笛の音響けば

汽車の音色は旅へと誘う道標

キハ54

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石北本線 端野~緋牛内


各路線には様々な形式の車輛が走っているが、その地方によって似合う似合わないというがあると思う。
例えば美しい渓谷と生活感のある山里を走る只見線。
仮に線路状況が整っていたとしてもC62やD52なんて似合わない。
見慣れる見慣れないというのがあるにしてもあの風景にはC11こそが似合い、
他形式ならば開通当初走っていたC12やC56、仮の話をするならばハチロク辺りまでではないだろうか。
変なこじつけかもしれないが、山と田畑しかない日本的な農村風景にリゾートマンションや都会的な高層ビルなどの建造物が
風景に溶け込まないように車輛にもあると思うのだ。
2015年だっただろうか、当時は関東にいたにもかかわらず磐越西線にC61が走った時もそういう意味から全く興味を示さなかった。
いくら当機がC57の代替機関車としての性格も持ち合わせて製造されたといっても、磐西の風景にハドソンの造形は不釣り合いと思ったからだった。


石北本線の普通列車はキハ40が主力である。
しかし日に何本かはキハ54が含まれていて列車の走る風景に変化を与えてくれている。
ただ、同じ国鉄型でもキハ54はキハ40と比べてあまり人気はないようだ。
国鉄型というと面構えを含めて朱色一色、もしくは赤とクリームのツートンカラーのイメージが強いからだろうか。
ステンレスの車体というのもどこか引っ掛かるものもあるのかもしれない。

うん、やっぱり似合っている!

久しぶりに帰って来た強い日差しに銀色の車体を鈍く光らせ走る様は、いかにも北海道のローカル線といった面持ちだ。
キハ54の人気のほどはともかく、僕は北海道の道東や道北地方に似合う車輌だと再認識した。




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  1. 2017/08/24(木) 01:33:27|
  2. 石北本線
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ジョイント音

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石北本線 緋牛内~端野


鉄道好きにとって列車のジョイント音というのは、乗っていようと外から聞いていようと何とも心地いいものだ。
旧型客車の乾いたような少し籠った音、気動車や電車などの軽やかな音が線路を叩く…。
のんびりと叩けば窓を開けて頬杖つきながら車窓を眺め、その音と揺れにいつしか寝てしまったあの頃へと思いは還り、
リズムカルに叩けば矢のように後ろへ飛んでいく景色のスピード感に酔いしれる。
そこに蒸気のドラフト音、ディーゼルのエンジン音、電車のモーター音などが合わされば、その音は旅の思い出の栞となる。

僕が幼い頃は今のように必ずしもレールの繋ぎ目が同一箇所ではなく、左右バラバラというものがまだ残っていた。
そんなところを走れば忙しない複雑な音を楽しめたものだった。

二軸貨車が当たり前だった時代、様々な貨車の不規則な音も面白かったものである。
よく近所のガキンチョ同士で音だけを聞き、今のはワラ、これはトラだろ、いいやハワムだねと言い当てるのも楽しかった思い出だ。

今の自宅は丘の向こうに線路があるが、静まった夜には常呂川を渡った頃から緋牛内を発車していくまで聞こえてくる。
実家も横須賀線や湘南新宿ラインの列車の音が聞こえてくるが、ロングレール上を走る走行音は少々やかましく感じるから
身勝手というか不思議なものだ。

音は時間や湿度などでも聞こえ具合が変わり、よく響く時もあればそうでない時もある。
この日は風に乗っていつもより遠くから聞こえ、木々の狭間から特急大雪が勢いよく飛び出してきた。
果たして乗る人の何人がその音を聞きながら流れる車窓を見ているのだろう。
夏休みで来た旅人にはどんな音色で届いているのだろう。
お盆に帰った故郷の思い出に、この音は響いてくれるだろうか。

収穫も始まり緑も色褪せはじめた風景に奏でられるジョイント音が、それらの人の胸に自然と刻み込まれたらいいな…と
ふと、そんな風に思っていた。




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  1. 2017/08/19(土) 00:52:47|
  2. 石北本線
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秋の気配

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石北本線 緋牛内


8月に入りようやく休みとなった15日。
ヤスミハアメノヒではなかったものの、それでも相変わらず晴れることはなく
それどころか今月に入り全く夏らしい天気がないオホーツク地方。
お盆も過ぎれば秋が来る…そう言われている北国の夏。
先月には確かに暑い日はあったのだが夏の空には遠く至らず、どうやら今年は夏は来ないで終わりそうな気配だ。

結構遅くまでエゾゼミが鳴いていた昨年の夏と打って変わり、
既に庭先では秋を告げるカンタンが鳴きはじめ、街にも駅にもコスモスが咲き出した。
花の色がどうにもノペッとして僕の腕では如何ともし難く、そうこうしている内に列車が来てしまった…
というのはいつもと変わらず、せめて秋はスッキリと、オホーツクらしいさわやかな陽気になって欲しいものである。




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  1. 2017/08/15(火) 20:39:21|
  2. 石北本線
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犠牲者の下に

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前回金華信号場を訪れてから数日後、僕は再びそこにいた。
家を出る頃は時折薄日が差す空模様であったが、西の方角を見ると少し厚い雲に覆われている。

「ひょっとしたら雨が降っているかもしれない」

そう思った僕は迷わず金華に向かっていた。
着けば霧雨が降っていて、静かな山の信号場はもの悲しささえ感じるほどだった。


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石北本線 金華信号場


幼い頃、時々まだ知らぬ寝台列車に見立てて押し入れの中で寝かせてもらうことがあった。
ある日、親父が蒸気機関車のLPレコードを買ってきて寝る時にかけてくれた。
より寝台列車の気分を演出してくれたスピーカーから流れる汽車の音に、幼い僕はその気分に浸りながら眠りについていたものだった。ただひとつの音を除いて…。
その音の収録先は写真誌などで必ずといっていいほど目にしていた常紋峠であった。
峠に挑むD51444は力強さと迫力をもって去っていくが、静けさを取り戻した峠に鳴く夜鷹とトラツグミの鳴き声に、幼いながらもどこか不気味さを感じていた。

その後、常紋峠は心霊スポットで有名な曰く付きの場所だと知る。
霊的なものを信じるか信じないかは別として、友人に連れられ初めて常紋トンネルの上を走る細い林道にバイクで行った際は怖いというよりむしろ哀しい感じがした。

大正3年に開通した常紋トンネルはタコ部屋労働で建設され、その後周辺からは人骨が、トンネルからは人柱も発見されているのはご承知の通りだろう。
当時はどれほど過酷で非情で悲惨だったか、一体どんな思いだったかと犠牲者を偲ばずにはいられない。
何気に乗っている石北線も、普段を過ごす暮らしにもこの犠牲者たちの下にある。

現在、駅舎のかつてのホーム側には殉職者追悼碑への案内板が掲げられたままでいる。
列車を降り、或いは停車中に目にすることもあったであろう案内板も今や駅廃止となり、通過する列車から果たしてどれだけの人が目にしているのだろう。

宵の始まる寂静的ともいえる色となった風景にオホーツクが駆け抜ける。
少しでも知って欲しいとの願いか、照明に照らされ存在を訴える光景が、僕には一際寂しいものに思えてならなかった。




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  1. 2017/08/08(火) 03:37:50|
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ヒメジョオンの咲く線路端

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石北本線 緋牛内~端野


相変わらず休日は雨に祟られる。
他人から雨男と冷やかされることが多いが、8月も半ばを過ぎれば秋の気配が漂うというのにこんな案配ではさすがに意気消沈である。

先月、猛暑が続いた日もあった北海道。
でも空は僕の思う夏空のそれではなく、今ひとつ盛り上がりに欠けている。
案の定夜勤明けでようやく夏雲が浮かぶこの季節らしい空が広がり、眠いのを我慢して夏空の下に飛び出した。

地元の限られた区間での撮影に、時には様々な地域で撮影したいという気持ちはあっても
「どうやって撮ろうかなぁ」
と下手は下手なりに考えたり、また季節毎に見せてくれるシーンに新たな発見があったりしてこれはこれでいいものだと思う。

鉄道が趣味の方ならご存知の方も多いだろうヒメジョオン。
駅構内や線路端に咲いている姿をよく見ることから鉄道草ともいわれる。
その花が道より低い玉ねぎ畑の片隅に一本だけ咲いていて、なぜかそれに惹き付けられた。
無理な体勢に汗が顔を滴りしつこくブヨが飛び回る。
あっという間に5~6ヶ所刺されて猛烈に痒くなるが構っているヒマはない。
E-5のバリアングル液晶の恩恵に預かり花を見上げると、こんなにきれいだったかなぁといった気持ちにさせられた。

天気はゆっくり下り坂。
列車が来るまでの間、せっかく浮かんだ夏雲に変わってスジ状の雲が増えてきた。
それでも元気な日差しが降り注ぎ、列車は軽やかに駆け抜ける。
短い北国の夏らしく時折吹く風は爽やかで、ヒメジョオンが手を振るように揺れていた。




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  1. 2017/08/01(火) 19:55:26|
  2. 石北本線
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Author:u403tsugaru
下手な鉄道写真を撮っておりますが、沿線風景や旅先での一コマなども載せていこうと思います。
見て下さった方の一人でも郷愁感や旅への思いをお持ち下されば嬉しく思います。

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