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笛の音響けば

汽車の音色は旅へと誘う道標

雨に煙る大井川

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大井川鐡道 抜里~川根温泉笹間渡


とかく茶畑と山の緑が美しい川根地方。
冬の柔らかい陽射しが届く山間の里も捨てがたいものがあるが、やはりこの季節が一番輝く季節であるように思う。

眩しいほどの新緑と雨に煙る大井川の景色を見たい…

そう思ったのは、初めて川根路を訪ねた日が雨だったせいだろう。
昭和55年の5月辺り、千頭へ一泊の家族旅行だったから汽車の撮影はついでだったし
そもそもポイントなんて分からず、親父と適当に景色の良さで線路端に立ったのが抜里の築堤だった。
久しぶりに聞く蒸気機関車の汽笛が幾重にも木霊して、
随分響くものだなぁと背筋にビリビリと、足がガクガクと来る好きな者にしか味わえない電気が走る。
重たい曇り空の下、やって来たのは当然と思っていたC11227の面構えではなく
前年にタイから復員し日本型に戻されたばかりのC5644を先頭にした重連だった。

どうりでやたら汽笛が響くわけだ…
僕にとって蒸気機関車の重連は篠ノ井線のD51が最後で、それから10年以上経つ。
大井川鐡道はC11と決め付けていたこともあっていささか拍子抜けしたが
現役蒸機廃止後、再会を果たした蒸気機関車は飯山線であれほど見ていたC56だったというのも何かの縁だったのだろう。

信州生まれで信州育ちのお袋は父親が教師ということもあり県内で転校を重ねた。
塩尻、辰野、岡谷、上諏訪、茅野…
中央東線のD51やD50、入換のC50やC12の煙を散々浴びたのだろう、大粒の雨が屋根を叩く宿で
茶そばが美味しいと喜びながら蒸気機関車の煙を懐かしがっていた。
雨は翌日も続き、深く垂れ込んだ雲に霞んだ第三橋梁を二条の白煙が渡っていくのを家族で見送った…
それが僕の初大井川の思い出である。



冬に訪れた俯瞰場所は中段と言われる位置からだった。
当日、雨は結構な降りで、一人オフロードバイクでなら林道が崩れようが落石があろうがお構いなしだが、
さすがに普通四輪では対応し切れないことと、肝心な列車が霞み過ぎて何も見えないことから今回は下段位置に陣取る。
それでも時折下からガスが駆け上がり、対岸の山の稜線も見えては隠れ、やがて汽車の息吹が迫って来た。
これは降り過ぎだ、加減ってモンがあんだろうによと一人ブツクサ文句を言ってると
仕方ねぇなと僅かながら乳白色の霞んだ景色に稜線が見えだした。

棚引く煙が客車に被る。
ああ、それがたまらない…
それこそ生きてる証、蒸気機関車の煙だ。
初めて来た時のように、雨に煙り、白煙が流れる…


そう、これが見たかったんだ。




テーマ:写真日記 - ジャンル:日記

  1. 2019/05/12(日) 16:30:39|
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