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笛の音響けば

汽車の音色は旅へと誘う道標

まだ居てくれよ

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石北本線 緋牛内


もう7~8年くらい経つだろうか。
仕事の都合で川崎に戻り、そこから埼玉県の東浦和へ通ったことがある。
結果的にたった2年半ほどだったが、それはとても長く感じられた。
北海道を発つ前夜の寂しさ、目覚めた朝の悲しさは表現のしようがない。
いつも当たり前のように見ていた景色が見れなくなる。
丘の畑も、野に咲く花も、庭に普通に出てくるキタキツネやキツツキでさえ遠い存在になってしまう。
ウグイスやカッコウ、ヨタカにトラツグミ、野良仕事や眠りのBGMとして聞こえた鳴き声も…。

当時は今よりもまだ元気があった北の鉄路では、新型車を開発して旧型のキハ40を置き換える話も聞かれていた。

どうか帰って来るまで残っていてくれ…

願いが通じたのか彼らは走っていてくれた。


そして今再び…
あの時の切なさが津波のように押し寄せる。
先のダイヤ改正で遂に登場した新型車輌が函館本線に配置され、置き換えられたキハ150が石北本線北見方にも進出した。
順次置き換えられてしまうのか、それよりも線路がなくなってしまうのか、不安ばかりが募る。

慣れ親しんだ列車が、黄昏る緋牛内を発って行く。
一先ずお別れだ。
どうか、元気で走っていてくれよ。
いつか必ず帰って来るその日まで…。




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  1. 2020/03/31(火) 13:50:52|
  2. 石北本線
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いつものこと



石北本線 緋牛内


夕日が差し込む小さな駅の待合室。
眩しさの中を列車がいつものようにやって来た。

人は何かに慣れてしまうと刺激が欲しくなるけれど
特別なことなんていらないんだ。
繰り返される何気ない時間を過ごせてることの尊さを
染み染みと思わせてくれた北国の田舎路線。
そして、今日もその一日が暮れていく…。




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  1. 2020/03/25(水) 18:39:47|
  2. 石北本線
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一粒に思い込め

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石北本線 端野~緋牛内


凍れた白い大地が緩み始める。
短い夏に備え少しでも早く畠に入れるよう、融雪材によって描かれた模様が並ぶ。
まだ冬の一面を覗かすが、ようやく北国に春の訪れを感じさせる景色を列車は往く。

久し振りに露出した土から蒔かれた種が芽を出し、夏に苗は育ち青々とする。
色付く秋に収穫をして、長い冬をじっと耐え春を待つ。
しかし、年を通して繰り返される暮らしの営み、季節の移ろい、それをこの地で見ることは叶わない。

都会暮らしが性に合わず、すがる思いで北国に逃げ込んだ。
集落総出の歓迎、どこも余所者を快く受け入れてくれた。
知り合いが増え、助けられ、楽しいこと、悲しいこと、腹の立つこと、傷付け傷付き、後悔もし、様々な出来事という季節があった。
恐れ多くも吉田松陰の四時ノ循環の言葉を借りれば、なんだ、人にも同じように四季があるじゃないか…。

北海道に住んで二十年、四季は備わり花は咲き、実をつけているだろう。
いつしか再びこの地で暮らすことが出来たなら、我が実は空ではなかったということに他ならない。
どうか一粒の籾として、次の春の種となれますよう。




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  1. 2020/03/17(火) 18:04:43|
  2. 石北本線
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行先

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石北本線 緋牛内~端野


3月も半ば、各地から早くも桜の便りが届く頃、北国はまだ雪の中。
暖冬、雪がないといわれたこの冬であったが、結局はいつも通りの積雪となった。

季節は巡る。
雪解けの水、ぬかるんだ道…
朝は氷点下10℃以下の日があっても明らかに強さを増した日差しに、あぁ、春に向かっているのだと知る。
普段何気に眺めている景色においても変化が伺われ、見れば可愛らしいネコヤナギが膨らんでいた。
今の季節は色もなく、どちらかというと汚い景色であるけれど
冬毛から夏毛へと変わる野性動物たちのように、豊かな緑に覆われるためのプロローグなのだ。
ネコヤナギはその第一陣といったところだろう。
その後、フキノトウ、福寿草へと続き、やがて様々な花に彩られ溢れんばかりの緑となる。

だが、そんな北国の移ろいを見ることは暫く出来そうにない。




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  1. 2020/03/16(月) 20:34:24|
  2. 石北本線
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来年会おう

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釧網本線 細岡~釧路湿原


列車が去る…その後ろ姿は電車であれ、気動車であれ旅情的であるが
蒸気機関車が牽く列車ほど郷愁に満ちたものはない。
客車が旧型客車であるなら更に良しだが、それでも他の列車と比べればはるかに郷愁感に溢れている。
遠ざかるドラフト、客車のリズム、テールライト…
残していった煙は去っていった者を慈しむ最後の温もりだ。
やがてその煙も薄らいで、手の平から零れる砂のように消えていく。
行かないでくれとの願いはさようならの笛の音となって遠く原野に響いた。

湿原のC11よ、また会おう。
来年の、白く凍てついた鉄路の脇で僕は待っている。





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  1. 2020/03/11(水) 00:36:36|
  2. 釧網本線
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大人になんか



釧網本線 釧路湿原~細岡


汽笛一声…よく晴れ渡った湿原に轟いた瞬間、周囲の話し声がピタリと止んだ。
現場に流れる張り詰めた空気…
そこへゆっくりと、煙突を吹っ飛ばしそうな歯切れのいいドラフトがカーブの向こうからやって来た。
一斉に切られているはずのシャッター音すら聞こえないほど夢中になって彼を追う。
背中から脳天にかけて走る電気、震える身体、上がる心拍数、干上がる喉…
鍛えられていない我が身は子供の頃から進歩なし。

でも敢えて言う。
「大人になんかなりたくない」
プロならいざ知らず、対峙して冷静さを失うほどときめく心情をいつまでも持っていたい。
少なくとも君たちに対しては…。




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  1. 2020/03/07(土) 09:45:30|
  2. 釧網本線
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当ブログは写真ブログではなく、あくまでも日記の立ち位置のつもりでいます。写真は落書き代わりのいい加減なものですので、予めご了承下さい(´▽`;)ゞ

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