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笛の音響けば

汽車の音色は旅へと誘う道標

夕暮れ発…

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石北本線 緋牛内~端野


あの頃の自分に会えたなら、なんて声を投げ掛けよう…。

虫取り網と籠を持ち
汗と泥まみれの少年は田畑の道を駆けまわる。
ふと見た景色は茜に染まり、聞こえてきた夕支度。
まな板を叩く音色が「そろそろ帰りなさい…」と優しく促した。

夕暮れ発、家路行き。
夏の夕日はあの日へいざなう夢への列車だ。





テーマ:写真日記 - ジャンル:日記

  1. 2018/07/30(月) 17:45:21|
  2. 石北本線
  3. | コメント:0

日の暮れた駅で

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今日もひなびた駅に日が沈む。
釧網本線、緑駅…
その名のように、辺りは森林の緑に囲まれた峠の麓の駅である。

かつては上札鶴森林鉄道があるなど林業が栄えた土地だったという。
林業が減退した現在も隣町の札弦では木工会社が操業しているが、
ここでは日中でも駅前集落を貫く道路を走る車の音が時たま聞こえてくるだけの静けさだ。



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列車を降りると住人の心ばかりに添えられた花々が旅往く人を出迎えてくれる。
しかしここが神の子池や裏摩周などの玄関口であろうとも、そこへ向かう足がなければ降りる人もいないだろう。
恐らく車窓から眺める一時の癒しにしかならないだろうが、そのささやかなもてなしがじんわりと胸を熱くさせた。

どんよりとした空が寂しさを募らせ、日に数本の列車をひたすら待つ駅舎に灯りが点る。
モノトーンの世界に移る中、よく手入れされた砂利のホームをぼんやり照らし
構内外れのシグナルの、赤い光点がうらぶられたローカル線を物語っているかのようだった。



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釧網本線 緑駅


副本線を備えていた上りホームは木が茂り、多くの側線があった構内は他の駅同様に撤去され
年月が経つごとに往時を偲ぶことが困難になっていく。
今ではただひっそりと、日の暮れた山懐に沈もうとしていた。

次の列車は20時53分、最終列車の網走行までしばらくある。
それまで闇と戯れ、この駅に触れていることにしよう…。




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  1. 2018/07/25(水) 12:56:43|
  2. 駅・設備
  3. | コメント:0

鉄道のある景色

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釧網本線 札弦~清里町


釧網本線というと東側の釧路湿原、北側のオホーツク海と両端区間が目立つような印象をどうしても受けてしまうのだが、
内陸区間もなかなかどうして、川湯温泉と緑の間に位置する野上峠を境に
釧路方は牧草地帯、網走方は畑作地帯と雰囲気は随分違うながらも道東らしさが光る。

海や湿原の大自然の風景もいいけれど、人の手が入った大地の風景というのもまたいい。
姿は見えなくても、人の気配がするというのは何となく落ち着き居心地がいいものだ。
列車に揺られれば飽きもせず眺めていた車窓。
窓を開け放ち土地の匂いを嗅ぎながら、頬杖ついて、ああ、いい景色だなと見ていたのもそんな風景だった。

その車窓の側から列車を見れば鉄道は風景の一部で、ひとつひとつの音や匂いと対等である。
車輌形式そのものに魅力を感じるものもあるのだが、風景の一部として眺める鉄道は
頬杖ついていつまでも眺めていたくなる、僕にとってのいい景色なのである。




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  1. 2018/07/21(土) 18:11:47|
  2. 釧網本線
  3. | コメント:0

夏…だよね?

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釧網本線 清里町~札弦


早いものでもう7月半ば、いよいよ夏本番である。
気温12℃…。肌寒いを通り越して寒い。

今年の農作物の生育具合は今後の天気次第という。
素人目にはどの程度遅れているのかわからないが、それでも麦は色付きはじめ、ジャガイモも花盛りだ。
これで夏らしい日差しがあればもっときれいなのになぁ…
と少し残念な気持ちで鼻を垂らしながら列車を迎えた。


異常な気温になっている内地各地の方々からすれば少しその冷気をくれと言いたくもなろうが、
それはこちらも同じでその暑さを分けて欲しいくらいだ。
予報では今週末くらいから上がってくるようなので、今後夏らしい空が広がってくれることを期待したい。




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  1. 2018/07/18(水) 23:46:20|
  2. 釧網本線
  3. | コメント:0

天候不順



石北本線 緋牛内


朝靄の緋牛内を抜けて、一路札幌へと向かうオホーツク2号。
鉄道風景に限らず、湿気った日常を見るのも珍しいものではなくなって来ているように思うのは気のせいだろうか。


連日メディアに流れる西日本各地で起きた大雨災害に見るように、昨年は北九州、一昨年は北海道と
毎年どこかで災害が起きている。
亡くなられた方のご遺族、被災された方にはお悔やみ、お見舞い申し上げると共に、
一日も早く普段の生活が取り戻せることを祈るばかりだ。

温暖化の影響なのだろう天候不順は北海道にも同じことがいえ、本来ならばこの時期安定しているはずの天気が全く安定しない。
北海道に住み始めてから久しいが、こちらに来た当初はもっと暑かった。短いながらも夏らしさがあった。
ところが、近年は内地ナンバーのバイクを見かけては

「こんな天気ばかりじゃ気の毒だね」

と仲間内で言う機会が増している。
つまりそれだけ雨やグズついた天気が多いのだ。

ちょっと調べてみると、北見地方のここ30日間の日照時間は平年の約6割ほどで降水量は3倍増。
20日間に絞り込むと日照時間は4割まで落ち込み、降水量は4倍増となっている。
かつては日照時間日本一と言われていただけに、現在とはあまりの変わりようだ。
この分だと、北海道には梅雨がないなど昔のことと言われる日もそう遠いことではないのかもしれない。




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  1. 2018/07/15(日) 01:36:57|
  2. 石北本線
  3. | コメント:2

サバんちゃ

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石北本線 端野~緋牛内


おぇ、一緒に飯山の方にでもに行こうや。

物心が付く以前から、信州の親戚宅には親方である叔父に「サブ」と呼ばれていた住み込みの弟子がいた。
叔母や他の人らからは「サバんちゃ」と呼ばれ、 それは「サブ兄ちゃん」「サブあんちゃん」が訛ったものである。
色黒で筋肉質の、今でいうかなりのイケメンで、汗水垂らして一生懸命働く真面目な青年だった。
親戚周りで同年代というとほとんどが女衆で、早くに兄を亡くしていた少年時代の僕には貴重な憧れの存在だった。
行けばいつも優しく接してくれるかっこいいサバんちゃに甘えたいものの、何だか恥ずかしくて今一つ飛び込んでいけず、
向こうから構ってもらうのを待っていた…というのが常だった。
そんな時、仕事を早く終えて帰って来たサバんちゃが前述のようにドライブに誘ってくれたのだ。
僕はもう嬉しくて嬉しくて、サバんちゃの運転する車に乗っかって、千曲川の流れを見ながら飯山に向かったのである。

飯山では夕立があったのか景色は濡れていて、小さな商店街の建物や路面は逆光に輝き、
その向こうにはもくもくと沸き上がる入道雲が山のように聳えていた。
車のラジオから流れる、サバんちゃが好んでレコードをかけていた千昌夫の「星影のワルツ」に乗って飯山線のディーゼル列車が顔を光らせ通過する。
小学校低学年の暑い暑い夏の夕暮れ時だった…。


パッとしない梅雨のような天気が続く中、ようやく出た日差しも北海道にしてはかなり暑くなった先月末。
ザッと一雨きたものの、それほど暑さは抜け切らず、少しばかりの涼を求めて川の堤防へと足が向いた。
山のように沸き立つ入道雲の足下へ、顔を光らせディーゼル列車が往く姿…。
蒸した景色に遠きあの日のことが甦り、僕はいつしか星影のワルツを口ずさんでいた。




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  1. 2018/07/08(日) 14:15:59|
  2. 石北本線
  3. | コメント:0

朱の印象

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石北本線 美幌~緋牛内


晴れといっても薄曇りのようなかすれた空ばかりで、どうにもスッキリしない天気が続いていた。
夏至まであと数日に迫ったある一日。
これが初夏の北海道だと言わんばかりの日差しがやっと注いだ。

初夏の北海道はきれいだよ…そう勧められたこともあり二回目の渡道を果たした若き頃、根釧原野は真っ赤に染まった。
緑の牧草地も、地平線まで続く真っ直ぐなダートロードも隅々まで染まり、不自然なほど西別岳がクッキリ浮かんでいた。
美瑛・富良野の大雪山連峰も道北のサロベツ原野もよかったけれど、軽く土埃の舞い上がる朱いスクリーンに落ちる長い影は
まるで自分がスティーブ・マックイーンの映画にいるようだった。
それが初夏の北海道の強烈な印象として今なお残る。

陽が傾くにつれ透き通るような赤味を帯びた光が強くなる。
一身に受けながら今日の主役は現れて、海抜13mの美幌から58mの緋牛内へと見せ場を登って行く。
初夏の北海道における朱い景色に見る旅往く者の姿はどこまでもドラマチックで、その度にあの日の感動を呼び出してくれる。




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  1. 2018/07/06(金) 00:12:12|
  2. 石北本線
  3. | コメント:0

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