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笛の音響けば

汽車の音色は旅へと誘う道標

匂いと風を受けながら

秋になるとどこかに旅に出たくなる。
目的もなく、行先を決めず、それこそ寅さんのように風の逆らわず気ままにふらりと旅に出たい…と思う。

今のご時世なんでもスピードで、とにかく早いことが重要視される風潮に古い僕には戸惑いを感じる。
確かに昔からスピードは求められ、それはそれで頭から否定はしないけれども、うーん…とどうにも釈然としないのだ。
新幹線、高速道路、一般道のバイパス化などの高速移動網のもたらす経済効果を考えれば必要なことなんだろう。
ただその分、僕には「旅」というものを考えた時、遠距離を短時間で行けてしまえばしまうほど無機質なものになっていく。

あっという間に後ろに飛んでいく景色と長々としたトンネルに、せっかく訪ねた風景を楽しむ余裕もなく、見させてももらえず。
車内のスマホやタブレットの操作に忙しく、外を眺める人の少なさを見れば今や時代は車窓なんて求めていないのだろうか。
旅とは何だろう。
ただ目的地に早く行くことだけなんだろうか。
ただ目的地で楽しむことだけなんだろうか。
少なくとも僕には目的地よりもそこへ辿り着くまでの行程も、同様に時にはそれ以上に大切だったりする。

コンクリートの巨大で素っ気ない人工物は風景をも壊す。
かつて小海線のC56が見せてくれた、背後に八ヶ岳がそびえる雄大な高原風景はR141のバイパス化によってぶち壊され
素朴だった真岡鐡道の八木岡地区も、眺めの良かった母方の故郷の北信地方もこれらに引き裂かれてしまった。
いずれも地元に愛された景色だった。
かくいう北見地方も数年前に高規格道路が開通し、利用する身としては便利になったがその代償に美しかった夜景は台無しになった。


国鉄分割民営化で反対する労働組合に、やはり反対する山田洋次監督から応援の手紙が来たという。
「商売っ気たっぷりに車内でオレンジカードを売る車掌に寅さんはどう思うのでしょう」

今であればお金のない寅さんは
「なんだかよ、この世知辛い世の中、旅もしづらくなっちまったよな」
なんてさくらや仲間のポンシュウに愚痴るのではないだろうか。

車窓を見ればこんなに長閑で素敵な景色が待っているのになんて勿体ない。
やはり僕にはいい匂いのする景色をガタゴト揺られながら、そして身に風を受けながら旅をするのが一番である。



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石北本線 端野~緋牛内




テーマ:写真日記 - ジャンル:日記

  1. 2016/10/20(木) 23:21:17|
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