笛の音響けば

汽車の音色は旅へと誘う道標

熱い冬

P2023541-11fc.jpg

釧網本線 釧路湿原~細岡


この日を待ちわびていた。
厳冬期の北海道。文字通り一年で一番寒く、そして一番熱い季節を迎えた。

早朝、家を出るころ結構な降りだった雪は美幌峠に近付くにつれ吹雪になり、峠付近は完全なホワイトアウトになった。
数メートル先も見えず全く視界が利かない。
止まろうと思っても万が一後続車が来たら追突の危険性もあり、かといって前走車が止まっていたらこちらが追突してしまう。
急に視界に現れる対向車。こちらもビビったが向こうも同じだろう。
恐る恐る車を走らせ、峠中ほど下ったところでようやく視界が広がった。

峠を境に天気は回復したが予報通り風は強く、俯瞰は煙が巻きそうだと釧路湿原駅の発車を狙える撮影地に向かった。
早くC11に会いたくて、彼が来るまでまだまだ時間があるのにコンビニに寄るのも煩わしい。
昨年と違い今年は寒く、雪が多い釧路地方。
前夜も雪が降ったのであろう撮影地に向かう小道は、ようやく除雪車が入っていた。

既に車が一台。千葉から来たというNikon・D4使いの穏やかな方と新雪の中を歩く。
SLはやはり冬がいいよね、と笑うD4氏はこの季節を楽しみにしていたらしく一週間滞在するとのことだった。
時間と共に人は増え、汽車が来る時間が迫る。
人それぞれに話していた会話も少なくなり次第に張りつめた空気になってくる。
見知らぬ人と話す蒸気談議、カメラ談義も楽しいが、この空気が変わり往く瞬間が、緊張感が堪らない。
若い人もメタボのおっさんも、年配の方も皆必死で真剣勝負の場なのだ。

固唾を呑んで見守る舞台の上を、汽笛一声、冬の湿原に轟かせ、風が渦巻く雪の鉄路に踏み出した。
加減弁を閉める開けるを繰り返す機関士さんの絶妙なハンドルさばきに、彼の白く凍りついた足が空転ギリギリのところで踏み止まる。
奥歯を噛み締め握る拳に力が入り、息をするのも忘れて見守る、ロッドの動きを見つめる。
なにかが破裂したようなドラフトのテンポがゆっくりと、しかし確実に早くなってきた頃、止めていた息をハァ~っと吐き出した。

やっぱり蒸気機関車は最高だ!!




テーマ:写真日記 - ジャンル:日記

  1. 2017/02/06(月) 14:38:05|
  2. 釧網本線
  3. | コメント:2
<<いざ、往かん! | ホーム | 夢に描いていた列車>>

コメント

機関車のはき出す蒸気、機関車の迫力、凍てつく寒さが伝わって来る写真と文章ですね。
  1. 2017/02/07(火) 19:26:54 |
  2. URL |
  3. ishida #-
  4. [ 編集 ]

ishidaさん。
お越し下さり、並びにコメントまで頂きありがとうございます。

厳冬期の北海道の大地を邁進する蒸気機関車は他では味わえない魅力があり、毎年この季節がやって来ることを楽しみにしております。

いつも拙作を披露してお恥ずかしい限りですが、これからもどうぞよろしくお願い致します。




  1. 2017/02/07(火) 19:42:26 |
  2. URL |
  3. u403tsugaru #-
  4. [ 編集 ]

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

プロフィール

u403tsugaru

Author:u403tsugaru
下手な鉄道写真を撮っておりますが、沿線風景や旅先での一コマなども載せていこうと思います。
見て下さった方の一人でも郷愁感や旅への思いをお持ち下されば嬉しく思います。

最新記事

最新コメント

月別アーカイブ

カテゴリ

未分類 (3)
ご挨拶 (3)
只見線 (7)
石北本線 (50)
山口線 (7)
真岡鐡道 (2)
秩父鉄道 (9)
釧網本線 (17)
大井川鐵道 (3)
廃線・保存機 (5)
宗谷本線 (1)
保存鉄道 (5)
釜石線 (1)
陸羽東線 (1)
山陰本線 (3)
雑記 (1)
非鉄・番外編 (2)

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる