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笛の音響けば

汽車の音色は旅へと誘う道標

鉄道のある景色

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釧網本線 札弦~清里町


釧網本線というと東側の釧路湿原、北側のオホーツク海と両端区間が目立つような印象をどうしても受けてしまうのだが、
内陸区間もなかなかどうして、川湯温泉と緑の間に位置する野上峠を境に
釧路方は牧草地帯、網走方は畑作地帯と雰囲気は随分違うながらも道東らしさが光る。

海や湿原の大自然の風景もいいけれど、人の手が入った大地の風景というのもまたいい。
姿は見えなくても、人の気配がするというのは何となく落ち着き居心地がいいものだ。
列車に揺られれば飽きもせず眺めていた車窓。
窓を開け放ち土地の匂いを嗅ぎながら、頬杖ついて、ああ、いい景色だなと見ていたのもそんな風景だった。

その車窓の側から列車を見れば鉄道は風景の一部で、ひとつひとつの音や匂いと対等である。
車輌形式そのものに魅力を感じるものもあるのだが、風景の一部として眺める鉄道は
頬杖ついていつまでも眺めていたくなる、僕にとってのいい景色なのである。




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  1. 2018/07/21(土) 18:11:47|
  2. 釧網本線
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夏…だよね?

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釧網本線 清里町~札弦


早いものでもう7月半ば、いよいよ夏本番である。
気温12℃…。肌寒いを通り越して寒い。

今年の農作物の生育具合は今後の天気次第という。
素人目にはどの程度遅れているのかわからないが、それでも麦は色付きはじめ、ジャガイモも花盛りだ。
これで夏らしい日差しがあればもっときれいなのになぁ…
と少し残念な気持ちで鼻を垂らしながら列車を迎えた。


異常な気温になっている内地各地の方々からすれば少しその冷気をくれと言いたくもなろうが、
それはこちらも同じでその暑さを分けて欲しいくらいだ。
予報では今週末くらいから上がってくるようなので、今後夏らしい空が広がってくれることを期待したい。




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  1. 2018/07/18(水) 23:46:20|
  2. 釧網本線
  3. | コメント:0

別れ

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釧網本線 細岡


氷の塊となった雪と融けてぬかるんだ山の足元を、汽車は笛を吹きながら現れた。
まるで僕がここにいることを知っていたかのように大きな声で別れを言う。
思いもしなかった彼の行動に虚を衝かれ、一瞬遅れて去っていく姿に手を振った。
最後はここでと決めていた時が遂に来た。



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釧網本線 細岡~釧路湿原


木々の間を惰行する釧路川。
川面に空の色が映り込む。
人家乏しいひたすら広がる大自然。
その淵をぐるりと描くように流れる最後の煙は別れのシーンそのものだった。

プラットホームのベルが鳴る。
ポーッと発する汽車の声。
「元気で」
「さようなら」
見送り、見送られる双方の距離がだんだん遠くなる。
堪らず汽車の窓から身を乗り出して、おーい、おーいと手を振る去り往く者のように白煙がいつまでもなびいていた。


2月4日を皮切りに湿原に通った14日間。
月の半分を費やした割にはこれといったものはなく、打率の低さが目立っただけだった。
自分の技量からしてこんなものだろう。
こうすれば良かったと尽きぬ後悔ばかりとはいえ、それでも当初の目的通り、可能な限り汽車を眼に胸に刻めたように思う。
実はシーズン中頃、山を下りる途中にコケて使用しているカメラの背面液晶を壊してしまった。
幸い撮影することは出来たので一先ず修理は出さず、無事に運行最終日まで持ってくれた。

汽車はまた新たな出会いも与えてくれた。
前回も少し触れたが、ここを通じて知り合ったひぐま3号さん、マイオさん、ネコさんのお三方とご挨拶させて頂く機会を得、
鉄とは無縁と思っていた友人の思いもよらぬ蒸機への反応もそのひとつである。
この日の午前中も家族で蒸気を堪能したとの報を受け喜ばしい限りだ。
だが、現在JR北海道の抱える状況下で最終日を迎えるというのは一層の不安と寂しさが込み上げた。
今は来年以降の蒸気運行と路線存続を信じるばかりだが、あまりの脱力感にしばらく湿原から離れることが出来ないでいた。




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  1. 2018/03/14(水) 04:15:08|
  2. 釧網本線
  3. | コメント:4

募る寂しさ

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釧網本線 茅沼~標茶


汽車が走るのも今日が最後と夜勤明けで仕事着のまま現地へ向かう。
凍結路面にあれほど恐々と越えた美幌峠はまだまだ冬景色とはいえ、路面の雪もすっかり融けて、
約一月という時間の歩みを感じさせられた。
通い慣れた感のある道も風景も、しばらく来ることはないだろうと少しばかり感傷的な気分になりながらの道中だ。

最後の往路はどこで迎えよう…
時間的にいって塘路以北が妥当かと旧五十石駅に行ってみる。
既に先客一人、どうせここは後から追っかけ組も加わり騒がしくなることだろう。
最後は一人でじっくり見送りたい。
雪も大分融けたことだし、ならば以前バイクで走った砂利道からはどうだと記憶を辿る。
もしかしたらと思っていた、このブログを通じて知り合ったひぐま3号さんを始めとする諸先輩方が撮影されたと思しき山。
そこがすっかり馴染みとなり多くの作品を発表された場所ならばともかく、他に見たことがないものであれば
それまでここは諸先輩たちだけの聖地のようなものだ。
場所を探すのにどれほどの苦労があったかと思えば易々と二番煎じをするわけにはいかない…と、
少し向きを変えて汽車を待つことにした。

明るい日差しと冷たく吹き付ける西風に、ざらめ状になった雪が崩れる音がする。
春と冬とか混同する風景に茅沼発車の煙が時にのたうちながら舞い上がった。

さあ、折り返しまであと一息だ。

風と共にやって来るドラフト音がドキドキと早くなる胸の鼓動と共鳴する。
こんな気持ちになれるのも残すところあと一本。
銀屏風を背景に、姿を浮かび上がらせながら進み往く汽車を独り占めしながら寂しさが募る思いだった。




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  1. 2018/03/11(日) 00:35:47|
  2. 釧網本線
  3. | コメント:2

別れの季節



釧網本線 細岡~釧路湿原


もう春の雪だなぁ…
後から丘を登って来た地元の釧路だという方が緩み始めた雪に呟いた。

内地では梅や河津桜が咲いたと便りも届く。
北国ではまだ冬の景色とはいえ、耳奥で聞こえる金属音もしなければ青い氷のような風の匂いもなく
もはや厳冬期のそれではない。
春が近づくことはありがたいが、それは同時に湿原の汽車との別れが近いことを意味する。

塘路で汽車と交換する普通列車が下って行く頃は辛うじて日が差していた空も間もなく薄い雲に覆われた。
吹く風は冷たくも出がらしのような白っぽい春へと移る季節に吹く風だ。
その風の吹く向こうの山の麓から汽車のライトがチラリと見えた。
木々の合間に時々見える汽車をしっかり目に焼き付けながら追いかける。
大きく弧を描くように軽くバンクさせ、足取りは軽やかだったが
それがどこか寂しさをひた隠しているように見えたのは、クライマックスも近しと操る機関士さんの気持ちの表れか
それとも撮影する僕らの哀愁じみた気持ちによるものだけだったのだろうか。




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  1. 2018/03/10(土) 01:41:09|
  2. 釧網本線
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