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笛の音響けば

汽車の音色は旅へと誘う道標

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鶴見線 大川支線 大川


本線・海芝浦支線・大川支線からなる鶴見線は、その殆どが臨海地区の重工業地帯を走る。
都会のローカル線として注目度はあるようで休日ともなれば同業者の姿もチラホラ見かけるが
運河沿いに走る海芝浦支線は別にしても鶴見線におけるイメージは「小汚い」であり、昔は大嫌いだった。
至る所が工場だから分かるものの、トラックの往来は多く、道端はこれまた小汚い砂利が吹溜まる。
大型車の排気ガス、巻き上げる砂塵、工場の排煙、薬品臭、とっ散らかったゴミ、そんなようなものがごちゃ混ぜになり
無機質な工場群と廃線となった線路に生えた雑草は伸び放題・・・と見てくれも良くないこともあって
いくら車輌がステンレスの205系であろうとイメージは拭えず、僕には未だに鶴見線=小汚いの図式が成り立つ。


これ以降いつもに増してくだらない話がダラダラと続くので気の進まない方はスルーして頂きたい。


時はバブルの時代、当時勤めていた会社はノンプロを持っていたこともあってか野球が盛んで
毎年開催される会社の草野球大会があり、地区ごとを勝ち抜いた部署が本大会に出場して優勝を競う・・・
という規模の大きな催しを行っていた。
例年地区大会の準決・決勝は単独で人数も練習も出来る大きな部署同士が対決し
僕がいた数名足らずの小さな部署は同じような部署の寄せ集めで、顔も知らなければ人数合わせのための
キャッチボールをしたことすらないおっさん未経験者たちと組む毎年一回戦負けが常だった。

僕は野球は好きであったものの本格的な経験はなく、基本的に運動音痴で会社催しが嫌いで理由を付けては逃げていたが
前年の終わりに前職場のO先輩と、同僚だったN先輩によって半ば強引に自身らが所属する軟式野球部に入部させられ
今回は手前上逃げることが出来ず、年貢の納め時と思って大会に参加した。
その軟式野球部とやらは僕から見れば本格的で、高校硬式野球経験者と中学軟式経験者がほとんどを占め
O先輩は練習試合で長野の松商学園、愛知の東邦と投げ勝ち、一時はいよいよ甲子園へ夢と希望が膨らんだ
という静岡県の元高校球児(投手)で、N先輩は岡山県大会ベスト4進出校の三塁手だった。
中には肩を痛めてノンプロでは出来ず辞めて来たという猛者もいて、そんな軟式部でありながら監督は
あろうことに僕を投手に抜擢し、この催しでも経験という名目で投げる羽目になった。
寄せ集めチーム同士の対決を2回勝ち(僕は2回戦から)、クジ運で稀に起こるザル集団と常勝三部署の内のひとつ、
ポンポンを持って応援する女子社員もいる部署との準決勝が行われた。
試合は相手の元神奈川県強豪校のエースだったKさんと、ポッと出の僕との投げ合いになりスコアボードは0が並ぶ。
終盤になって我が方得点を唯一期待できる二人の硬式経験者の前に四球でランナーが出塁、図ったように長打が出て先制し
最後の相手打者を見逃し三振に仕留めて1-0で勝ってしまう。

当時、甲子園大会でも140キロが出れば本格派投手と言われていた時代、僕はお遊び草野球を時々やる程度だったが
Max132キロ(左投げで115キロ)の真っ直ぐと、O先輩が教えてくれた縦系のカーブとフォーク、自前の小さく曲がるスライダー
(今で言うカットボール)を持っていて、これらを混ぜると先ず打たれることはなく、社内大会でも強いと言われていた
この相手に対しても、先の軟式野球部においても一度も勝った例しがないと聞かされていた対東芝に6-2、
21アウトの内13奪三振でチームとしても初勝利したこともあってそこそこ通用していたようである。
加えて打つ方は左右打ちで、長打は右打ちの方があったが三振率は圧倒的に左が少なく、重宝がられてよく使ってくれた。
いずれにせよ社内大会は周囲も目を疑う想定外の結果となり、ポンポン応援女子は泣いてる者もいて少し引いたが、
自分の職場は常に地区代表を狙えるトップ3であり、まさかこんなザル集団に負けるとは思いもしなかったのだろう。

かくして、会社の草野球大会始まって以来の地区代表をかけたザル集団vs常連部署の決勝戦が始まった。
終盤の僕の手痛いエラーから4点が入り万事休す、今年の決勝は面白いぞと家に帰らず野次馬と化した参加者からも
番狂わせを期待する声は「あー」という落胆の声に変わり、史上初の地区優勝とはならなかったが
この時、準決勝の対戦相手だったメンバーと女子たちも帰らずに声援を送ってくれていた。
その内の一人の女子が試合後に労いの言葉をかけてくれ、それ以来、この準決で対戦した部署の助っ人要員として
呼ばれるようになったある日、僕はショートを任された。
球場は内野席のあるグランドで、一塁ベンチ上に例によって女子たちがいて、労いの言葉をかけてくれた彼女もいた。
その格好が殊更ヤバくて、超ミニスカートとヘソ出しルックであり、一塁に送球すると視界に入るのである。
困ったような嬉しいような複雑な心境の中ノーエラーで済ませられたが、都市対抗野球を見に出かけた東京ドームや、
川崎駅でバッタリ会ったりすることも重なってか、社内大会以降、女性に疎い僕でも分かるくらい近付いてくるようになり、
一つ年上のきれいな女性だったし悪い気はしなかったものの、どうしても乗り気にはなれなかった。

彼女は鶴見線と同じ名だった。
鶴見線といえば小汚い、そのイメージが切っても切れない僕には、えーっ、そんなことで?と言われそうだが
それほど鶴見線=小汚いは強烈で悪いイメージだったのである。
その後、語学が出来る彼女は退職し、某航空会社のCAとなった。
道を間違えたかな・・・




テーマ:写真日記 - ジャンル:日記

  1. 2020/08/12(水) 00:36:16|
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