笛の音響けば

汽車の音色は旅へと誘う道標

幾重の山を越えて

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端野町北登地区


空調が完備されて窓も開かない車輛…
その土地が香る風を肌で感じれない列車はつまらない。
惜しまれつつ廃止されたブルートレインなど独特の雰囲気を持った夜行列車はともかく
国鉄型であれ最新の車輛であれ、そういう列車での旅は僕の場合単なる移動でしかない。
時代の流れとはいえ、長距離鈍行や普通急行もなくなってしまった今、鉄道での旅は滅多にしなくなってしまった。

代わり…というものではないが、バイクでの旅が僕の主流になってかなり経つ。
車好きの方には申し訳ないが四輪ではだめだ。
ある程度身の安全も確保され、荷物も大量に運べて、便利で運転自体は好きであるけれども
あの箱に囲まれ、雨に濡れることもなく暑くも寒くもなく、風の匂いを肌で感じることは出来ず、同じ箱でも列車の車輌とも意味がまるで違う。
バイクには体剥き出しの、一歩間違えばコケて痛い思いをし下手をすれば死んでしまう緊張感の上に存在する風がある。
僕にはそれが心地いい。

若い頃は2スト250ccからナナハン、リッターなどのオンロードにも乗り、オフロードの世界を知ってからもしばらく並行して続いていた。
夜は横浜や川崎の埠頭や工場地帯を、湘南や三浦海岸、時には首都高をぶっ飛ばしに繰り出した。
褒められたものではないが、傍から見れば峠族と同じように山道を攻めステップなど擦るのは普通だった。
しかし、オンでどんなにぶっ飛ばしてもすぐに車に追い付いてしまう。
せっかく遠くに行っても砂利道すら入れない。
この先の景色はどうなっているのだろうと思っても選択肢に入らないことから次第にオフ一本になっていった。

メキシコ・バハカリフォルニア半島で行われるデザートレース。
4年に一度、その半島を縦断するBAJA1000という昼夜ぶっ通しで1000マイル走るレースがある。
実家の隣りもバイクキチガイで、脂に乗りきっている頃バハに行こうぜと誘われた。
ライダー3人で乗り継ぎ、サポート隊を含めれば6~7人のチームになる。
休暇は半月ほどということでそんなに取れないと断念したが、チームは見事に完走し
その後、パリダカにもお誘いを受けたが資金的にも体力・技術的にも衰えたので断った。
しかし声をかけてくれた時が花、行きたいと思った時、やろうと思った時がその時だと、今にして思えば無理しても行くべきだったと思う。

ただ僕の場合、レースという人と競い合うより一人で旅に出ることの方が性に合っているようだ。
高速道路は基本的に乗らない。
ナビなんてもっての外だ。
道は間違えてこそ意味があり、旅の面白さがある。
地元ならではの美味いものなどいらない。その辺のいつのだか分からないアンパンで十分だ。
そんなものより風を感じたい、匂いを感じたい。
夏は汗でベタベタになり埃にまみれ、冬は寒い。
猪に襲われ、蛇を踏み、熊に鉢合い、川を渡り、岩肌を滴る水を飲む。
森や様々な土地の風の色、匂いを身体で感じ里の人の情けをありがたく受ける。
幾重の山を越えて冒険の先で訪れるあのホッとした感覚はバイクならではの旅の醍醐味だ。

列車での旅も出来るだけ鉄道から離れたい。
鉄道がない土地に一歩踏み込むことで全く違う風があり匂いがある。
鉄道撮影も好きだから止められないけれども、僕の場合、これだけだと限界が来てしまう。
現在は長期の休暇は取れないが、出来る範囲でこれからもバイクで旅をして行きたいものだ。
そしていつか、あの時行かなかったバハへの旅に出たい…そんな夢を持っている。




テーマ:写真日記 - ジャンル:日記

  1. 2017/07/15(土) 00:48:32|
  2. 非鉄・番外編
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