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笛の音響けば

汽車の音色は旅へと誘う道標

サバんちゃ

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石北本線 端野~緋牛内


おぇ、一緒に飯山の方にでもに行こうや。

物心が付く以前から、信州の親戚宅には親方である叔父に「サブ」と呼ばれていた住み込みの弟子がいた。
叔母や他の人らからは「サバんちゃ」と呼ばれ、 それは「サブ兄ちゃん」「サブあんちゃん」が訛ったものである。
色黒で筋肉質の、今でいうかなりのイケメンで、汗水垂らして一生懸命働く真面目な青年だった。
親戚周りで同年代というとほとんどが女衆で、早くに兄を亡くしていた少年時代の僕には貴重な憧れの存在だった。
行けばいつも優しく接してくれるかっこいいサバんちゃに甘えたいものの、何だか恥ずかしくて今一つ飛び込んでいけず、
向こうから構ってもらうのを待っていた…というのが常だった。
そんな時、仕事を早く終えて帰って来たサバんちゃが前述のようにドライブに誘ってくれたのだ。
僕はもう嬉しくて嬉しくて、サバんちゃの運転する車に乗っかって、千曲川の流れを見ながら飯山に向かったのである。

飯山では夕立があったのか景色は濡れていて、小さな商店街の建物や路面は逆光に輝き、
その向こうにはもくもくと沸き上がる入道雲が山のように聳えていた。
車のラジオから流れる、サバんちゃが好んでレコードをかけていた千昌夫の「星影のワルツ」に乗って飯山線のディーゼル列車が顔を光らせ通過する。
小学校低学年の暑い暑い夏の夕暮れ時だった…。


パッとしない梅雨のような天気が続く中、ようやく出た日差しも北海道にしてはかなり暑くなった先月末。
ザッと一雨きたものの、それほど暑さは抜け切らず、少しばかりの涼を求めて川の堤防へと足が向いた。
山のように沸き立つ入道雲の足下へ、顔を光らせディーゼル列車が往く姿…。
蒸した景色に遠きあの日のことが甦り、僕はいつしか星影のワルツを口ずさんでいた。




テーマ:写真日記 - ジャンル:日記

  1. 2018/07/08(日) 14:15:59|
  2. 石北本線
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下手な鉄道写真を撮っておりますが、沿線風景や旅先での一コマなども載せていこうと思います。
見て下さった方の一人でも郷愁感や旅への思いをお持ち下されば嬉しく思います。

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