笛の音響けば

汽車の音色は旅へと誘う道標

白日夢

かつて鉄道が輸送の主役だった頃、主要の駅では大きな構内が備わっていた。
様々な形式の貨車が連なり、場所によっては機関区や客車区などがあって活気に溢れていた。
夜ともなれば高い照明塔からカクテル光線が広い構内を照らし、その中で働く鉄道員がカッコよく見えてならなかった。

次第に時代の波に押され鉄道輸送の形態は大きく変わり、あれほど大きかった構内は機関車も貨車や客車もいなくなり、
そこで働くカッコいい鉄道員の姿も見ることが出来なくなってしまったばかりか線路も撤去され、用地は売却され
少なくとも昔の繁栄を知る僕にとって今の光景は未だにどこか馴染めないでいる。

そんな構内を持っていた駅のひとつ、石北本線と釧網本線の終着駅網走。
諸先輩方の撮影された写真を拝見すれば、ここにもかつて機関支区があり、石北・釧網線のC58、湧網線の9600が、多くの貨車や客車、気動車たちが屯していた。
当時のそんな栄華と時々訪れる網走構内を比べると、今は僅かばかりの気動車が片隅に追いやられるようにいて胸が痛くなるような寂しさを覚える。

先日、石北本線に工臨が運転された折り、その網走を訪れた。
多くの線路が撤去された構内にDE15のエンジン音が久々に響く。
レールを乗せたチキを解結、機回し、連結…、それら一連の作業が懐かしく思えた。
機関車がたった一輌いるだけでこうも構内は活気づくものか。
いつも静かな構内に佇む気動車たちも、まるで親戚が集まりはしゃぐ子供たちのようにどこか気持ちが高ぶっているように見える。
今も残る高い照明塔が見守る中、研修庫脇で身体を休めるキハを横目に北見方面へ向かう列車が誇らしげに発車して行った。
たったそれだけのことなのに、少しだけかつての白日夢を初夏の晴れ間に垣間見た気がした。



P6212301-1-10fc.jpg

石北・釧網本線 網走駅

OLYMPUS OM-D E-M1
ZUIKO DIGITAL ED50-200mm F2.8-3.5 SWD




  1. 2016/06/24(金) 00:10:57|
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下手な鉄道写真を撮っておりますが、沿線風景や旅先での一コマなども載せていこうと思います。
見て下さった方の一人でも郷愁感や旅への思いをお持ち下されば嬉しく思います。

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