笛の音響けば

汽車の音色は旅へと誘う道標

いざ、往かん!

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釧網本線 標茶駅


大戦以前の日本の最重要産業は軍需産業と鉄道だったと聞いたことがある。
共に国家の威信をかけて軍艦建造、機関車製造にと最先端技術を投入されていたらしい。
零戦で有名な零式艦上戦闘機は中国戦線で圧倒的な強さを発揮していたが
当時は大艦巨砲主義、戦艦こそが主役、航空機など笑止千万と軽視していた日本。
皮肉にもハワイ真珠湾攻撃で九七艦攻、九九艦爆らと共にその航空機によって大戦果を挙げた。

元同僚のおじいさんは空母赤城で真珠湾、ミッドウェーと参加しているが、開戦当初のパイロットは精鋭中の精鋭で
特に戦闘機パイロットの眼光の鋭さ、殺気は凄まじいものがあったという。
剣豪宮本武蔵は箸で飛んでるハエを捕まえたというが、そんなものあくまで小説の中での話と思っていたところ
当時の戦闘機パイロットはそれが出来たとのことだった。
よく雑誌等で当時のパイロットのことを海鷲、荒鷲などと形容されてるのを目にしたが
まさに空の狩人、坂井三郎氏の戦記物ではないが大空のサムライだったのだろう。
(余談だが、元同僚のおじいさんはミッドウェーで乗艦の赤城は撃沈されたものの生き永らえ、その後戦艦武蔵に乗艦。
武蔵が撃沈されたレイテ沖海戦前に本土の砲術学校教官として陸に上がり無事終戦を迎え、余生を故郷の島根県大田市で過ごされた。)

一方、陸の王者だった蒸気機関車。
何十輌もの貨車や客車を牽引し、日本の物流を一手に担い、戦後輸送の主役が電車やトラックに代わって現役を退くまで黙々と走り続けた。
厳しい下積み時代から訓練を経て、晴れて機関士になっても50℃にもなるという激動するキャブ内で
冬は半身ボイラーに焼かれ、半身は寒気に身を乗り出す。助士は連続投炭を強いられ、背には一面汗が塩となる。
便乗された方ならご存知かと思うが、とにかく暑く、音は大きく、身体は激しく揺さぶられる。
そんな中でも眼光鋭く前方注視の姿勢をとり、絶えず指差称呼歓呼応答が繰り返され、定時運行に尽力される機関車乗りは
鉄路のサムライそのものであるように思う。

現代の復活蒸気の運転に当時のそこまでのものは要求されないだろうが、それでも劣悪な環境で運転する厳しさには変わりない。
ましてや厳冬期の上に今日は強風が吹き荒れる。
運転には僕たち素人が想像する以上に苦労が多いはずだ。

構内に風が渦巻きC11の身体に煙が、蒸気が激しく纏う。
発車の時間が迫る中、一人の機関士さんが戦場となるキャブに乗り込んだ。
僕にはそれが

「いざ、往かん!」

と戦地に赴く現代のサムライの姿に見えたような気がした。




テーマ:写真日記 - ジャンル:日記

  1. 2017/02/07(火) 23:19:39|
  2. 釧網本線
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