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笛の音響けば

汽車の音色は旅へと誘う道標

士の背中

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秩父鉄道 三峰口    2014年8月撮影


東の館林、西の多治見と競うように、ほとんどありがたくない暑さを売り物にしている熊谷地方。
山岳地帯へと向かえど、盆地型気候の秩父地方の暑さも冗談じゃねえといったもので
そこをトレースするよう走る秩父鉄道の蒸気機関車を運転することはさぞかし大変なことだろう。
密閉キャブは冬場はありがたいものだとしても、灼熱のボイラーを抱いた夏のキャブ内は50度60度の世界と聞く。
側扉を外すだけに止まらず窓も取り外したところで気休め程度であろうし、キャブ内にクーラーボックスを置き
絶えず水分補給をしながらだというが、飲んだ傍から汗となってしまうに違いない。


夏休みの子供らがキャブの中を興味津々に覗く。
「坊主、内緒だぞ」
あまりにも熱心に覗くものだから機関助士は笑いながら手招きし、初めてD51に乗せてもらった時のことを思う。
大人であっても同じように覗いてしまう魅惑に満ちた室内は複雑に配管が入り乱れ、
いくつものバルブや圧力計がズラリと並び、まるで要塞だ。
これらをどうやって操作するんだろうと思っただけで蒸気機関車の運転は大変だと子供心にも思わされた。
おまけに暑く、危ないからと座らせてもらった助士席は硬く揺れ、大人が怒鳴り合うほどの轟音、
それらに怯むことのない機関士と機関助士の真剣な眼差しに、自分もこんな凄い機関車を走らせる格好いい大人になるんだ、
と誓ったが、見事に脱線転覆、廃車(敗者)クズ鉄の痛い大人になってしまった。


往路の乗務を終え、愛馬を見守り一息つく機関士がいた。
機関士の士は「さむらい」とも読む。
キャプを取り巻く環境、上り勾配に対する運転など幾多の戦を乗り越えてきた、まさに武士の背中は汗と煤にまみれ、
蒸気機関車の運転の厳しさを物語ると同時に機関車乗務員としての誇りが滲んでいた。




テーマ:写真日記 - ジャンル:日記

  1. 2020/08/19(水) 01:09:19|
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