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笛の音響けば

汽車の音色は旅へと誘う道標

蛍火落して

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飯山線 戸狩野沢温泉~信濃平


高社山が薄明の空に浮かんでいた。
別名高井富士とも言われるが、地元では「こうしゃさん」若しくは「たかやしろ」と呼ぶ方が多いと思う。
僕の周りだけかもしれないが…。

あの山の麓で過ごした幼少時代。
田んぼやりんご畑、夜間瀬川や千曲川が遊び場だった。
田んぼを覗くと無数のオタマジャクシがいて、タガメがいて、タニシがいて
ヒルの気持ち悪さにビビりながらそれらを捕まえるのが楽しくてならなかった。
日が暮れると少量だったものの蛍も舞い、蛙がやかましいほど鳴いていた。
それでもそれがうるさいとは一度も思わず、むしろ子守唄のようで安心して気持ちよく眠れたものだ。

涼やかな青田も、黄金色に首を垂れる稲穂も、刈り取られた後も、どれも捨てがたい田んぼの景色だが
水が張られた頃もそれらに劣らずいいものだと思う。
代掻きが済み、苗を植えるまでの僅かな時なら更に良しだろう。

木島平の奥地、馬曲の温泉で汗を流し、帰りにちょっと行ってみようと寄り道した戸狩駅。
缶コーヒーを飲みながら時刻表を見ていると、間もなく停車している列車の発車時刻だ。
間に合うかと水田地帯へ車を走らせ、高社山が見える適当な場所に突っ込んだ。
踏切が鳴る。場所を選んであれこれ考えている暇がない。
接近するキハ110のエンジン音が変わった。
いつも石北のキハ40を見ているからか、飯山線の速度は遅いと思い込んでいたからか
こんな加速をするんだ…とその意外性に余裕はもっとなくなり、タービンの音と排気煙を残して去って行った。

成す術がないまま列車は行ってしまったが、残った缶コーヒーを啜りながら
蛙の大合唱と、蒼に浮かぶ高社山の景色に列車の灯りが小さくなって行くのを見ていたら
蛍を見つけに畔を歩いた季節の記憶が蘇っていた。




テーマ:写真日記 - ジャンル:日記

  1. 2019/06/14(金) 04:55:23|
  2. 飯山線
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