FC2ブログ

笛の音響けば

汽車の音色は旅へと誘う道標

茶の間に流れた汽車の音

_7070745-fc.jpg


既に何度か記事にしているが、僕の母親の故郷は信州の北信地方だ。
地元では「たかやしろ」と呼ばれている高社山の麓の小さな村の出で、千曲川が目の前に流れる唱歌「故郷」発祥の地もさほど遠くない。
母の実家は戦後間もなくなくなっているが、当時は村で一・二を争う大きな屋敷だったらしく、
河東鉄道が信州中野より延伸するにあたり土地を無償で提供し村に鉄道が開通した。
それが平成14年に廃止となった長野電鉄木島線である。

実家近くの親戚の家が実家代わりで、物心がつく前からこの家に転がり込み、そこは僕の第二の故郷、実家でもある。
志賀の山々を源とする夜間瀬川が千曲川と合流する辺りに架けられていた橋は昭和40年前半まで欄干もない木製の橋で、
たまに車が渡るとガラガラと雷のような音を立てていた。
北陸新幹線の工事がされるまで高社山からの湧き水が庭の池にゴポゴポと流れ、山羊や鶏、兎の匂いがする田舎の家だった。
築140年の雪国の家は堂々としており、今でもトイレは離れで土間の名残りからサンダルを履かねば風呂場にも行けない。
昔は屋根裏に蚕を飼っていたようで天上はやけに高く、一里一尺の言葉がある豪雪地帯らしく二階には玄関跡が残る。
僕の幼少から少年時代はそんな家で半分育ったようなものだ。

池の音や家畜の匂いが漂う田舎の家に遊び疲れて帰って来ると
「ほれ、おめぇ食え」とお茶請けに楊枝が刺さったリンゴや味噌漬けを婆さまが出してくれる。
お茶をズズッと飲む爺くさい子供だったが、柱時計がカチカチと流れる茶の間で過ごすささやかな時間は心地良く
そこへ時々ガタン、ゴトンと響く木島線のオンボロ電車の音もまたジンワリと湧いて来るものを子供ながらに感じていた。



P3255551-11fc.jpg

真岡鐡道 七井~多田羅


立派な木々が民家の背後を守る典型的な田舎の家。
庭先の地べたを這うように、ヘロヘロの小道を汽車がカラコロ走り往く。
時代も地域も全く違うけれど、きっとこの家も、茶の間に何気に汽車の音が流れているんだろうな…と、
あの頃嗅いだ懐かしい景色を思い出していた。




テーマ:写真日記 - ジャンル:日記

  1. 2018/04/06(金) 04:11:15|
  2. 真岡鐡道
  3. | コメント:0
<<喜びの季節 | ホーム | 風は南から >>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

プロフィール

u403tsugaru

Author:u403tsugaru
下手な鉄道写真を撮っておりますが、沿線風景や旅先での一コマなども載せていこうと思います。
見て下さった方の一人でも郷愁感や旅への思いをお持ち下されば嬉しく思います。

最新記事

最新コメント

月別アーカイブ

カテゴリ

ご挨拶 (5)
宗谷本線 (15)
石北本線 (105)
釧網本線 (37)
根室本線 (1)
釜石線 (1)
陸羽東線 (1)
只見線 (8)
真岡鐡道 (15)
上越線 (1)
秩父鉄道 (11)
高島線 (1)
大井川鐵道 (3)
山陰本線 (3)
山口線 (7)
肥薩線 (1)
保存鉄道 (11)
廃線・保存機 (9)
駅・設備 (6)
雑記 (2)
未分類 (1)
非鉄・番外編 (3)

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる