FC2ブログ

笛の音響けば

汽車の音色は旅へと誘う道標

港・横浜に線路があった頃

takashima Image15-1fc

国鉄高島線 高島駅    1984年撮影


横浜といえばみなとみらい、大桟橋や山下公園など夜景もきれいなオシャレな港町というのがイメージだろう。
でも、30年ほど前は古き良き時代の横浜を行き交う鉄道風景がまだ残っていた。


横浜駅東口のSOGO裏、運河を挟んだみなとみらい地区の一角にある三井ビルや富士ゼロックス、旧マリノスタウン辺りに高島という貨物駅があった。
駅本屋は第一京浜沿いにあり、その並びに横浜機関区がある大きなヤードで、運河ひとつ隔てた高島埠頭と、
赤レンガ倉庫のある新港埠頭やその先の山下埠頭までの臨港線が延びていた。
本線は電化でEF60と65、貨物入換と臨港線及び本線小運転はDE10が受け持ち、何度かDD13も見る機会に恵まれた。

上り方には貨物入れ(かもいれ)と呼ばれるパレット積込の専用ホームがあり、その外れに貨車検修庫や車掌区があった。
面白いのは検修庫裏に一段低い線路があって、そこは満潮になると線路が面一で海水に水没するという留置線があったことだ。
もっとも錆だらけのレールとバラストのない道床からとっくに使用された形跡はなかったが、
貨物列車の車掌廃止となると余剰となったヨやワフが解体を待ちながら運河に浸かっていたという光景が見られた。
下り方には12番線からレールセンターに向かう引き込み線が延びていて、時々ロングレールを乗せたチキの編成が専用機によって引き渡し線に押し込まれていた。

臨港線を知る頃には桜木町駅横にあった東横浜駅と新港埠頭の横浜港(よこはまみなと)駅の信号機は生きていたものの
貨物扱いは既になく、山下埠頭駅と高島埠頭の表高島駅で細々と貨物扱いが残っていた。
山下埠頭へは毎日午前中に一往復の貨物列車があり、今でいう汽車道をワム80000とトキ25000、ホキ2200などの編成でマリンタワー下の高架線を走っていた。
臨港線は、戦前からサンフランシスコ航路への接続列車としてポートトレインが東京~横浜港間で運行され、
戦後は現在山下公園前に保存されている氷川丸がシアトルまで就航していた際の接続列車として昭和35年まで運行されていたらしい。
当時の写真を見てみると機関車は鐘つきの8620で、大正ロマンを掻き立てるデザインセンスの名機関車は異国情緒に溢れる港・横浜にとても似合っていた。
山下埠頭への路線は昭和40年開通のため旅客列車が走った記録はといえば、横浜開港120周年の時にC581による旧客4輌の臨時列車が走っただけではないだろうか。
いずれにせよ、臨港線から眺める横浜港というものを見てみたかったものだ。

一方表高島は主に日曜日に入換があり、それもほとんど不定期だった。
列車は高島駅からワム80000とたまにワラ1を数輌繋ぎ、連結係が貨車にぶら下がって操車係へ手信号で中継する。
それを見て操車係が手旗で機関士に誘導を送り、推進で埠頭に向かう運転だった。
踏切は交通保安係(踏切手)が警報機に鍵を差し次々と鳴らして行くといったもので、やって来る列車と競争するように自転車で駆けずり回っていた。

埠頭の入口には大島行きの船乗り場があって、そこから先は一般人の立ち入りは禁止されていたが今ほどうるさくなく、
釣り人やデートに訪れたカップルたちの前で入換が始まる。
日曜日の倉庫街である埠頭とはいえ道路を遮断する遮断棒もロープもなく、交通保安係が旗で車を止めての作業だ。
ちなみに列車が通過してきた踏切は入換が終わり戻って行くまでそのまま鳴らしっぱなしだ。
道路上で突放された貨車に連結係が飛び乗り、ブレーキを足でかけては貨物ホームにピタリと止め、または貨車に連結させ、
テキパキと流れるような入換作業は見事なもので、目の前で繰り広げられる光景を珍しげに見ていた姿が印象に残る。
入換を終えた機関車は時に単機で、時に貨車を繋いで高島に戻る…そんな光景を飽きずに眺めていたが写真というものを一枚も撮っていない。
ピンぼけだろうが何だろうが撮っておけばよかったと今にして物凄く後悔している。

他に上り方では東高島、入江、新興への小運転があり、高島のDE10は横浜の運河を駆け巡る忙しさだった。
今では全く面影はなく、みなとみらいが出来る前にはそんな光景が横浜にあったというのが信じられないくらいだ。
現在の横浜もお気に入りの地だが、僕にとってドブ臭い運河と埠頭に倉庫が建ち並ぶ少し不良っぽいイメージの横浜も好きだった。
当時は労働組合の使いっ走りでこれらの埠頭に出入りする機会がよくあり、運よく見られたことは大変貴重なことだったと思う。




テーマ:写真日記 - ジャンル:日記

  1. 2017/12/21(木) 22:38:28|
  2. 高島線
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
<<駅の風情 | ホーム | 蒼白き河>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://c57nichinan.blog.fc2.com/tb.php/206-723313b1
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

u403tsugaru

Author:u403tsugaru
下手な鉄道写真を撮っておりますが、沿線風景や旅先での一コマなども載せていこうと思います。
見て下さった方の一人でも郷愁感や旅への思いをお持ち下されば嬉しく思います。

最新記事

最新コメント

月別アーカイブ

カテゴリ

ご挨拶 (5)
宗谷本線 (7)
石北本線 (100)
釧網本線 (36)
根室本線 (1)
釜石線 (1)
陸羽東線 (1)
只見線 (8)
真岡鐡道 (15)
上越線 (1)
秩父鉄道 (10)
高島線 (1)
大井川鐵道 (3)
山陰本線 (3)
山口線 (7)
肥薩線 (1)
保存鉄道 (9)
廃線・保存機 (7)
駅・設備 (4)
雑記 (2)
未分類 (1)
非鉄・番外編 (3)

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる