笛の音響けば

汽車の音色は旅へと誘う道標

駅弁

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石北本線 端野~緋牛内


もう何年前だろうか、北見にも駅弁が売っていた。
その中のひとつに「ほたて丼」というものがあり、確か特急と快速利用客を狙った午前中だけの販売だったように思う。
産地のサロマ湖産なのだろうか、ホタテフライが入りそこに特製のソースが掛かった本当に美味い駅弁だった。
その存在を知ったのは札幌に出張の際に同僚が買ったのがそれで

「こいつぁうまい!」
と連呼しながら特急オホーツクの車内で食べていたことを覚えている。

その後何度か札幌出張の際のみならず、列車を利用しなくても駅弁を買いに駅へ行ったこともあるほどであったが
たまたま夜勤明けのある日に行くと今日で最後だという。
連絡をしてくれればお作りしますよと丁寧に電話番号も頂いたのだが一人のために作って頂けることはなかっただろう。


石北本線の下り始発は北見6時46分発の網走行4651Dだ。
緋牛内に来る頃は7時を回る。
3時前にはそろそろ空は薄明るくなるこの季節、始発が来る頃にはすっかり日は高くなる。

防除畝の轍がまるで線路のように緑のキャンバスに描かれた麦畑。
穂も色付きはじめ、あと一月すれば収穫も始まるだろう。
列車の窓を開け放てば、きっと爽やかな北海道の風と共に緑と土のいい匂いが車内に流れ込むに違いない。
そんな風を体いっぱいに受け、あの「ほたて丼」を頬張りながら列車に揺られたいものである。




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  1. 2017/07/11(火) 14:52:40|
  2. 石北本線
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刻む

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石北本線 端野~緋牛内


朝、鶏と池に流れる湧水の音で目覚める。
外に出ると山の冷気の隙間をついて、強くなりつつある日差しに今日も暑くなることを思わせた。
紫やピンクのアサガオを横目に村の神社へラジオ体操。
大好きな田舎の朝ご飯、麦わら帽を被って網を持ち、さあ出撃だ。

ハグロトンボが舞うバイカモ揺れる小川のせせらぎ…
ミンミンゼミやアブラゼミの蝉時雨…
サワガニを追いかけた沢の冷たさ…
田んぼや脇の水路の生き物たち…
寝るのを忘れて蜜に群がるカブトやクワガタ、沸き立つ入道雲…。

汗まみれになって遊ぶ視線の向こうにシゴロクの煙が揺らぎ、長電が走る。
ヒグラシが鳴く頃、どこからともなく夕飯の支度の音が聞こえてくる。
それらは少年時代に過ごしたクソがつくほど暑かった夏の匂いだ。


連日真夏日となった北見地方。
出来ることならこの暑さが8月一杯は続いて欲しいのだが、どうやらこの日曜日で一旦終わってしまうようだ。

西に傾く日差しに麦の穂が金色に染まる。
今日一日も終わりと言う景色に列車がカタコト応えて去っていく。
暑かったからこそ見れる少しホッとするような景色。
短い北国の夏とはいえ夏らしい匂いを僕の身体に刻むには、せめて今日くらい暑い方がいい。




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  1. 2017/07/09(日) 02:54:27|
  2. 石北本線
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焼けた景色に

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石北本線 緋牛内~端野    (ドラマチックトーンにて現像)


ようやく夏らしい暑い日となった6月最終日。
それまでは月も後半だというのに夜はストーブを焚くなど天気は長続きせず、一昨日辺りから暑い日差しが照りつけるようになった。
連日猛暑日、酷暑日、熱帯夜も困りものだが、夏は夏らしく暑くなければならない。
暑さがあってこその秋であり、夏が終わろうとする頃の、あの独特な寂しいような気持ちになるのも暑さがあってこそだ。
それがいくら北海道とはいえ同じことで、僕が北海道に来た頃はもう少し夏らしい日が多かった。
それがここ数年はどうにも様子がおかしいような気がしている。

関東にいた頃は毎年のように夏バテし、4キロほど体重が落ちていたくらい暑さは苦手にしている。
それでもいつの頃からだろうか、その暑さが妙によくなって今では夏なんだから最低でも25℃は欲しいと思うようになった。
たぶん夏の秩父へ行き、あの茹だるような暑さの中に幼き頃に嗅いだ懐かしい匂いを感じてからだろう。
また知人が栃木の足利にいたこともあり、秩父の帰りにそこへ寄ることをしていたのもあると思う。
足利は最高気温でよく報道される群馬の館林にほど近く、とにかく暑い。
でも東京のような暑さではなく、山や川から吹く風が心地いい歴史情緒にあふれた落ち着いた街並みと
夕日の似合う、今でも大好きな街でもある。
そんなことが自分のどこかでリンクして、夏らしい暑さが欲しいと思えるようになったんじゃないだろうか。

今日は焼けるかな…ふと森高千里さんの渡良瀬橋の歌が頭の中を流れた。
渡良瀬川ほど大きくはないけれど、今日は少しガスって広い空ではないけれど、景色は赤く染まるだろうか。
護岸された川は風景的に好きではないのだが、僕が思った以上に空は、川面は焼けてくれた。
列車が駆け抜け、沈みゆく夕日…
その光景に、足利の街並みと渡良瀬橋から見る真っ赤に染まった美しい渡良瀬川を懐かしく思い出していた。




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  1. 2017/07/01(土) 03:53:16|
  2. 石北本線
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夏至の頃

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石北本線 緋牛内~端野


夏至の頃になると北海道の昼は本当に長い。
今年の北見地方の夏至は日の出が3時41分、日の入りが19時11分とのことだったが
この頃の空は20時を回っても西の空はまだ薄ら明るく、街灯がひとつもなく闇夜となる自宅周辺では周囲の景色もまだ見えるほどだ。
3時頃には空は白んでくるので、空が真っ暗になっている夜の時間は6時間ほどしかなく
白夜というほど大袈裟なものではないにしろ、まごまごしているともう朝かといった感覚になる。

日が延びたといっても実際は見る場所によって太陽は山の陰に隠れてしまい、
緋牛内18時28分発の4674Dが西日を浴びて常呂川橋梁を通過するのは夏至の前後の数日に限られる。
かねてから陽が隠れる直前の景色を走る列車をと考えていたものの、勤務の都合や天気の具合、
はたまたダイヤ改正によって列車の時刻が変われば自宅周辺と限定した場合、本数の少ないローカル線で巡りあうことは難しくなる。
夏至より数日前、昨日より空気は淀んでいるけれど今年はもうこんな日は来ないかもしれない…
と土手に行ってみることにした。

時計の針を見れば緋牛内を発車した頃だ。
そろそろかな…と身構え、見れば太陽は既に山の稜線に掛かっている。
やがて橋梁に掛かる手前の踏切が鳴り、どうか間に合ってと祈るような気持ちでいるとスポットライトを浴びた名優のように列車は現れ、
真っ赤に焼けた景色の中を去っていく。
その後ろ姿を見送った直後、陽は待っていてくれたかのように山の陰にスーッと落ちていき、まるでドラマか映画の終わりを見ているようシーンだった。




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  1. 2017/06/23(金) 01:38:57|
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オホーツクブルーの空の下

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石北本線 端野~緋牛内


常呂川は大雪山系の三国山を源とするオホーツク海側の最大の川だ。
他の地域と同じように、ここでも飲料・農業用水として、住民の憩いの場として親しみ利用されている。

三国…と名が付く箇所は数多いが、僕などは目の前に富士山、眼下に山中湖の眺めも素晴らしい
駿河・相模・甲斐を跨ぐ県道730号線の三国峠と、上野・信濃・武蔵に連なる三国山の南を越える三国峠が身近な所だ。

北海道の三国山は道中央部にあり、石狩・十勝・北見の三国を境とすることから付けられたらしい。
この三国山の袂を走る国道273号線を初めてバイクで通った時はまだ砂利道で、
吸い込まれそうなほどの深い森が広がる峠からの雄大な景色に、北海道の広さを実感した場所のひとつでもある。
また、山の水は分水嶺を隔てて太平洋と日本海に注ぐが、友人の話によるとここではオホーツク海も加わり
三つの海に流れる日本唯一の分水点とのことだった。

もうだいぶ前のこと、当時中古のカヤックを所有していた僕は友人らと二艘のカヤックで北見市中央部付近から端野町まで下ったことがある。
傍から見ていて長閑そうに見える川の瀬も、実際に舟で下ってみると意外に急流で迫力とスリルがあった。
常呂川くんだりでカヤックなどしているのは珍しかったのか橋を渡る人に手を振られ、
途中何ポイントかで休憩し、コーヒーを沸かしながら談笑する…短い川の旅ではあったけれども、それはとても楽しいものだった。

昨年は例年以上の台風に見舞われ、川の氾濫によって人命まで失われるなど多くの被害が出た。
畑などその爪痕はまだ一部残るものの、市内の河川敷は復旧工事も進み野球をする姿も戻って来た。
平穏な日常を取り戻しつつある常呂川。
土手を渡る風は爽やかで、タンポポの白い綿毛がかわいげに揺らぐ、そんなオホーツクブルーの空の下だった。




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  1. 2017/06/11(日) 13:00:25|
  2. 石北本線
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下手な鉄道写真を撮っておりますが、沿線風景や旅先での一コマなども載せていこうと思います。
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