笛の音響けば

汽車の音色は旅へと誘う道標

列車を見に行く



石北本線 端野~緋牛内


僕が幼い頃、実家近くには新鶴見操車場があった。
広大な敷地には黒い貨物列車が所狭しと並んでいて、D51や電気機関車が頻繁に走っており、両親や祖父母に連れられよく見に行ったものだった。

幼稚園に入ってから、我が家に初の自家用車スバル360がやって来ると、
それまで遠くて行けなかった構内全長約5キロにも及ぶ操車場の端まで行ってくれるようになり、
D51が引退してからも変わらずに連れて行ってくれた。

途中、何ヵ所かで入換えやハンプでの押し込みを見て
次は南武線が東海道本線と合流する川崎駅近くの踏切に行く…というのがお決まりのコースになった。
次々とやって来るスカイブルーの京浜東北線、
オレンジと緑は東海地方のみかんをイメージしたものだと教えられた東海道線、
元は品鶴線と呼ばれる貨物線だった湘南新宿ラインを走る横須賀線も当時は川崎駅経由だった。
他にもEF58が牽く荷物列車や、特急あまぎ、急行東海が来るなど実に多彩で、普通列車においても
「あっ、これは静岡行だ」「浜松行だ」と遠い地へ向かう列車に興奮していた。
モーター音を唸らせやって来るそれら長編成の列車に南武線など目もくれず、よくも飽きずにいつまでも眺めていたものだと思う。

中学生くらいになると夕方の列車を見に行こうと親父はよく誘ってくれた。
ハイライトはなんといっても寝台列車だ。
「さくら」に始まり、「はやぶさ」「みずほ」「富士」へと続く。
今のようなスーパーなんたらとかソニック○○とか訳のわからん列車名ではなく、
どれもみな夜行寝台らしい美しい列車名で、中でも特にお気に入りだったのは「瀬戸」だった。

夏、草虫が鳴く薄明の時、ブルーの列車から零れる光が軽快な音をたてて星となって流れれば
列車後部の瀬戸内の海と島々をデザインされた濃紺色のトレインマークが赤い尾灯と共に南へ旅立って往く…。
そんな「瀬戸」の後ろ姿がなんとも旅情的で、まだ見知らぬ土地への強い憧れと旅へのロマンを掻き立てられたものだった。

列車をひたすら眺めているだけで目を輝かせていた少年時代。
今では一丁前にカメラを持って写真なんて撮っているが、
僕の根底にあるのは「撮影」ではなく、「列車を見に行く」ということに変わりない。


さて、明日も列車を見に行こうか…。




テーマ:写真日記 - ジャンル:日記

  1. 2017/04/03(月) 23:58:41|
  2. 石北本線
  3. | コメント:2
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コメント

そうでしたか

新鶴見機関区の近くで暮らしておられましたか。いつも身の回りに鉄道の響きがあると、子守唄代わりになりますね。
本日のお写真もいいですね。
ところで貴ブログとリンクさせて頂いてもよろしいでしょうか?
  1. 2017/04/04(火) 11:03:43 |
  2. URL |
  3. マイオ #pcU4xDNY
  4. [ 編集 ]

マイオさん、コメントありがとうございます。

はい(笑) 新鶴見機関区から品川寄りになり、D51の汽笛や貨物列車の奏でる音で育ちました。
扇形庫はありませんでしたが、大機関区らしく大型の給炭設備があり、他区のも含めればいつもたくさんの機関車がおりました。

貨物列車も様々で、黒い二軸貨車の列にレムなどの白い貨車が映え(そういえばワム80000にも冷凍車がありましたっけ(笑))、ジョイント音もリズムが不規則で、まさに見て楽し、聞いて楽しの時代でしたよね。
機関車の汽笛や列車の音はほんとに子守唄がわりでした。

こんなブログにリンクして頂けるなど嬉しい限りです。
私の方こそリンクさせて頂いても構わないでしょうか。
どうぞよろしくお願い致します。

  1. 2017/04/04(火) 20:59:17 |
  2. URL |
  3. u403tsugaru #-
  4. [ 編集 ]

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Author:u403tsugaru
下手な鉄道写真を撮っておりますが、沿線風景や旅先での一コマなども載せていこうと思います。
見て下さった方の一人でも郷愁感や旅への思いをお持ち下されば嬉しく思います。

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