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笛の音響けば

汽車の音色は旅へと誘う道標

「おとちゃん」ですら…

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真岡鐡道 市塙~笹原田


1月23日に関東地方にもたらした大雪は未だに融けず、刈田や線路端には予想外に残っていた。

「どこで撮りましょうかねぇ…」

当初、真岡駅前では多田羅に行こうかと話していたが、既に多くの三脚が並ぶ光景にお互いに「どうもなぁ…」と気持ちが乗らず、
汽車をのんびり待てそうな…と友人と初めて会った思い出の場所へと移動する。
靴の中に容赦なく入って来る雪に構わず段取りをしていると、友人が地元のお婆さんと盛んに話をしていた。
あの山が見えない時は風が吹く、と教えられたらしい。
それから一時間もしない内に強い風が吹き始めた。
古くからその土地にいる方の言葉は的確だ。
そんな教えを授かるとまたひとつその土地のことを知り愛着が生まれ、それがなんとも嬉しく思えてくる。

それにしても関東の冬は寒い。
冬の関東を知らない北海道の方は「氷点下になっても僅かだし、そんな寒くないべ」と決まって言われるがとんでもない。
数字に表わすと確かにそうだが寒さの質が違う。
関東平野を取り巻く山脈から吹き降ろす空っ風の冷たいことと言ったらなく、
こと北関東ともなれば日光連山から寒気がそのまま雪崩れ込んでくるような感じだ。
この日の容赦なく吹き付ける寒風は頭を突き抜けていくようで、この冬初の使い捨てカイロを使うほどだった。

それでも外で汽車を待つ。
なんの変哲もない素朴な芳賀路の風景を車の中にこもって見ているなんて勿体ない。
友人とくだらぬ話をして汽車を待つ時間もまた僕には大切な時間なのだ。

市塙発車の汽笛が聞こえてくる。
いよいよだと一気に張り詰める緊張感…。
山の裾野をきれいな白煙を描いて待ちに待ったC12がやってくる。
蒸機を見ると相も変わらず全身が震えるのは生涯治らないことだろう。
山影から飛び出してきた面構えにかわいげな「おとちゃん」ヘッドマークはいささか拍子抜けしたが
それも何となく許せてしまうのは地域に溶け込んでいる真岡の汽車ならでは、と僕には思えてならない。




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  1. 2018/01/31(水) 17:41:22|
  2. 真岡鐡道
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再会

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真岡鐡道 真岡機関区


今日から釧網本線で「SL冬の湿原号」の運行が始まるという日、僕は帰省を兼ねて真岡鐡道を訪ねていた。
湿原の蒸気運行は首を長くして待っていたが、その前にどうしても真岡の汽車に会いたくて仕方がなかった。
冬枯れた北関東の田舎を走る小さな機関車C12…。
地域に溶け込み、ごく自然に走っているような感覚を僕は彼に感じている。
ここも復活蒸気なのは間違いないのだが、機関車というよりは蒸気列車の保存、
もっといえば汽車の走る懐かしい風景を地域丸ごと保存しているかのような大井川鐡道とは違い
もし、現役蒸気が廃止にならずにいたら今のような姿ではなかったか…と思わせる真岡の匂いが心地いい。

一昨年の山口以来となる友人との待ち合わせに選んだ真岡駅に着いたのは集合時間の一時間前だった。
お互い申し合わせたかのように同着し、しばし再会の喜びのあと機関区脇の見学通路に向かえば出区準備が進められていた頃だった。
凛とした朝の空気に煙を上げる久しぶりのC12。
石炭の匂い、油の匂い、コンプレッサーの排気音…、それら蒸気機関車だけが持つ体臭が五感を擽る。
小さな機関車だけどカッコいい、けれどもムギュっとしたくなるほど愛らしい。
連れて帰るか、庫に自分の寝床を移したいものだと眺めていた。
先に行って待ってるよ…

さて、どこで迎えましょうかねと相談する。
追っかけはしない。のんびりと汽車を待つ。
思えばそれまで動画サイトにてコメントのやり取りだったものから挨拶も兼ねてと初めて会ったのが1月後半の真岡だった。
積もる話もあることだし、そんな時間を楽しみながら待つことにしよう。




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  1. 2018/01/31(水) 03:01:38|
  2. 真岡鐡道
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生きがい

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釧網本線 細岡~釧路湿原    2000年撮影


いよいよ今週末、湿原に煙が帰って来る。
北海道での蒸機運行はもはやここだけになってしまった。
恥ずかしい話だが、そうやたらと内地の各路線に行けない寂しい懐事情と融通の利かないシフト勤務。
先輩諸氏の優れた写真やKATOの蒸機を狭いエンドレスで走らせては慰めているものの、やはり自分の肌で感じたい。

昨年は機関車トラブルが発生し蒸機運行が中止となってしまった。
仕方のないことだとはいえその落胆は大きく、 同じような思いをされた方も多かったと思う。
しばらくは何をしても心が埋まることはなく、蒸機がないということは僕にはあってはならないことなのだと二度目の体験をした。
煙があろうとなかろうと蒸機を見たい…
例えヘボでも何でも蒸機を撮りたい…
煤や油の匂いと大地を振るわす動輪、心の奥底まで響く郷愁の汽笛…
その熱気と息吹を全身に刻み込みたい。

新年を迎えてまだ一ヶ月。
僕にとってこの蒸機運行が一年の始まりであり締めであるといっても過言ではない。
今のところ釧路は例年より雪が少ないとのことだが、元気に走ってくれればそれだけで十分だ。
彼の鼓動を聞き、感じ、逞しく旅情溢れる姿が見れることを今か今かと楽しみにしている。




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  1. 2018/01/21(日) 14:59:34|
  2. 釧網本線
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夕暮れのスラントノーズ

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石北本線 端野~緋牛内


朝まで曇っていた空は時間の経過と共に晴れ渡り、
スラントノーズが冬の大地を走る姿を目に焼き付けておこうと線炉端に足を向けた。

露払いの普通列車も駆け抜けて、もうすぐ北の大地に日が沈む。
昼から夜に移る群青色の空が天を覆い、雪原が紅く、蒼く、静かに燃える。
厳しい自然環境に負けることなく、ひたすら走り続けてきた彼を労うように大空と大地は色付いた。

舞台の袖からカーブを切って三つ目のライトが見えて来る。
長年通い慣れた路にどれほどの人生を乗せて来ただろう。
黄昏時の花道を見送ることが出来るのも後僅か、今日も北海道らしく澄んだ美しい鉄道情景を見せてくれた。
せめて最後まで、いつものように去って往く君を見届けたいものである。




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  1. 2018/01/17(水) 01:56:11|
  2. 石北本線
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-23℃の緋牛内

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石北本線 緋牛内


強烈な寒さだった。
翌日の予想最低気温は既に夜の内に越え、星撮りをされる方にはもってこいの夜空となっていた。
これはもう気合いを入れて早朝出掛けるしかない…と睡眠もそこそこに家を出た。

石北本線の朝は網走5時56分発の特急オホーツク2号から始まる。
普通列車はオホーツクの後に上りが網走6時22分発、下りが北見6時46分発
とそれぞれが始発列車となり、その列車同士の交換が緋牛内で行われる。
この時期、厳しく冷え込んだ朝ともなると列車の排気が昇り始めた陽に染まる。
寒さに滅法弱い上に、これまた苦手な朝とのダブルパンチに交換劇を知りつつも、
だからといって行かず仕舞いなのはなんとも勿体ない。
しかも緋牛内は自宅から車でたった数分の所である。

気温-23℃…。
意を決して外に飛び出したものの逃げ出したくなる寒さが全身を襲う。
温めておいた手袋も緋牛内に着いた頃には保冷剤のように冷たくなり、指先がジンジンと痛み出していた。


上り列車の到着後、間髪入れずに下り列車が到着する。
一瞬の静けさの後、一足早く上り列車が発車した。
凄まじいほどの排気が朱く染まった空に立ち上り、見事なまでの美しさと列車の逞しさがファインダーに描かれる。
極寒の舞台に拡がったドラマに、いつの間にか指先の感覚がなくなっていたことすら忘れていた緋牛内の朝だった。




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  1. 2018/01/14(日) 01:50:39|
  2. 石北本線
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まさかの地元ネタ

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石北本線 緋牛内~端野


列車を待っていると滅多に車が通らない道に一台の車がやって来た。
道路は除雪されているものの路肩分は狭く、軽く会釈をして気持ち避けると僕より少し年上らしきドライバーが降りて来た。

「こんにちは。地元の方ですか?」
見るとニコンD750を引っさげて、どうやら同業者のようだった。

「このあと女満別から帰るんですよ」
毎年一度の遠征を楽しみに一年を過ごし、その度に石北本線を訪れているのだという氏は二日前に北海道に来たらしい。

「随分急ぎですね。東京からですか?」
「いや、長野からなんですよ」

長野と一言でいっても広い。
物心つく前から馴染みのある土地故に少し突っ込んでみると長野市からだという。

「それじゃ信州中野や信濃川田はご存知ですよね?」
「あんな所、よく知ってますね」

知るも知らないもそこには親戚がいて、信州中野の家はある意味第二の実家と言っていい。
聞くと氏は飯山の出身だという。そこから話が弾みに弾んだ。
飯山線のC56の話、ドアが手動の吊り掛けオンボロ電車が走っていた頃の長野電鉄の話、
国鉄から急行志賀が乗り入れてた頃の話…。
何よりも驚かれてたのが金沢行きの白山が客車急行時代の話だった。
ほとんど記憶にないほどだが、座席に座っている僕を親父がホームから写している写真がある。
まだ実家に行けば古いアルバムのどこかに貼ってあるはずだ。

「えっ?それは凄い!格上げされて電車特急になってからの写真はあるけど、
PCのは仲間内でも持ってるのはいないだろうなぁ」

半ば興奮気味に話す氏に思わず笑ってしまったが、この先、急行列車はおろか在来線特急すら乗ったことがないという人が出て来るかもしれない。
時代は常に移り変わり、今ある鉄道風景も将来見られなくなる日がやって来る。
仕方のないこととはいえ、幼き日々からあった長電や飯山線の風景も今では変わり、
そう思うと少しでも機会があれば訪れておきたい。
同時に普段から信州の路線を廻れる氏の環境に羨ましく思ったが、それはお互いさまなんだろう。
石北だろうが長電だろうがそれぞれの魅力があり、なかなか行けない所だからこそ地元路線の良さが少しばかり霞んで
他がよく見えたりする…。

まさかこんな所で信州の地元ネタが話せるなんて…とお互いに笑い、共に撮影した時間はとてつもなく短いものだった。
長電も古い駅舎を改装する話もないし、また信州に来て下さいねと満面の笑みで氏は女満別空港に向かわれた。




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  1. 2018/01/13(土) 18:34:52|
  2. 石北本線
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冬の華

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石北本線 端野~緋牛内


冬、常呂川流域にある端野町は深夜から朝にかけて川霧に覆われる日が多くなる。
-18℃となった早朝、職場から端野方面を向くとまさに沈むといった方がいいほど深い霧の中だった。

引継ぎを終え、端野9時37分発の列車が北見に到着するころ帰宅途中に寄り道してみると辺りは一面霧氷となっていた。
青空となっていれば申し分ないのだが、それでも薄日に照らされた霧氷は神々しいまでのきれいさで、
寒さと除雪にウンザリする冬でもこの時ばかりは晴れやかな気持ちにさせてくれる。
快晴ならば恐らく消えていたであろう霧氷もこの日は10時を過ぎても真っ白だった。

厳しい寒さが咲かせた冬の華…。
時折枝からハラリと音もなく、最期まで輝きながら舞い落ちる霧氷の命は花のような儚さだ。
少しの風や気温の変化でもすぐに壊れてしまう繊細な冬景色を見ながら、鮮やかなマフラーと手袋をはめたような白い列車が駆け抜けた。

寒さもこれからが本番となり、約二月の間北海道は厳しくも一番美しい季節を迎えることになる。
平成最後の年、この冬は一体どのような鉄道風景を僕に見せてくれるのであろう…。




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  1. 2018/01/09(火) 18:28:13|
  2. 石北本線
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謹賀新年

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石北本線 緋牛内


明けましておめでとうございます。
拙いブログが続くと思いますが、今年もどうぞよろしくお願い致します。




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  1. 2018/01/03(水) 00:14:12|
  2. ご挨拶
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Author:u403tsugaru
当ブログは写真ブログではなく、あくまでも日記の立ち位置のつもりでいます。写真は落書き代わりのいい加減なものですので、予めご了承下さい(´▽`;)ゞ

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