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笛の音響けば

汽車の音色は旅へと誘う道標

駅の風情

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山口線 篠目駅    2016年11月撮影


山あいの小さな駅に降り立つ。
なにも用はなく、ただなんとなく気分がそうさせた。
雨に煙る山、刈り取られた田畑や手入れされた民家の庭先…。
それらの風景を見ながら当てもなく小さな集落を歩いていると、そのひとつひとつからここにしかない里の匂いが身体を纏う。
知らない土地に旅に出ていると、たったそれだけのことでじんわりと心に込み上げてくるものかある。

次の列車まで数時間。
駅の待合室で外をぼんやり眺めていると上り列車がやって来た。
改札口を出て来たのは学生たちで、全く見覚えのない余所者に「こんにちは」と笑顔で挨拶してくれる。
こんにちは、おかえり、と出迎えるように応えると純粋な学生たちからは更にそれ以上の笑顔を返してくれた。
さっき歩いてきた道程にあった家の子たちもいるんだろう。
友だちと別れ、濡れた家路を辿り、ただいまと玄関を入った我が家の温もりを
普段の生活からは特別意識することはないかもしれないが、それでも彼らのどこかしらに感じるものがあるに違いない。


PB223523-1fc.jpg


駅はおらが古里の玄関口。
発つ者もいれば帰ってくる者もいて、どれほどの人を駅は見てきたのだろうか。
静かな里に響く彼らの声が聞こえなくなった頃、無人の駅は灯火を放ち始め、より静けさが際立つようになっていた。
雨は止み、しばらくして峠を越えた列車がコトンコトンとやって来る。

さて、あれに乗るか…。

優しい駅の風情は我が家の温もりに似て、 屋根からポタリと落ちる雫の音でさえ愛おしい。
僕は旅立つことを拒みたくなる気持ちをやっと振りほどき、ベンチから腰を上げた。




テーマ:写真日記 - ジャンル:日記

  1. 2017/12/29(金) 02:13:41|
  2. 駅・設備
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下手な鉄道写真を撮っておりますが、沿線風景や旅先での一コマなども載せていこうと思います。
見て下さった方の一人でも郷愁感や旅への思いをお持ち下されば嬉しく思います。

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