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笛の音響けば

汽車の音色は旅へと誘う道標

思い立ったが吉日

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上越線 後閑~上牧    撮影日不明(1990年代後半)


水上地方が積雪になったと前日の天気予報を見ていたからか
何気に早朝から目覚めた休日、おもむろに雪景色を見たくなって家を飛び出した。
当時、鉄道写真などほとんど撮ることはなく、ただ上越方面に行けばひょっとしたら雪景色の蒸気機関車が見れるかもと
一応ニコンFMも持っていった。

京浜東北線から上野で高崎線に乗る。
現在は上野東京ラインが開通し一気に便利になった様子だが、北の玄関口、北への始発駅…
そんな独特な匂いが漂う上野での乗り換えは、例え首都圏近郊電車に乗り換えるといっても特別気分が盛り上がったものだ。

唸るモーター音に酔しれながら街を抜け、次第に畑や山が見え始めると悪い癖が出始める。
メインはあくまで雪景色、蒸気機関車はあわよくばのつもりなのだから別に水上に拘らなくてもいいのではないか…。
ならば吾妻線、または信越本線で横川の釜飯でも、と心は揺れた。
蒸気機関車の運行日でなければ予定変更のつもりで高崎で確認するとデゴイチが走るという。
それじゃと上越線に乗り換えた軽い気持ちの道中だった。

さて、撮影なんていっても何の下調べもしていなければ撮影地などの知識もない。
津久田を過ぎた頃から薄っすら雪景色となり、谷川連峰が見える辺りはないものかと上牧で下車してウロウロ歩き
適当な場所で汽車を待っていた。

通過時間も分からずひたすら待つ間、雪でキーンと冷えた空気の匂いと青空は
「ああ、いっそこのまま雪国の旅へと出てもいいかな」
と思わせ僕を誘う。
デゴイチは見たいが、それよりももっと遠くへ、もっと知らない土地へ、
出来ることならその足が蒸気機関車の牽く列車なら尚のこといい…
しかし今の時代はそれが出来ぬと現実に引き戻され、ちょうどその頃汽笛が聞こえた。

デゴイチが雪の山脈を目指して走り往く。
正面やサイド気味もいいけれど、蒸気機関車は後ろ姿、後追いが特にいい…。
少しでも機関士の目線に、そして去り往く煙の風情に限りない旅情を感じると思うからなのだろう。

蒸気列車での旅に思い馳せたこともあり、帰りは何十年ぶりかとなるデゴイチの牽く列車に乗車した。
蒸気機関車特有のドン付きを味わいながら下る上州路…。
客車は違えど空席の目立つ車内と流れる煙に、信濃路で揺られた懐かしさが込み上げた。
榛名の山が遠去かる。街が近付く。
汽車の旅は実際の所要時間よりもずっと遥かに早く過ぎていった、思い付きの小さな旅だった。




テーマ:写真日記 - ジャンル:日記

  1. 2017/12/05(火) 00:40:51|
  2. 上越線
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下手な鉄道写真を撮っておりますが、沿線風景や旅先での一コマなども載せていこうと思います。
見て下さった方の一人でも郷愁感や旅への思いをお持ち下されば嬉しく思います。

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