FC2ブログ

笛の音響けば

汽車の音色は旅へと誘う道標

憧れの機関士体験・前編



三笠鉄道村


北海道に動態保存されてる蒸気機関車は何もC11だけではない。
丸瀬布の雨宮21号、そして三笠鉄道村のS-304号もそのひとつだ。
双方とも公園内を走るためJR営業路線を走る醍醐味はないかもしれないが、
煙を上げて走る様は紛れもなく蒸気機関車そのものだ。

S-304号は、国鉄線上から現役蒸機が引退してからも室蘭鉄原コークスで入換用の機関車として働いていた
我が国の最後まで実用で残っていた機関車ということはその筋の方ならご存知だろう。
旧幌内線幌内駅構内跡に走る当機を、ここでは体験運転出来るとあってかねてから気になる存在であったが、
この度その機会を得ることができ、三笠に向かったというわけだ。

幌内線は幌内炭鉱で採掘される良質な石炭を輸送するための鉄道として、明治13年に手宮~札幌が幌内鉄道として開業し、
重機もない時代にその僅か二年後の明治15年には幌内へと全線開通した日本で三番目の鉄道である。
構内往復運転とはいえ、コークス会社で働いていた蒸機を由緒ある炭鉱路線跡で運転するというのも感慨深い。

午前中に講習を受け、午後から乗車となる。
僕は743人目の見習い機関士だそうで、受講者の約半数は関東からとのことだった。
館長から指導して頂く機関士の方へ挨拶に伺い、憧れのナッパ服に着替えた後キャブに乗り込む。
熱い!それは生きた蒸機の証しだ。
石炭の匂い、油の匂い、快適性など微塵もない鉄の城、鉄の塊…。
それをこれから運転するのだと思うと興奮しないわけがない。

先ずは貨車を改造したトロッコを2輌連結した、お客さんを乗せた営業列車に乗務し、教導機関士による運転を見学する。
その後トロッコを解放し、単行で運転する前に講習で受けた操作を再度教えてもらい、さあ、いよいよ運転だ。
物好きが高じて一級ボイラー技士の免許を持っているが、やっとそれも活かされる時が来た。
ご指導頂くのは、泣く子も黙る元国鉄追分機関区のN氏である。
公園内をといってもそこは仮にも本物の蒸気機関車を動かすだけに本線運転と同じく真剣である。



P5125533-10(1)fc.jpg


逆転機をフルギヤにしドレン弁閉止。
前よし、後ろよし、N氏の出発合図に歓呼応答する。

「発車ぁ!」

約2秒の適度汽笛を一声、単弁を運転位置に圧力計が0㎏/㎠を指示、緩解オーライ、加減弁をゆっくり開ける。
蒸気溜めからシリンダーに蒸気が送られピストンを押す。
ボッ!!とドラフト音がして黒煙を吐き出し動輪がゆっくりと回り出した。

国鉄型制式機関車と比べて小さい産業用ロコではあるが目線は高く
実際に石炭を焚き蒸気圧で動く姿はやはり迫力があり感動的だ。
固い鉄の城にレールを噛み締める動輪とロッドの動きが伝わり、足元から、座席の尻から脳天に貫く。
しかし感動ばかりしてる暇はない。
すぐに逆転機を引き上げ、前方人がいない箇所でドレンを切って加減弁を開けていく。
頭では操作を分かっていても、次々とやらねばならない操作と、鉄の塊が走っている事実に頭の中は真っ白だ。
N教導機関士の適切な介助と声掛けに辛うじて救われてる状態である。

「はい、閉めるぅ」

N機関士の声に応答し、加減弁を閉める。
逆転機を倒しドレン弁を(この機関車はバイパス弁も兼ねてるよう)開け、
本職でもブレーキが出来て一人前と言われる難関の制動に備える。
単弁を重なりから加圧減圧を必要に応じて繰り返し停止、1メートルほど過走だ。
訳のわからないまま後進措置をとり汽笛一声、発車。
雑誌等で知ってはいたが、身をよじっての運転操作と前方注視は大変であった。
構内はカーブしているため、乗降場進入の際汽笛を吹鳴する。
厄介なのは後進の場合4‰の上り勾配で停止位置間際まで加減弁を開けていることだ。
慣れた方ならどうってことはないだろうが、初心者にとっては閉めるの合図と共にすぐに制動というほど忙しく、
停車しているトロッコに激突しやしないかとヒヤヒヤものだった。
実際は教導機関士が介助してくれるのでそんなことはないのだが、たった4‰の勾配でも速度を殺してしまうと
手前で停まってしまい、再度加減弁を開けなくてはならないらしい。
それは機関士の恥なのだそうである。




テーマ:写真日記 - ジャンル:日記

  1. 2018/05/16(水) 03:21:10|
  2. 保存鉄道
  3. | コメント:0
<<憧れの機関士体験・後編 | ホーム | サクラサク>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

プロフィール

u403tsugaru

Author:u403tsugaru
下手な鉄道写真を撮っておりますが、沿線風景や旅先での一コマなども載せていこうと思います。
見て下さった方の一人でも郷愁感や旅への思いをお持ち下されば嬉しく思います。

最新記事

最新コメント

月別アーカイブ

カテゴリ

ご挨拶 (5)
宗谷本線 (15)
石北本線 (105)
釧網本線 (37)
根室本線 (1)
釜石線 (1)
陸羽東線 (1)
只見線 (8)
真岡鐡道 (15)
上越線 (1)
秩父鉄道 (11)
高島線 (1)
大井川鐵道 (3)
山陰本線 (3)
山口線 (7)
肥薩線 (1)
保存鉄道 (11)
廃線・保存機 (9)
駅・設備 (6)
雑記 (2)
未分類 (1)
非鉄・番外編 (3)

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる