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笛の音響けば

汽車の音色は旅へと誘う道標

晩夏

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真岡鐡道 寺内~真岡    2013年8月撮影


幼い頃、虫採りに夢中になって駆けずり回る田畑に、蝉の声に混じってどこからともなく聞こえてきたコンバットマーチ。
ラジオから毎日の熱戦を伝える高校野球と喧しい蝉の鳴き声は、僕にとってセットであり夏本番の光景のひとつだった。

準決勝を迎えると、当たり前だがそれまで3試合4試合とあったものが2試合になる。
昨日まで、朝から晩まで聞こえていた音が短くなるということは
夏本番を彩るピースがひとつ減るということだった。

終列車を見送る度に発っていく夏を数える中で迎えた決勝戦。
 一投一打に沸くスタンド、ドラマに終止符を打つサイレン、大歓声…。
「数々の名勝負が生まれた甲子園球場からお別れします」の声に込み上げてくる切なさ…。
どんなに暑かろうと、それはもう夏の終わりを指していた。


虫採りに駆けずり回る田畑から熱戦を伝えるラジオの音は消え、夏蝉の数も日増しに減っていく。
入道雲が占めていた空にはいつしか秋の色が漂い始めていた。
まだ夏は続くと思っていたのに…
今年もそんな風に思う季節になってきた。




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  1. 2018/08/26(日) 18:35:00|
  2. 真岡鐡道
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喜びの季節



真岡鐡道 多田羅~七井


満開の梅の暖簾を掻き分けてC12がひょいと飛び出して来た。
ちょいと浮かれているように見えたのは、花々が彩る季節が本番を迎えようとしているからだろうか。
鶯は春を唄い、見事な白木蓮が咲く緑の林からは国鳥であるキジの鳴き声も聞こえて来る。
命あるこの世のもの全てにおいて、この季節が嬉しくないはずはない。


4月に入り比較的暖かな日が多かった北海道。
一気に雪解けも進み、ふきのとうや福寿草など、殺風景だった景色に少しだけ色が芽吹きはじめた。
関東の場合、桜の後にツヅジとなるが、こちらでは桜の前にツヅジが咲く。
もっとも桜もツツジも種類が違うから咲く順番がおかしいということではないのだろう。
鮮やかな色が潤い出すまでようやく先が見えてきたという楽しみに水を差すように
今日の北海道は小雪がチラつく寒い日となり、先月末、春の景色にいたことが不思議にすら思う。

今年は桜の訪れは早かっただけに芳賀路ではもう散り始めている頃だろうか。
やがて田には水が張られ、稲が植えられ、若葉は眩しくツツジが彩りを添え
色彩が豊かになった景色に鯉のぼりが泳ぐことだろう。
いずれまた、のどかな農村風景に足音を刻む彼らを求めて芳賀路を訪れてみたいものである。




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  1. 2018/04/07(土) 02:48:56|
  2. 真岡鐡道
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茶の間に流れた汽車の音

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既に何度か記事にしているが、僕の母親の故郷は信州の北信地方だ。
地元では「たかやしろ」と呼ばれている高社山の麓の小さな村の出で、千曲川が目の前に流れる唱歌「故郷」発祥の地もさほど遠くない。
母の実家は戦後間もなくなくなっているが、当時は村で一・二を争う大きな屋敷だったらしく、
河東鉄道が信州中野より延伸するにあたり土地を無償で提供し村に鉄道が開通した。
それが平成14年に廃止となった長野電鉄木島線である。

実家近くの親戚の家が実家代わりで、物心がつく前からこの家に転がり込み、そこは僕の第二の故郷、実家でもある。
志賀の山々を源とする夜間瀬川が千曲川と合流する辺りに架けられていた橋は昭和40年前半まで欄干もない木製の橋で、
たまに車が渡るとガラガラと雷のような音を立てていた。
北陸新幹線の工事がされるまで高社山からの湧き水が庭の池にゴポゴポと流れ、山羊や鶏、兎の匂いがする田舎の家だった。
築140年の雪国の家は堂々としており、今でもトイレは離れで土間の名残りからサンダルを履かねば風呂場にも行けない。
昔は屋根裏に蚕を飼っていたようで天上はやけに高く、一里一尺の言葉がある豪雪地帯らしく二階には玄関跡が残る。
僕の幼少から少年時代はそんな家で半分育ったようなものだ。

池の音や家畜の匂いが漂う田舎の家に遊び疲れて帰って来ると
「ほれ、おめぇ食え」とお茶請けに楊枝が刺さったリンゴや味噌漬けを婆さまが出してくれる。
お茶をズズッと飲む爺くさい子供だったが、柱時計がカチカチと流れる茶の間で過ごすささやかな時間は心地良く
そこへ時々ガタン、ゴトンと響く木島線のオンボロ電車の音もまたジンワリと湧いて来るものを子供ながらに感じていた。



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真岡鐡道 七井~多田羅


立派な木々が民家の背後を守る典型的な田舎の家。
庭先の地べたを這うように、ヘロヘロの小道を汽車がカラコロ走り往く。
時代も地域も全く違うけれど、きっとこの家も、茶の間に何気に汽車の音が流れているんだろうな…と、
あの頃嗅いだ懐かしい景色を思い出していた。




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  1. 2018/04/06(金) 04:11:15|
  2. 真岡鐡道
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風は南から 

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真岡鐡道 寺内~真岡


2月は客車の検査で運休となった真岡の汽車。
3月からは通常客車3輛のところを2輛編成で運転するという。

C11は検査入場中のためカマはC12になる。なんという心揺れる編成だろう。
小さな田舎機関車に客車2輛のミニ編成…。
湿原の蒸機運行終了と共に襲われた脱力感を未だ引きずる心境にはあまりにも毒である。
どうする???と悶絶するところへ追い討ちをかけるように東京で桜が開花した。

桜も見たければ汽車にも会いたい。
あわよくば真岡でも桜が見られるかもしれない…。

シフトを見ればちょうど土曜夜勤明け、日曜休み、月曜夜勤となっている。
風は南から吹いて来た。
遠くで汽笛がおいでよと呼んでいる。
思い立ったが吉日、その風の匂いがする方角へと気流に乗っかった。

東京で満開宣言がなされた桜も北関東には届かず、梅の花が満開だった。
いかにもC12らしい編成に桜のシーンを重ねることは叶えられないが、せめて早春らしい風景を求めて定番の八木岡地区を訪れた。
高き青空に陽は暖かく、緑浅い野辺を優しく照らす。
塚の古墓は先祖のものか、それともこの土地縁なき流れて来た者の墓なのか。
古の頃から眠っているであろう御霊を祀るように、まだ水が張られる前の田圃の畦や小道にホトケノザが咲いていた。

素朴な日本の風景に、田舎っぺ機関車のC12が2輛ばかりの客車を牽いて一生懸命駆け抜ける。
その様は早春の草花と相まってどこまでも愛らしく、塚の御霊もにこやかに見送っているようなほのぼのとした光景だった。




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  1. 2018/03/30(金) 05:53:55|
  2. 真岡鐡道
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ありがとう

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真岡鐡道 七井~益子


七井発車の煙が吹き上がり、ドレンが彼を包み込む。
加速してくるドラフト音。
ロッドを奏で、続く客車の轍が心に染みる。

会いたかった真岡の汽車が駆けて往く。
雪野の芳賀路に長く白煙を棚引かせ…

会いたかった真岡の景色に汽車が去る。
姿が見えなくなるまで見送った。
涙色の空に、漂う残り香が消えるまで…

万感の想いで見つめる先に五色の笛が轟いた。

ありがとう、友たち。
ありがとう、SLもおか。
ありがとう…。




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  1. 2018/02/04(日) 01:23:12|
  2. 真岡鐡道
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