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笛の音響けば

汽車の音色は旅へと誘う道標

嗚呼、2号機

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信越本線 牟礼    1971年8月 父撮影


デゴイチ、デコイチ、ディーゴジュウイチ・・・
僕が子供の頃、周囲ではデコイチと呼ぶ方が多かったように思う。
シロクニ(C62)やシゴナナ(C57)など形式名からいえばデゴイチなのだろうが
昔の人は親しみを込めて人になぞり、D51は凸マル(D50)の続きで凸イチの愛称になったとかいう説もあり。
どっちでもいいっちゃいいのだが拘る方もいるところが鉄心理といったやつだろう。
愛称はともかく、D51は僕にとっては特別な存在であることに変わりない。
それは人によってはC11であったり、或いは新幹線であるかもしれない。
ただ僕にとっては生まれた時からすぐ傍にD51がいて、D51の汽笛で育ち、圧倒的に触れたのがD51だった。

いつも見慣れていたD51は所謂量産型、標準型ともいわれるタイプだった。
給水温め器が煙突の前にデンと構え、後は煙突に集煙装置が被っているか、時に戦時型のカマボコドームがいるか、
といった感じでそう大きな差はない。

昭和46年の夏休み、信越本線に運転されたイベント列車「ファミリーD51号」
旧型客車5輛編成の最後部から、カーブを先頭で風切るD51は僕の知ってるデゴイチではなかった。
ボイラーの上にはヌメッとした異様なドーム、煙突前にあるはずの給水温め器がない。

あれはデゴイチじゃない!
と疑った。

長時間停車する牟礼駅で機関車を見に行くと、ナンバープレートには間違いなくD51となっている。
それも総数1115輛もあるD51の№2、2号機ときやがった。
なんだこれ、こんなデゴイチがあったのかとまるで異形式を思わせる姿に仰天させられた。

後からD51の1~85、91~100号機までは半流型、それがD51の原型なのだと知るも
この時僕の知るデゴイチとの違いに戸惑いを覚えながら、貨物用機関車のくせに何て優美なのかと少年心に思ったものだった。
C59やC62ばりの角に丸みを持たせた煙室、煙突から蒸気溜めにかけて給水温め器と砂箱も一体化した滑らかなドーム・・・。
米軍機グラマンF4FワイルドキャットやF6Fヘルキャットなどのぶつ切りにしたような機体と比べると
零戦のエンジンカウリングからキャノピー、主翼、機体尾部に至るまで一連の流れるようなシルエットは
大量生産に適した合理的な米国人らしさと対照的に如何にも手先の器用な日本人らしさが表れているが
D51の初期型にも同じようなことが言え、何と細やかで凝った仕上げだろう。
今の復活蒸機とはまた違う、油でよく磨かれ煤が擦り込まれたような美しさと重厚感も惚れ込むのに一役買い
夏休みの絵日記と、その年の図工の絵はD512ばかりとなった。
結局D51の半流型を見たのはこれが最初で最後となり、長野式集煙装置を付けたD51が標準型だった僕の中で
この2号機だけは今も異彩を放っている。

彼は引退後も解体されず大阪の交通科学博物館に保存され、いつか再会を目論んでいたところ
当館閉館にあたり岡山の旧津山区扇形機関庫であった「津山まなびの鉄道館」へと道程は遠くなってしまった。
それでもこちらが生きてる間に何とかして会いに行きたいと思っている。
互いの場所からして、恐らくそれが2号機との今生の別れとなるだろうけれど是非叶えたい。




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  1. 2020/06/29(月) 23:46:34|
  2. 雑記
  3. | コメント:4

夏の花

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秩父鉄道 浦山口~武州中川    2015年6月撮影


コケコッコ花とも呼ばれている立葵。
梅雨の始まる頃になると茎の下から咲き、上の花が咲くと梅雨が終わるという。

同じ終わりでもオホーツク地方の場合はこれが咲くと夏が終わる少し寂しい花だ。
こっちじゃ無いだろうと思い込んでいた立葵が近所の庭に咲いていて
嬉しかったのも束の間、途端に秋めいて拍子抜けしたものだ。


既に太陽がギラギラと照りつける6月後半の秩父路。
陽炎歪む鉄路にやって来たシゴハチを向こうに見て、すっくと背筋を伸ばし咲く立葵は暦通り上の方に花を付け始めていた。
川崎育ちの身からすれば、秋を報せるよりも夏を報せる花であって欲しい。




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  1. 2020/06/23(火) 02:12:24|
  2. 秩父鉄道
  3. | コメント:10

仕事人

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石北本線 網走    2016年6月撮影


現役蒸機世代から赤鬼と鬼畜呼ばわりされたディーゼル機関車DE10。
構内入れ替えは言うに及ばず、小運転、時には本線を旅客・貨物列車の先頭に立ち
鉄道華やかりし晩年を縦横無尽に走り抜けた。
同系のDE15に至ればラッセルの鎧を身に纏い北の鉄路を守った陰の功労者。
その機関車が久しぶりに工臨を従えオホーツクの終着駅網走へと入る。

作業は一見のんびりした昼行灯に見えるかもしれないが、一度かんざしを回せば三味線の糸が飛ぶかの如く
操車係の巧みな手旗誘導に機関士は自在に手綱を操り、カマはそれに応え見事な連携を見せる。

彼らは鉄路の必殺仕事人。
花形の旅客列車の陰で今日もどこかで人知れず、必ず支えてご覧にいれやす。




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  1. 2020/06/11(木) 11:41:21|
  2. 石北本線
  3. | コメント:0

紅く燃え咲く

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釧網本線 知床斜里~止別    2015年6月撮影


遙かオホーツクの海を望む浜辺にハマナスが紅く燃え咲く。
航る風は冷たく打ち拉がれようと
沈む夕日に尚紅く、砂の丘で命を燃やす・・・
美しくもどこか儚さを感じさせる最果ての旅路に、汽車が往く。



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斜里郡斜里町大栄




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  1. 2020/06/03(水) 05:29:09|
  2. 釧網本線
  3. | コメント:0

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当ブログは写真ブログではなく、あくまでも日記の立ち位置のつもりでいます。写真は落書き代わりのいい加減なものですので、予めご了承下さい(´▽`;)ゞ

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