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笛の音響けば

汽車の音色は旅へと誘う道標

成層圏Express

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石北本線 端野~緋牛内


日没から15分、空の主役が移り変わる薄暮の時…。
次第に蒼から群青色へ、そして夜がやって来る。

自分なんかの腕では表現しきれないくせに、ブルーモーメントとかそんな軽い言葉を使いたくない…などと生意気を言う。
なんというか、飛行機上で日没を迎えた時に見る神秘的な色…とでも言えばいいのだろうか。
北海道の土を踏み、一番最初にハッとさせられたのがこの時間帯の空の色だった。
それは遠くシベリアから流れてくる寒気が見せたものなのか、
それとも単に北国旅情が見せるだけのものだったのかは分からないが
意識が空に引き込まれていきそうな錯覚を覚えたほどだった。


北海道の空はよく高いと言われる。
でも、この時間の北海道の空は深いといった感じがする。

その広くて深い成層圏へと続く空を、一足早く影に沈んだ彼方からエンジン音を唸らせ駆け上がる。
それが己の使命なのだとただ真っ直ぐに、ただひたすらに…。
車窓から零れた光はやがて頭上の星座となって瞬く頃、特急大雪は終着網走に着いているはずである。




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  1. 2018/11/28(水) 03:18:17|
  2. 石北本線
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元気で…

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只見線 会津中川    2014年11月撮影


蒸機運行が終わった秋の只見線。
きっとこれがいつもの顔で里に流れる普段の姿とわかっていても
盛り上がりを見せた昨日までと比べると、どこか祭りの後の寂しさを思わせた。
感傷的になっていたこともあろうが、早くも斜陽となった奥会津に届く里の匂いもそうさせたのだろう。


北見からですか?

車のナンバーを見て声を掛けて来た少し年上と思しき男性。
これから川口の温泉に入りに行くと言う彼は函館出身とのことだった。
仕事で全国を渡り歩き、今の現場が終わると今度は新潟なんだと笑う。


帰れるのは年末年始だけだね。

二人の子供が待つという我が家は遠く、
今から楽しみにしてんだと沁々答える表情は、家族への深い想いが滲み出ていた。


ひなびた駅に川口行きの列車がやって来る。


新潟にはどれくらい?

しばらくいるんでないかな、とホームに立つ。
それじゃ…と律儀に礼をされ、彼を乗せた列車が発って行く。


どうか、お元気で…。

黄昏時の揺れるススキに見送られ、赤いテールランプが遠ざかる。
秋深まる奥会津の谷には、故郷に寄せる想いよ届けと切なげに列車の音色が響いていた。




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  1. 2018/11/23(金) 17:40:49|
  2. 只見線
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魔法

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石北本線 緋牛内~端野    2017年11月撮影


本日、平野部でも雪が降り薄らと化粧した。
北国の長い冬の始まりだ。
ただ、昨年と違って今日は穏やかな分まだ楽に感じられる。

昨年は、未明から降った雪を一斉に融かすとピタリと雨が止んだまでは良かったが
吹き付ける風は「北風と太陽」を思わせ、上着の襟を立てて身を縮め込ませる厄介なものだった。
そんな邪魔者が用意していたのはそれとはちょっと違った世界だったようだ。

鮮やかな緑や彩られた葉が落ち、みすぼらしい衣に着替えた景色…。
舞踏会に行けないと哀しむシンデレラを手助けする魔法使いのように
風は枝から落ちる滴を見る見る内に凍らせて、可愛らしい氷の衣装を着させた。
強く吹く風に揺れてはキラリとさせて舞い、たが、踊る夢の時間は長く続くことはない。

列車が何食わぬ顔をして走り去る。
風がかけた魔法を解く呪文は12時ではなく実はそれだったように、直後から滴がポタポタと落ち出した。
余りの出来すぎにそれこそ魔法をかけられたような思いだ。

再びみすぼらしい姿に戻った景色に純白のドレスを用意して
冬という王子が迎えに来るまでそれほど日数もかかることはないだろう。
ただし、僕にとって冬は寒さという悪魔だが…。




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  1. 2018/11/21(水) 15:01:32|
  2. 石北本線
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職人

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石北本線 北見    2017年11月撮影


操車係が犬走りに設置されたテレスピを踏む。

信号所 「はい、信号」
操車係 「3727列車、下り本線から引上線」
信号所 「3727列車、下り本線から引上線、承知」

そんなやり取りが聞こえた貨物駅構内。
列車を牽いてきた機関車はとっくに切り離され、代わりに入換機関車が列車最後部に連結される。
操車係の誘導で引上線に着いた列車は、そこから行き先別に細かく分けられる。

再びテレスピを踏む。
「はい、信号」
「引上線よりトーフタ番」
「トーフタ番、承知」

操車係が信号場に伝えると12番線へと転轍機が切り替えられ進路が開通する。
鉄道や航空、自衛隊など機関によって言い方はあるだろうが
大概聞き間違い等を防ぐ意味で「1」を「ヒト」、「2」を「フタ」などと言っているようだ。

操車係が緑のフライキを勢いよく振ると、列車後部の機関車が急加速で押す。
頃合いを見計らって「切り屋」と呼ばれる連結係が解放テコを持ち上げ、操車係は赤のフライキをサッと出した。
列車は急制動し、切り離された貨車が惰性で転がっていく。
所謂、突放というやつである。
転がっていった貨車には切り屋とは別の連結係が車輌脇のステップにぶら下がり
足踏み式やハンドル式のブレーキを操作しながら次に待ち構えている連結係に渡す。
渡すといっても惰性で走っている貨車を止めてしまうわけにはいかないから、係員は飛び降り飛び乗りをしていく。
受け渡す方も受け取る側も、手信号を交えつつ「トーフタ!!」と大声で復唱しながらの作業だ。

4番線、8番線、5番線、10番線…
まるで嫌がらせのように広角に次々と突放されてくる貨車群。
連結係は一面バラストの構内を全速力で駆け回り、各自持ち回りをテキパキとこなしていく。
その鮮やかな一連の動き…。
高島で、新興で、ハンプのあった新鶴見操車場でも
そんな光景を「かっこいいなぁ…」と憧れの眼差しで眺めていた少年時代。

今は、突放は危険とのことで禁止されてる所が多いと聞く。
遅いとはいえ何トンもある貨車が数輌繋がって走っているところに飛び乗り降りをするわけだから
転落などしようものなら車輌に巻き込まれ胴体は真っ二つである。
北見駅でもコンテナ列車の入換・組成作業が行われていたが、
ここも突放ではなく、別の機関車が連結された「押し込み」であった。

安全第一であるから今の姿が当たり前と頭で理解はしても、あの頃の職人技が見れなくなったのは
少し残念というか寂しいような、複雑な気持ちで作業を見ていた。




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  1. 2018/11/19(月) 14:33:06|
  2. 石北本線
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落日の舞

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石北本線 緋牛内~端野


立冬が過ぎた陽射しは日に日に低く、枯れ草を揺らす風の冷たさは雪がないだけで十分冬のそれである。

14時55分発羽田行きのJAL便が金の光点となって飛び立つ頃、一日のクライマックスが早くもやって来た。

透き通った斜光線は辺り一帯を鮮やかに染め、山に陽が沈むまであと僅かの時…。

強いコントラストに照らされ舞台は整った。
附け打ちの如く踏切が鳴る。
次第に近付く列車の響きに合わせて胸の鼓動が早くなる。

瞬間…


軽快に現れた主役は車体をキラリと煌めかせ、見事な舞を披露してくれた。




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  1. 2018/11/18(日) 16:14:31|
  2. 石北本線
  3. | コメント:0

情熱

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秩父鉄道 浦山口~影森    2014年8月撮影


「安全は輸送業務の最大の使命である」

国鉄の五つある安全綱領の第一に掲げられた文言である。
それは国鉄からJRに移ろうと、地方の中小私鉄だろうと輸送業務に携わる者たちにとって変わることはない。

汽車は深い谷を助走する。
脚を軋ませ難所に挑む姿はファンにとっては堪らない見せ場だが
ハンドルを握る機関車乗務員にとっては真剣勝負そのものだ。
見通しの利かない急カーブをキャブから身を乗り出し前方を注視する。
鉄道屋としての安全輸送に傾ける姿勢は、釜の熱気以上の熱さを思わされたワンシーンだった。




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  1. 2018/11/17(土) 11:20:53|
  2. 秩父鉄道
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木造駅舎とC11

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2001年7月 旧北海道ちほく高原鉄道 ふるさと銀河線 高島駅


ふるさと銀河線に残っていた木造駅舎はどのくらいあったのだろう。
乗降場のような板張りのホームだけの駅はそこそこ残っていたと思うが
駅舎のある駅は大体がおよそ風土に似合わない駅舎に順次改築されていき
川上駅と高島駅は最後まで木造駅舎だったと記憶している。
中でも高島駅は交換設備もあり、国鉄時代の、北海道のローカル線でよく見かけたような駅舎で
腕木式信号機の名残であるテコも残る、とても味わい深いものだった。

銀河線に蒸機が走った2001年。
走る姿は見れても、木造駅舎と蒸気機関車なんてこの先見ることはないかもしれない。
大井川鐡道ならともかく、少なくとも北海道においての可能性は限りなくゼロに近い…
そんな危機感を覚えて高島駅を訪れた。

恐らく30キロないし37キロレール辺りと思われる薄っぺらな鉄路を軋ませ駅に着いた蒸機列車。
二輌の旧型客車をバック運転で牽くC11は、ヘッドマークがなければまるで晩年の日中線を見ているようでもある。
C50の流れを酌むC10をさらに改良し量産されたC11は大好きな形式のひとつであることもあり
木造駅舎との取り合わせはそれはもう痺れに痺れまくった。
これがご本家キューロクやC58であったなら、興奮極まって火室に飛び込み動力の一部となりそうな勢いだった。

一方で写真の方は興奮した割にはパッとしたものは残せず、
少ない引き出しが今以上になかったことと、乏しいセンスに見事な空振りをしたという訳だ。

沿線の賑わいとは打って変わり、現在だったらもっと大騒ぎになったであろう木造駅舎では
さほど混雑しなかったという絶好の機会を逃し、期待された再運行どころか路線自体が廃止され
JR北海道の置かれた現状からも始めに危惧した通りのものになってしまった。




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  1. 2018/11/16(金) 00:11:24|
  2. 廃線・保存機
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帰りたくない病

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2016年11月 山口線 山口駅    


長いこと旅行に行っとるでしょ。そうすると家が新鮮な場所に思えて一番いいって思うんよ。

三河地方にいる姉のように慕っていた従伯母に言われたことがある。
学生から社会人になっても、とにかく休みになるとほとんど家にいない。
ある時フラッと予告も計画もなしに列車で、バイクで、知らない土地へ、いい景色を求めて出てしまう。
今思うと、その言葉はあまり親に心配かけるなという意味もあってのものだったのかもしれない。


SLやまぐち号の撮影旅行と僅かながら山陰の旅を今、終えようとする朝の山口駅。
家に着くまでが道中であるが

これに乗ったらもう何もかもがおしまいだ!

と切羽詰まったような、言いようのない重い空気がのし掛かる。

帰りたくない…
このままズラかっちまおうか…

多少の程度はあれ、そう思う人はいると思う。
途中で事が進まずつまらない思いをしようが、トラブルに見舞われ半泣き状態になろうが変わらない。
今でこそ出歩く回数は減ったがその欲求は衰えず、そして帰りたくない病は相変わらず発病する。
従って未だに家が一番いいと思ったことがない。


ホームに響くエンジン音。
その音は、これから山陰の、日本的な美しい景色へと響いていくはずだ。
地元の人が見る車窓と帰る者が見る車窓、同じ車窓でも全く違うものだろう。
後者の車窓ではなく、僕は前者の車窓を見たいのだ。
となると、もうそこに住むしかないのだがあまりにも非現実的だ。
どうやら家が一番いいと思うこともなく、帰りたくない病は一生悩まされ続ける病であるようだ。




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  1. 2018/11/15(木) 00:12:14|
  2. 駅・設備
  3. | コメント:0

暖色に憩う

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石北本線 端野~緋牛内


この時期になっても道内の観測地点で初雪を観測していないのは132年ぶりの遅さなのだそうだ。
雪は遅ければ遅いほどいい。
雪道の車の運転は嫌なものだし、そもそも関東育ちの身には11月はまだ秋であると擦り込まれている。
それに冬枯れた景色もなかなか乙なもので雪景色とはまた違った良さもある。

冬=雪というイメージのある北海道で冬枯れの景色が見れるのは、雪が積もるまでの僅かな期間しかない。
雪景色は好きだが、雪のない所で育った者にはせめて年が明けるまではこのままでいてもらいたい。
空っ風にカサカサと揺れる寒々しく寂しげな景色と対照的に世間様は忙しく、
年末の、いよいよ年も迫ったいう頃、炬燵でお茶をズズッとやりながら「あぁ、いよいよ今年も終わりだねぇ」と染々しながら過ごす時間には
冷たくも美しい雪景色は僕の中ではないものだからなのだろう。


初冬と呼ぶにはまだ早い気もするが、次第にいい感じの冬枯れた景色になってきた。
時折ゆるりと吹く風は冷たく、暖かい…というぼとではないにしろ、柔らかい日差しは小春日和を思わせる暖色系に染め上げる。
季節をなぞる列車の音が、有無を言わさずほど穏やかで平和であった。




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  1. 2018/11/14(水) 10:55:14|
  2. 石北本線
  3. | コメント:0

鉄路、遥か



釧網本線 止別~知床斜里


北見市内に風景写真を撮られる年配の方がいらっしゃる。
大きなコンテストで入賞常連の実力者でもあり、いつだか地方版に載っていた。
その方が仰るには、いい写真を撮るためには機材より機会だという。
僕なんかがエラそうに言える立場ではないが、それだけではいい写真は撮れないにしてもごもっともな意見だと思う。


数年前からCanonのAPS-C機を使って写真に凝り出した友人が、このほど念願の白レンズ(EF70-300)を購入した。
さすがにⅡは手が出なかった…と本人は言うが、僕はそれでいいと思う。
最新の機材で少しでもきれいに撮りたい…と思うのは誰でも抱く人情だとしても
それぞれの家庭事情があれば、そこまで必要と思わない人もいる。
写真だけが趣味じゃない人もいるわけで、彼も多趣味で養う家族もいるから全てを機材に回す余裕はないだろう。

僕にしたって恥ずかしながらお世辞にも高収入という身分でないながら、
その中でバイク2台を持ち、維持費や走りに行くための資金が要り
細々と模型の趣味もやり繰りしながらだから機材にばかり金を掛けていられない。
それに、高くていいものを揃えたにしても、性能を活かす技術や写真の目を養うことも必要だろうし
そもそも撮影に行く資金がなければ本末転倒だと思うのだ。
だからⅡのレンズに手が出なかったっていいじゃないか。
それよりも、よくも高いレンズを買いやがったなぁと冷やかしながら、購入に喜ぶ彼と分かち合いたい。

せっかく300mmもあるんだからそれを活かそうじゃないか…そんな話から出た撮影行。
その代わり鉄だぞ!と念を押し、頭に浮かんだのが止別ストレートだった。
その割りには何だか平凡で撮り方が分からない。
雪があればもっとテンションも上がるのだろうがどうもパッとせず…
オホーツク海も知床連山も無視、遥か先まで真っ直ぐ貫く線路だけに的を絞って半ば焼けっぱちである。
こんなことならわさわざここまで来ることもなかったろうにと、経験値の無さ、引き出しの無さを痛感した次第だ。

機材より機会、機材より目、機材の性能より自身の性能を上げることが先決…
そう思いながらいたずらに年月だけが経っていく始末である。




テーマ:写真日記 - ジャンル:日記

  1. 2018/11/12(月) 19:13:40|
  2. 釧網本線
  3. | コメント:0
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Author:u403tsugaru
当ブログは写真ブログではなく、あくまでも日記の立ち位置のつもりでいます。写真は落書き代わりのいい加減なものですので、予めご了承下さい(´▽`;)ゞ

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