ちいい。そして面白い。

木々の成長に線路は見えず…と一瞬視界が開けた箇所を見つけた。
バイクを置いて少しだけ伐採された足場の悪い斜面をよじ登る。
列車が来るまでの約30分という時間は少し不安になってくる。
願わくば今時期のヒグマの遭遇はぜひとも避けたい。
過去二度ほどバイクでヒグマに遭遇し、一度はお互いに驚いて逃げる方向が同じで並走…なんてこともあったが、
あんな巨大なものに出くわしたら勝てるわけがない。
こんな足場の悪い所ではいい標的であり、時折背後でパキッと鳴る音に怯えながらの待ち時間はとても長く感じられた。

日没数分前とはいえ谷間は既に陰り、辺りは一層静寂感が増す。
芽吹き始めた緑と白樺の幹の色が薄暗くなり始めた景色に浮かび上がり、いかにも北海道の山間といった風景が恐怖心を多少なりとも和らげてくれた。

列車の唸るエンジン音が過ぎ去れば再び山の中は静まり返る。
そして山の日暮れは早い。
さぁ、ここからが時間との勝負。
急いで山から抜け出そう。




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  1. 2017/05/07(日) 02:01:55|
  2. 石北本線
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プロフィール

u403tsugaru

Author:u403tsugaru
下手な鉄道写真を撮っておりますが、沿線風景や旅先での一コマなども載せていこうと思います。
見て下さった方の一人でも郷愁感や旅への思いをお持ち下されば嬉しく思います。

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