笛の音響けば

汽車の音色は旅へと誘う道標

友と蒸気機関車と

先の只見線の記事で紹介させて頂いた「蒸映」を撮影・制作している友人とその相方であるもう一人の友人。
旅の当日、その二人も山口入りをすることはかねてから知っていたが、それぞれの予定が異なることから現地で会えたらいいね・・・程度の感じであった。
ただ、夜はどこかで一杯やろうということにはなっていた。
返しはどこで撮る?と電話で話すも、撮影区間は同じでも僕は僕でどうしても立ちたい場所があったので再会は夜の楽しみにとっておいた。

山口線に蒸気機関車が復活した昭和54年。
秋には早速乗り鉄で訪れ、撮影はその翌年に山口入りしている。
その時立ったのが鷲原だった。
津和野を発車したSLやまぐち号は津和野盆地の山腹を縫うようにしながら勾配を駆け登って来る。
煙が、汽笛が、ドラフトが、力闘する蒸気機関車の物語が長く望め、あの時の感動を36年振りに味わいたかった。

線路端で当時のことを思い出しながら懐かしい鷲原に立っていると僕の名前を呼ぶ友人たちの声が聞こえた。
津和野でスナップをしていたという友人たちは当初本門前かなと言っていたが、鷲原も捨てがたいと来てくれたようだった。
動画を撮る友人と写真を撮る友人三人で撮影するのは二年前の真岡鐵道以来で、特に写真を撮る友人とはその時以来の再会となり本当に嬉しいものだった。
撮影準備に取り掛かる二人それぞれの仕草を見ながら、数年前に彼らと出会えた「縁」を蒸気機関車好きにちなんで「煙」として
こうして宮城と北海道からはるばる津和野路で再会できた喜びは感慨一入であった。
彼らはプロでも食っていけるとその筋の方たちから声が掛かっているが、羨ましく思える話を二人とも拒む。
そんなハイレベルな撮影技術を持っている彼らが、素人丸出しの恥ずかしい写真しか撮れない僕のような者と行動を共にしてくれることに、いつも深い感謝の気持ちが込み上げる。

津和野発車の汽笛が鳴る。
三人一様に子供のような顔になる。
36年前のあの時のようにシゴナナの1号機が奮闘する様子が見え、背中に電流が走った。
いかん涙が出そうだ、しっかり見なければ、しっかり聞かなければ、しっかり感じなければと彼の姿に集中する。
その奮闘ぶりに、きっとそれぞれの撮影地で皆満足しているだろう順番が刻一刻とやって来る。
高鳴る心臓、震える指先、沸騰する血液。
山岳路線を苦手とする急客機を見事な技術で運転をこなす機関士さんたちの腕前か、1号機は早いピッチで目前を通過した。
頭上に煙が流れ列車の後部が飛んでいく。
彼は足を滑らせながらトンネルに突入していった。
残る1号機の残り香と、列車の残影。
僕たち三人はしばらくその感動を体一杯に感じながら余韻を楽しんだ。



PB192971-10fc (2)

山口線 津和野~船平山




テーマ:写真日記 - ジャンル:日記

  1. 2016/12/22(木) 00:26:27|
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