笛の音響けば

汽車の音色は旅へと誘う道標

山陰恋やつれ

PB211357-10fc.jpg

山陰本線 飯井~三見    2016年11月撮影


朝、目が覚める。
耳の元で波の音がパシャパシャパシャパシャ…。
一面目に染みるような青い海、これが日本海てすよ。なあ社長。

パアァー!っと一面目に染みるような青い海、新鮮な空気を胸いっぱいスーーッと吸った時、下から女中さんの声が聞こえる。
番頭さん、朝ご飯ですよ。
「あいよ、すぐ行くよ」そう答えておいてポンポンポンと布団をたたむ。
トントントーンと階段を下りて、ガラッと湯殿の戸を開けてザブーンと朝風呂に入る。

生きていたイカの刺身、ね!こんなどんぶり山盛りだ。
生姜をパラッとかけて、醤油をツルツルっとたらし、一気にパアァーッと食っちまう。
あとはアジのたたきに新鮮な卵。
これで朝ご飯をたっぷり頂いて、さあ仕事ですよ、ね!

(1974年「男はつらいよ 第13作寅次郎恋やつれ」より)


テンポのよい寅さんの口上。
この作品に限ったことではないが、僕はこの寅さんの、まるでその光景が目に映るような口上が大好きだ。

普段は落ち着いた静かな町も朝を迎えてちょっと忙しい。
包丁がまな板を叩く音、鍋釜の蓋を開け閉めする音、味噌汁の匂い、表の道すがら隣近所の挨拶の声…。
そこには語られていない町並みや人の暮らしまで感じとれ、空気の匂いまでしてくるようだ。

今回、この舞台となった温泉津には寄れなかったが、それでも沿線はこんな寅さんの口上が似合う風景が点在する。
晴れていればここもきっと目に染みるような青さであろう海と山に寄り添う村。
裾を辿るように線路はあり、玄関口として石州瓦も美しい村を見渡す高台に駅がある。
こんな所に昔はD51なんて大型機関車が走っていたなんてにわかに信じられないが、
変化に富んだ日本的な風景からは蒸気機関車と共にあった懐かしい匂いが今もする居心地のいい場所だった。

またいつかここを訪れてみたい…
そして今度こそ、
パアァー!っと一面目に染みるような青い海…

を求めて、寅さんのようにふらりと旅をしてみよう…。




テーマ:写真日記 - ジャンル:日記

  1. 2017/04/18(火) 14:35:57|
  2. 山陰本線
  3. | コメント:4
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コメント

海と山の間にわずかに広がる平野に田んぼと赤い屋根瓦の家々。
北海道に生まれ育った私には、瓦の屋根は海を渡った先にある外国のようなもの(津軽海峡を渡った先)。
石州瓦とは赤い瓦なんですね。
車窓から見る赤い屋根瓦の移りゆく様もおもむきがあっていいでしょうね。
今年は勤務先の人手不足で長期の休みを取って旅行には行けそうも無いが、瓦屋根の景色を見に来年は海を渡って旅行しようと思う。
  1. 2017/04/18(火) 20:29:15 |
  2. URL |
  3. ishida #-
  4. [ 編集 ]

ishidaさん、コメントありがとうございます。

まず、このようなブログから旅行したいと思って頂けたことに嬉しく思います。
鉄ブログではありますが、これでも一応見て下さった方が少しでも「旅」を意識してもらえたら…との思いで行っています。
ですので、そのように感じて頂けたことはまさに冥利に尽きます。

石見地方(というより山陰といった方がいいかもしれませんが…)を旅するとよく目に付くのが赤瓦の家並みです。
コバルトブルーの海と北海道とはまた違った趣きの青い空・・・、そこにこの赤瓦は本当によく映え、旅する者に深い感動を与えてくれます。
私もあまり詳しくは知りませんが、以前地元の方とお話ししたところ、石州瓦とは黒系の瓦もあるとのことで旧大社駅の黒瓦も石州瓦なのだそうです。
赤系の瓦は凍てに強く、冬の寒さが厳しい日本海側では赤瓦が多いようです。
もちろん日本海側にも黒瓦の家もあるので一概には言えませんが、いずれにしても北海道の文化とは違い、その地方地方での良さというものがありますよね。
そこが旅の面白さのひとつでもあり、鉄道車輛ばかり追っていては旅とは言えなくような気がして、少しでも興味を持とうと思っています。

勤務先の人手不足とのことですが、いずれ機会を作って訪ねてはいかがでしょう。
とてもお勧めですよ(笑)
  1. 2017/04/19(水) 20:18:06 |
  2. URL |
  3. u403tsugaru #-
  4. [ 編集 ]

山陰は深いです

山陰ははまり込むと深いです。
先月、山口線ついでに43年振りに訪問。
津和野と萩が予想外に近いことを実感
しました。
お写真は三見駅界隈ですね。玉江・三見・飯井はそんなに変わっていないですね。
なんとか時間をひねり出して、かつて訪問
したあの場所この場所を探し出したいのと、
木与・奈古のように初訪問の地も行ってみたいものです。
  1. 2017/04/20(木) 11:08:25 |
  2. URL |
  3. マイオ #pcU4xDNY
  4. [ 編集 ]

マイオさん、コメントありがとうございます。

山陰は深い…、改めて昨年訪問したことを思い浮かべると仰る通りだと思いました。
私の乏しい記憶では、益田?以西はC57などの旅客機は走ってないと思いますが、あれだけ曲線が続き、尚且つ当時の列車速度を考えると高速機をわざわざ投入せずとも貨物機で十分だったのかな…と思いました。
意外に山深く、かと思えば海沿いに出て、風光明媚な路線は鉄道撮影だけでなく旅をするにも飽きることのない風景に心惹かれます。

マイオさんの過去記事も拝見しておりますが、当時とあまり変わっていない印象は持ちました。
私の拙い写真から当時を思い出されたのだとしたら大変光栄に思います。
私もまた、ぜひとも山陰の旅に訪れたい…そう考えています。
  1. 2017/04/20(木) 12:41:32 |
  2. URL |
  3. u403tsugaru #-
  4. [ 編集 ]

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下手な鉄道写真を撮っておりますが、沿線風景や旅先での一コマなども載せていこうと思います。
見て下さった方の一人でも郷愁感や旅への思いをお持ち下されば嬉しく思います。

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